m21世紀最初の見栄講座はリスニングに関連してものです。ちょっと更新が滞っておりまして、読者のみなさまにご迷惑をおかけしました。もうすこしがんばって更新しますので、引き続きご声援ください。
mさて、 今回は「聞く」ということに焦点を当ててみましょう。リスニングに関してはこのシリーズでは初めてですね。そうそう、リスニングといえば、よく英語の聞き取りのことをヒアリングという人がいますが、listeningとhearingでは意味するところが違います。Listenという動詞は「注意をして聞く」という意味で、自ずから意識的に聞くということを意味します。ところがhearは日本語の「聞こえる」に相当し、意識的ではなくて、耳に入ってくる音のことを意味するのです。ですから、CDやラジオの場合はlistenという動詞を使いますが、部屋で鳥のさえずりが聞こえる場合にはhearを使うという具合です。したがってlistening testというと「聞き取りテスト」の意味になり、hearing testというとこれは健康診断の時に行う「聴力検査」ということになります。英語の先生でも結構わかっていない人もいるので、見栄英語講座の読者のみなさんは、このことをことあるごとに世間の人に言って聞かせましょう。このようなくだらない知識の断片をひけらかすことは見栄英語ユーザーの奥義となっています。もちろんこの動詞の違いを克明に説明できればいいのですが、そこは見栄英語ユーザーの方ですから、単にこう言えばいいのです:「ヒアリングテストって病院でやるやつだぜ」
m本題に戻りましょう(笑)。「聞く」ということに関連して見栄を張るというのはなかなか難しいものです。だって自分が英語を聞いているってことをなかなか他人はわかってくれませんからね。 そこで今回はその中でも比較的他人にアピールしやすいものをご紹介しましょう。それはタイトルからわかるとおりニュースを英語で見る(聞く)というものです。 方法は簡単です(って、難しいことはこの講座にはないけど)。 夕方6時からのニュースがありますね。民放各社がこぞってやってますので、まずそれを見ます。番組自体はあなたが好きなキャスターが出ている番組でかまいません[1]。6時台のニュースは普通
にそのまま見てください。別になにも必要ありません。ただし、ここで注意しなくてはいけないことがあります。それはニュースを漫然と見ないということです。その日l日でどんなことが起こったのかしっかりと把握しておきましょう。なお、この6時台のニュースはできれば一人きりで、誰もいない部屋で見ましょう。絶対に家族がいないところで見てください[2]。
m夕方6時台のニュースを見終わったら、家族のいる部屋に行き、チャンネルを切り替えてNHKにしましょう[3]。そのまま民放のお馬鹿なバラエティなどを見てはいけません。いくら子供が「モーニング娘。が出てるからって見せて!」とか、奥さんが「SMAPが出てるのよー!」などといっても、あるいはご主人が「深キョンがああ!」と騒いでも動じてはいけません[4]。あるいは誰になにも言われなくてもNHKにチャンネルを合わせ、そのまま7時台のニュースを見ます(えっ?!言われなくても我が家はいつもそうだって?そりゃ失礼しました)。まあ、日本の平均点的家庭なら6時50分くらいからの天気予報からそのままニュースを見るパターンはありがちです。し・か・し、今日からそのいつものパターンに変化をつけましょう。ニュースが始まったらテレビのリモコンについている「音声切り替え」ボタンを押して、副音声にするのです。ほら、そうすると、英語のアナウンスが聞こえてきましたね。奥さん/旦那さんや子供さんなどに「どうしたの?英語だよ?」と言われても何も言わずに、そのまま見ましょう。こういうときに「いいんだよ」とか「英語の勉強」などというのはいいわけがましく野暮です。この辺は見栄英語ユーザーならあくまでも自然に振る舞いましょう。
mさて、副音声にするとNHKニュースがそのまま同時通訳の英語で聞こえてきますが、3分ほどすると家族から「聞いててわかるの?」と尊敬の念9%、小馬鹿にした気持ち91%の混合心理とともに質問されますので、すかさず「総理大臣の答弁を巡っての解釈の違いさ」などと本当にニュースで報道していることを言ってあげましょう。「ええええ?!俺/私、そんなのわかんないよー!」とここで読者のみなさまには一つ驚いてほしいところです(笑)。もちろんそんなことを恐れる必要はありません。英語の放送を理解する必要なんて全くないんです。だからといって家族にでたらめを言うとすぐにばれます[5]。そこは内容を正確に家族に説明しましょう。ではどうやって?そのために6時台のニュースを一生懸命見ていたことが役に立つのです。あなたはすでにその日1日の出来事を知っています。で、7時台のニュースでも画面
にはニュースのタイトルや、資料映像などを流しますので、だいたいどんなニュースをやっているかは簡単に推理できるのです。たとえば画面
に「株価」なんて出てきたらその日の株価が急落したのか、あるいは反発したのかをすでに6時台のニュースで知っているのですから、あとは自分の言葉で家族に説明するだけです。だれも家族は同時通
訳なんかをしてくれなんて言うこともないでしょうから。
mおそらくあなたが本当に理解しているのかどうかを試すために家族は「本当?」などといいながら、すぐに日本語放送に切り替えるかもしれません。でもご安心を。なんたって正確な情報を家族に伝えたのですから。家族も「確かにあなたが言った内容の通 り」と感心するはずです。ね、だからこそ6時台のニュースは家族に隠れ、でもしっかり見なければならないのです。
mこの手法は家族よりもむしろお客さんを呼んだときの方が効果的です。特に独身のみなさんの場合がそうでしょう。ただその時にはお客さんを招待する時間は7時からにする必要があります。決して7時前にお客さんを呼んで手の内がばれるようなことはしないようにしましょう。7時過ぎに招待されたお客さんはあなたが7時のニュースを英語で見ている姿を見て、「な〜に格好つけてるんだよ!ケッ!」と軽蔑にも似た感情を抱くか、あるいは「すっげー!英語でやんの。でも本当にわかってんのかなあ?」と尊敬と疑念の念を抱きます。そこで質問がない場合には適当に「あ〜あ、株価もだめだねえ」などと一言つぶやきましょう。そしてそのニュースの解説をしてあげればいいのです。だれもすべてのニュースの内容を聞いたりしません。そんなことしたら、いつまでたってもテーブルのビールを飲めなくなっちゃうじゃないですか!
ニュースを見ていると、同時通訳者が途中で交代するのに気がつきます。男性から女性、あるいは声やイントネーションが変わるのですぐにわかります。そのときにちょっとだけつぶやきましょう。「あーやっぱりイギリス英語はスタッカートだねえ。」実際に同時通
訳者は日本人、アメリカ人、イギリス人といろいろいるようです。日本人英語の発音は我々の耳になじんでいるのですぐにわかりますが、アメリカ英語とイギリス英語の違いをわかるのにはちょっと時間がかかるかもしれません。でも抑揚が大げさで歯切れがよく、ちょっとスタッカート気味なのはイギリス英語なのです。そこでまあさっきの一言を言うわけです。もっともどこでイギリス英語に変わったかはわからないでしょうから、これは適当に声が変わったところでつぶやきましょう。どうせ家族も他のお客様もわかりゃしないんですから。
mもっとも一つこのテクニックにも落とし穴があります。それは番組の途中で突発的に入ってきたニュースなどです。たとえば地震情報とか、臨時ニュースとか。同時通
訳でもそのニュースを伝えます。そのときに家族やお客さんから「ねえ、何言ってるの?」と聞かれます。さすがにこのときには対処しようがないので、急いで「うっ!!!!」と唸ってからトイレに駆け込みましょう。
註
[1] 私は東海テレビの松井美智子アナと菊池恵子アナの大ファンなのでなんたってこれを見ます。あー、サインがほしいなあ。誰か東海テレビの関連の人、このページをみてお二方のサインを送ってください!
[2] だからってついでにいかがわしいものなんか見ちゃだめよ!(。_*)\バキッ
[3] 昔、学生時代にNHKの視聴料を滞納していたらおじさんがやってきてアパートの前で大声でどなりました。怖くてすぐに料金を払ったのは言うまでもありません(笑)。