天秤錯視のご紹介

最終更新日:2024年1月2日

このページでは、第4回錯視コンテストでグランプリ(1位)を獲得した作品、「天秤錯視」をご紹介します。

このデモでは左右に動く白い点をできるだけ正確に目で追って下さい。すると、本当は止まっている左右のカラフルな正方形が、上下に動いて見えると思います。また、それらの正方形の下にある天秤の皿の支柱が伸び縮みして見えるかもしれません。

(※動きが見えない場合は、できるだけ大きな画面や、画面の近くで見てみてください。また、左右に動く白い点をできるだけ正確に目で追って下さい。)

なぜ正方形が上下に動いて見えるのか?それは目下研究中ですが、まず、視線を左右に動かすと、目の奥のスクリーン(網膜)に映る、カラフルな正方形の像(網膜像)も左右に動きます。この時、実際には正方形は少し斜めに傾いているのですが、正方形の傾いた4つの辺を私たちの視覚系が水平垂直である(つまり傾いていない)と勘違いし、これを基準にすることで、正方形の左右の動きが斜めへの動きだと誤って解釈され、その結果、その動きの上下成分により上下に動いて見えるのだと考えています。

さらに、左右の正方形群で上下逆方向に動いて見えることから、私たちは、水平垂直の主観的な判断を、視野全体ではなく(この錯視では右視野と左視野で)局所的に行っている段階があり、その段階において局所的な網膜像(本錯視では正方形)を利用していると推測されます。水平垂直の判断は、姿勢制御やあらゆる外界の解釈において非常に重要と考えられます。

天秤の支柱が伸び縮みして見えるのは、傾いた天秤の皿も上下に動いて見えるため、水平で動かない天秤の底の基盤の位置との整合性を保つためと考えられます。

より詳細な解説(PDF)は第4回錯視コンテストのページに掲載されています。


もしよろしければ、第3回錯視コンテストで2位を獲得した作品、「Walking Robot:輝度変化による面の傾き変化の錯視」も是非ご覧ください。