歯髄再生の臨床研究を国立長寿医療研究センター(中島美砂子部長のグループ:愛知県大府市)と愛知学院大学(中村 洋教授のグループ:名古屋市千種区)が共同で厚生労働省に申請をし、平成24年10月18日に厚生労働省科学技術部会により承認されました。この歯髄再生の研究は日本で初めての臨床研究となります。
この歯髄再生は、抜歯した親知らずなどの神経(歯髄)から、幹細胞を採取して、この幹細胞を、自分の歯髄を取り除いた歯に入れて歯髄を再生させる方法です。
すでに、動物実験では、このような方法で歯髄が再生することが確認されています。
今回の臨床研究の承認により、ヒトで歯髄再生の臨床研究を実施することになり、出来るだけ早い時期に臨床研究が始まる予定です。
現在の治療では、う蝕(虫歯)が進むと抜髄(神経を取り除く)をしなくてはなりません。抜髄をすると、その歯には大きな修復物などが必要になることがあり、治療費も多くかかることがあります。しかし、歯髄再生が可能となれば医療費の抑制にもつながると思われます。また、抜髄をすると歯に知覚がなくなり、知らないうちにう蝕が進行し抜歯をしなければならなくなる可能性もありますが、これも回避することが可能となります。
今回の研究は内閣府などが支援する「先端医療開発特区(スーパー特区)」に選定されています。全国で24課題採択されたスーパー特区には、ノーベル医学生理学賞の受賞が決まりました京都大学の山中伸弥教授のプロジェクトも含まれています。