二胡音楽 Chinese Violin 本文へジャンプ








二胡立姿演奏器具

 二胡(Chinese Violin)は胡琴とも言い、構造簡単な小さな擦弦楽器ですが、時には哀愁を漂い、時には軽快で楽しく奏でる人の声に一番近い音色を出すことができ、独奏も伴奏も大活躍する中国民族音楽の代表的な楽器です。弓に馬の尾を使用し、バイオリンと同じく騎馬民族の楽器で、中央アジアのカマ-ンチェが祖先といわれ、シルクロードを伝って漢民族に入ってきたのは遥か一千年も前の唐宋時代であったと考証されています。バイオリンはヨーロッパで生まれ変わったのと同じように、二胡は中国大陸で新しい生命が得られ、中国民族の輝かしい伝統音楽、伝統文化となりました。


茉莉花二胡合奏団

茉莉花二胡合奏団

茉莉花二胡合奏団について

 毎日文化センター中国二胡教室講師 朱新建の提案と指導のもと、19984月に設立。主要メンバーは毎日文化センター中国二胡教室中級の二胡生徒などからなっています。毎年10回ほど演奏会を行い、音楽活動を通して日中文化交流をすすめています。200510月に中国中央音楽大学著名二胡演奏家・教育家の趙寒陽を団長とする中央音大民族音楽演奏団一行5人を招聘し、東京、名古屋、大阪など日本初公演を実現しました。愛知万博に3回出演し、名古屋市主催の夏祭りに4回連続出演。

【演奏曲一覧】

合奏曲:喜洋々 太湖船 シルクロード 涙そうそう 花 故郷の人々 草原情歌 花と少年 他 
我愛北京天安門 八月桂花遍地開 小花鼓 賽馬 奔馳在千里草原 北京有個金太陽 光明行 他

独奏曲:良宵 拉駱駝 牧羊女 喜唱豊収 喜送公糧 聴松 二泉映月 江河水 豫北叙事曲 他

歌唱曲:翼をください 茉莉花 故郷 荒城の月 初恋 大海よ、我が故郷 他

私の太陽 誰も寝てはならぬ 長江之歌 草原上昇起不落的太陽 他


二胡名人
友人の二胡大家 趙寒陽教授をはじめ、中国の二胡名人を順次紹介します。

二胡音楽鑑賞
二胡の試聴などができます。



最新二胡関係情報
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茉莉花の二胡演奏情報

現代中国二胡の発展と二胡名曲の紹介

【現代中国二胡発展三段階】

1. 二胡革新段階 19181949 中国伝統の伴奏楽器から独奏楽器へ 「空山鳥語」  

2. 二胡創造段階 19501979 中国伝統文化の重宝として中国全土に発展「三門峡暢想曲」 

3. 二胡昇華段階 1980~現在 中国の二胡文化として世界へ発信「長城随想」


現代中国著名二胡演奏家・教育家(年齢順)とその代表曲(二胡独奏曲)】

 周少梅(18851938)『虞舜熏風曲』11二胡の棹を90センチに。

 華彦鈞(18931950)『二泉映月』全3曲。二泉琴。4オクターブ演奏した盲目の演奏家

 劉天華(18951932)『空山鳥語』全10曲。二胡の調弦をD(内弦)A(外弦)に。

 師竹(19011955)『祖国之恋』全4曲。劉天華の高弟

 劉北茂(19031981)『小花鼓』全36曲。劉天華の実弟

 張季譲(19041961)『溜氷舞』全7曲。指板付二胡創作

 陳振鐸(19051999)『雨後春光』全6曲。劉天華の高弟

蒋風之(19081986)『漢宮秋月』全6曲劉天華の高弟。蒋派二胡創始者

陸修棠(19111966)『懐郷行』全7曲。南派二胡創始者

兪 鵬(19171946)『平原競馬』全10曲。劉天華二胡継承者

孫文明(19281968)『流波曲』全8曲。「無千金二胡」を試作した盲目の演奏家

王国潼(1939~  )『奔馳在千里草原』他。中央音楽学院民楽系主任教授、香港演芸学院中楽系主任教授歴任

蒋巽風(1940~  )『山丹丹開花紅艶艶』他。中国二胡学会会長

周耀錕(1945~  )『黄河二胡協奏曲』他。日本二胡学会会長

閔恵芬(1945~  )『陽関三畳』他。上海民族楽団国家一級演奏家

趙寒陽(1954~  )『郷音』他。中央音楽学院民楽系主任教授

楊長安(1954~  )『二胡独奏曲 櫻花縁』他。湖南師範大学音楽学院教授


【主な在日プロ二胡演奏家】(2004年現在)

北海道:郁暁光、張 喚

宮城:尹世高

東京:周耀錕、賈鵬芳、賈鵬新、劉継紅、姜建華、

許 可、楊興新、曹雪晶、巫謝慧、武楽群、宋 雲、羅 紅、程化農、王明君、シュウ ミン、劉 鋒、張会斌、陳敏、王霄峰

愛知:王 侃、張 濱

   京都:蘇曹娟、韓秋月

   福井:李 

  大阪:張連生、朱啓高、沈金雲

   兵庫:王 菲

  広島:姜暁艶

  福岡:趙国良

日本二胡学会等による)

【中国二胡名曲解説―朱新建】

空山鳥語       劉天華 作曲

 中国二胡革新段階を代表する名曲です。この曲は1918年に創作され、この楽譜の決定版は10年後の1928年に発表した劉天華先生の傑作です。「裏山に人見かけず、鳥のさえずりは聞こえる」。これは著名な言語学者の兄である劉半農先生がこの曲の美しいイメージを表現した一句です。演奏では鳥の鳴き声のまねをしますが、具体的にどんな鳥の鳴き声のまねをするかはこだわらないほうが良いでしょう。この曲は「空山幽谷、百鳥争鳴」のイメージを表現していますので、鳥の鳴き声を抽象化し、具体的な一羽の鳥の鳴き声に似つかずしてすべての鳥の鳴き声に聞こえてくるような演奏がよいでしょう。

郷音        寒阳 作曲

 曲の始まりは旅人が数年ぶりに帰省し、白髪蒼々の母親に会って胸がいっぱいになり、声も出ないまま立ちすくんで、ようやく心の底から故郷の言葉で「ママ!」と呼んだところから始まり、弓の切り込み奏法とビブラートの使い分けで過去の苦難に満ちた生活を表現し、次の楽章にアレグロで対照的に故郷の今日の活気あふれる様子を表現し、太鼓の音が聞こえてきたり、河南地方の風情が見えたり、また美しい歌が聞こえたりして次第にクライマックスへ。演奏者自身の作品であり、その斬新な奏法と切実な表現は見ものです。

喜送公糧     武祥·孟津津 作曲

 1970年代の名曲で、かつてMacの音楽ソフトの中で中国二胡の代表曲として紹介されています。豊作の中国農村で、かつての人民公社の社員が、天秤棒でどっしりした米のざるを担いで国の調達所へ向かう姿が懐かしい。豊作で重たい米のざるを担いでも足取りが軽い。鼻歌さえ出たりする。収穫中の田んぼを通ってお互いに笑顔で挨拶し、一汗拭いて一服する。このときから中国は良くなりはじめた時期です。二胡で軽快なリズムで人民公社社員たちの軽々しい足取りを表現したり、人々の嬉しい掛け声を表現したりするところは必見です。

三門峡想曲     刘文金 作曲 

 中国二胡創造段階を代表する名曲です。三門峡とは1957年~1960年に黄河上流の三門峡市に建設された当時中国最大のダムです。この曲は当時黄河の三門峡ダム建設の風景と中国労働者の奮闘振りを背景に、イントロと7楽章とエンディングで構成され、二胡演奏技巧においては30年あまり経って初めて劉天華の「空山鳥語」を超えたといわれている大曲です。1963年の「上海之春」初の全国二胡コンクールで王国潼によって初演奏され、大好評を博しました。黄河の流れと三門峡ダムからどっとと飛び流れる黄河の飛沫をこの曲によって目の前に現れてくることでしょう。

作曲者の劉文金先生はこのほか、「豫北叙事曲」(1958)と「城随想」(1980)いずれも大曲を作曲され、世界著名二胡演奏家の閔恵芬さんと構想された「城随想」は閔恵芬さんによって初演奏され、二胡昇華段階の代表曲となっています。

 

追梦京  金秋  関乃忠 作曲

 「追梦京」は4楽章構成の大曲で、北京の歴史文化や中華民族の伝統文化を謳歌した曲です。「金秋」は最も美しい秋の北京をイメージした楽章ですが、2008年の北京オリンピック開催に向けて皆で盛り上げていくにはもってこいの曲ではないでしょうか。

江南春色     朱昌耀·熙林作曲

 この曲はいわゆる二胡南派の著名な曲で、長江南の豊かな大地と運河に恵まれた人々の一日の生活風景画です。作曲者は著名二胡演奏家でもある江蘇省歌舞団団長の朱昌耀さんで、演奏のため何回も来日され、最近では愛知万博会場でも演奏されています。

幻想曲   カルメンの幻想曲         サラサーテ編曲

 サラサーテのバイオリンのために編曲した「カルメンの幻想曲」を二胡のために編曲された曲です。4弦で弾く曲が2弦で表現できるところに演奏家の技量の見せ所と二胡演奏の進化が物語っています。

梅随想曲    吴厚元作曲

 紅梅は中国の国花でもあります。「江姐」という中国女性革命家がいました。投獄されても断固と戦い、死を恐れない英雄でした。彼女の崇高な革命の理想と英雄気概を称えるために彼女のことは映画化され、歌劇になっていました。映画の主題歌は「紅梅賛」でした。中国人は、どんな寒さにも恐れず、凛然と開花する紅梅が好きでした。そして、幾千年も抑圧された中国の女性が立ち上がることこそ、革命が成功し、中国は変わるのでした。

 この曲は歌劇「江姐」の音楽素材をもとに二胡独奏曲に編曲され、雄大な気勢と悲壮な情調をもって女性革命家を創造しました。奏法的にも新しい技巧を用いて、いまや二胡奏者の必須教材となり、演奏会では常にアンコールの保留曲となっています。

北京有个金太阳    蒋才如

 これはチベット民謡をアレンジした二胡二重奏曲で、チベット民謡の特徴を生かしながらまた独奏も二重奏も適した曲です。チベット民族の青年男女が鮮やかな民族衣装を装い、輪になって手と手を繋いで踊るリズム感の良いイメージは二胡の軽快な演奏から伝わってくるでしょう。

赛马   黄海懐作曲

 この曲は二胡演奏家でもある黄海懐先生が1960年代初めに、モンゴル民謡「紅旗」をアレンジし、編曲したものです。1963年の「上海之春」初全国二胡コンクールで作曲者本人が演奏され、大成功が得られました。この曲はモンゴル民族の祭りで欠かせない草競馬の様子を生き生きと表現し、演奏は最初から快速に始まり、一気にクライマックスに達するところが見ものです。後にさらにアレンジしたものが現在二胡演奏会でなくてはならない曲となっています。

蜻蜓   赤とんぼ              山田耕作 作曲 刘福 編曲

 日本の童謡「赤とんぼ」を二胡独奏曲にアレンジしたものです。アレンジした6/8拍子の軽快なテンポで弾くところは見ものです。このほかに、日本の曲を二胡独奏曲に編曲したものでは「二胡独奏曲 櫻花縁(楊長安編曲)」などがあります。