開講年度2023
開講学科商学科 2013年度以降入学
2020年度商学部商学科
科目名証券論A
担当教員北川 彰男
学期曜日時限春学期 月曜日 5時限
チームコード2p97a6m
科目区分選択
授業形態講義
対象学年2年
単位数2
科目ナンバーC231-236-05
関連性が高い
ディプロマ・ポリシー
C-DP2-5 金融に関する深い知識や優れた技能を身につけている。 ◎
キャンパス名城公園キャンパス
担当教員の実務経験実務経験あり


テーマ
日本経済の持続的成長、株価の長期上昇波動の構築は、なぜ必要なのか。証券市場の視点から、明るい未来を実現するための進むべき道を考察します。
授業の概要
証券市場の今後の動きを推察していくためには、①経済に対する知識、②過去の流れを含めた金融・証券市場に対する知識、③国内外の政治動向に関する知識、④現状において、どのような数値・材料が証券市場に最も影響しているのかを見極める感性力。以上の①~④を主体に多様な知識が必要になります。多くの金融商品の中から、より賢明な選択を行う能力、証券市場に影響をもたらす複雑に絡み合う各種の材料を解きほぐす思考力、これらの着実な向上を目指しています。当講義は、証券市場の分析のみに留まらず、講師の47年にわたる証券マンとしての経験や実社会での体験なども交えて、学生の皆様が広い視野と高いコミュニケーション能力を持ち、人から評価される人財として成長していくことに貢献できればと思います。
授業の到達
目標
証券に関する幅広い知識を身に付けることができます。証券投資の世界では、より高い投資成果を得るための絶対的な投資尺度・羅針盤となるものはありません。証券市場の短期的な動向を計算することは不可能といえます。だからこそ、多様な視点から証券市場を分析する必要性があります。当講義ではその視点に関する広範な知識を吸収することが可能になります。現在、官公庁や各企業などにおいてグローバルな視点や高いコミュニケーション能力を持つ人財が求められています。証券市場に多大な影響をもたらす世界経済や政治の動向、さらに、それらの過去の推移、歴史などを当講義で学び、課題レポートを作成することにより、現代の若者に必要とされているグローバルな感覚、複眼的で柔軟な思考力、コミュニケーション能力の向上につなげることが可能になります。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
成績発表日以降にウェブキャンパスの講義連絡機能を活用して、授業講評と受講者の今後の学修に関するアドバイスを送信します。また、直近のタイムリーな話題があれば、講義の補足説明として併せて送信します。なお、学内のメールアドレスで、課題や講義内容に関する質問を受け付けており、この質問に対する考えは、皆にフィードバックした方が良いと思ったことは上記の講義連絡機能を通じて、全員に送信するようにします。
使用言語
日本語
実務経験をいかした教育内容
1976年に木村証券株式会社(創業明治26年、名古屋で最も老舗の証券会社)に入社しており、営業職23年、調査部約20年の職歴があります。2019年2月に一旦退職しましたが、同年6月に常勤監査役(現時点任期、今年6月)として復職しています。以上の実務経験に基づき、投資で成功した例や何を間違えると大きな投資の失敗に繋がるのか。より具体的な話をして、証券市場を身近なものに感じてもらう事を目指しています。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1相場と柿は落ちる前が一番美味しい。なぜ、日経平均株価は1989年末が大天井になったのか。株式市場は何を予見して2012年6月まで続く長期下落相場に陥ったのか。その要因は何であったのか。日米の株価は、1989年末を基点になぜ、大幅な乖離が発生したのか。第一回は、オリエンテーションという位置付けにし、講義全体の概要や今後の学習の課題などを解説する。また、日経平均株価の計算方法などを説明する。証券市場を理解するためにも予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
21985~1989年、株価上昇の旗印、債権大国ダイナミズム、その後の動きは。国家の発展形態の説明。日本経済は1984~2007年、ほぼ10兆円以上の貿易黒字が続く。1991年以降、対外純資産残高世界一が継続。日本の圧倒的な対外経済力の強さに反して、株価の長期低迷が続いた真因。日本の貿易収支の特性について説明。日本経済に対する米国・中国の影響力の大きさ。対米貿易黒字額と有効求人倍率の関係について。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。復習材料として本日のポイントを提示。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
31955年以降、日本の実質GDPの年代別推移、GDPはなぜ、低下したのか。GDPの特性と併せて説明。1989年末にかけての株価急騰は、地価の大幅上昇で押し上げられたもの。土地と株式の含み益急増、金融機関の貸出金の大幅増寄与。バブル発生のメカニズムの正体は。日経平均株価7万円説、38,915円の株価大天井の原動力、トービンのQ理論を応用した「実質PBR・Qレシオ」の登場、東証REIT指数等の各説明。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。復習材料として本日のポイントを提示。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
41990年以降、株価長期低迷の今一つの要因。激増する外国人株主と持合株解消、海外投資家急増による市場・経済への影響力拡大。1990年以降の海外投資家による売買代金差額。2005年8~11月、なぜ、海外投資家は日本株を高く評価したのか。現実との極端な乖離が時々発生する株価。陽と陰、光と影が交錯する株式市場。知識にプラスして、本質は何かを見極める感性力の重要性。年金積立金管理運用独立行政法人の登場。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。復習材料として本日のポイントを提示。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
5バブル崩壊以降、日本の株式市場の主役になった海外投資家。2015年8月以降、売りに転じる海外投資家、それを代替する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)と日本銀行の存在。2016年以降の海外投資家、信託銀行、日本銀行の売買代金差額。日銀によるETF購入の推移と含み益。直近のGPIFの資産運用額と構成割合。海外投資家の月間・年間の買越し・売越しランキング。貯蓄から投資の流れが定着しなかった真因。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートー①を提示。
6「落ちてくるナイフはつかむな」ウォール街の格言。株価予測の重要ポイント、底値を探る実例を紹介。ユーロ危機発生による株価急落、2012年7月のスペインの金利とイタリアの金利。株価上昇の夜明け前、同年11月13日、日経平均株価ベースのEPSの水準は。安倍内閣と黒田日銀総裁の登場、株価急上昇の解説。2013年5月23日の株価急落の要因は。グランビルの八つの法則。GC、DCなどテクニカル要因について説明。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。復習材料として本日のポイントを提示。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
7株価に多大な影響力をもたらす企業業績について。2013年12月の高値から2014年4月まで日経平均株価は急落、なぜ2013年10月の安値近辺で下げ止まったのか。調査機関の企業業績予想の重要性とその季節性について。日経平均ベースの予想EPSの推移を提示、株価がどのような経緯で業績予想に影響を受けるのかを解説。日経平均と200日移動平均との乖離率。中国要因の台頭、人民元相場。原油価格と日本の株式市場。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。復習材料として本日のポイントを提示。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
82016年6月23日、英国は国民投票でEU離脱決定、混沌とするEU離脱問題。日経平均は再度、15,000円割れ。株価は売りか買いか、判断基準は。英国EU離脱の損得勘定の分析、同国民の単なる自己満足の問題である事を解明。1989年末株価大天井時の日本企業と米国企業の平均PER。1982年以降の日米主要平均株価の主な推移、両国の名目GDP伸び率の変遷。債券と格付け、日本の10年国債応募者利回りの推移。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。復習材料として本日のポイントを提示。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
91990年9月以降、日本の新発10年国債の流通利回りの主な推移。ゼロ金利政策のスタートと同政策の解除、経済混迷、株価急落への対応、ゼロ金利の復活と量的金融緩和策、不良債権処理の断行による株価上昇。再度の金融引締めとリーマンショック。2013年4月「量的・質的金融緩和」の実施。マイナス金利政策の影響度。米国の長期的な金利見通し。1971年8月以降のドル円相場と米国10年国債流通利回りの推移と関連性。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。復習材料として本日のポイントを提示。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
10株価の予測が難しい最大の要因は、突然、経済構造の前提が変わる事。日本の地価の異常な高さ、米国のGDPに対する経常赤字額の巨額さ、数十年前より有識者が指摘。何も問題は露呈せず、大多数の人が油断した時に突然、問題点が噴出、経済の大混乱から株価は暴落。矛盾の蓄積の恐さ。2004/6~2005/6、FRBのFFレート引き上げの際、米10年物国債利回りは低下。グリーンスパンFRB議長(当時)の謎発言を探求。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートー②を提示。
11日本銀行の金融政策の主な推移。ドル円相場と日銀の金融政策。2010年3月25日、日銀審議委員、プロアクティブに政策を実施の発言。2008年12月以降の米国の量的緩和策、急速に進展するドル安円高の真因。日米CPI上昇率の大幅乖離、購買力平価の説明。自国通貨建て長期国債格付けの状況。1970年以降のマネタリーベースの推移。2013年4月以降の量的・質的金融緩和政策、マイナス金利政策、YCCの説明。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。復習材料として本日のポイントを提示。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
12日経平均株価7万円への道①。イールドスプレッド(YS)の説明。東証一部、S&P500採用企業のYS推移と年代別平均値。2009年3月以降、NYダウの予想EPSとYS。長期間「10倍~20倍台」で推移する米予想PER、同国経済の強みについて。日経平均の予想EPSの長期推移。低水準の日本のPBRの真因。過去のPBR水準から株価の下値メドを推察。日米名目GDPに対する時価総額比率の長期推移と上値メド。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。復習材料として本日のポイントを提示。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
13日経平均株価7万円への道②。1966~2006年、日米主要平均株価指数は何に連動していたのか。過去の東証一部のEPS伸び率と米国のPER水準等から日経平均の長期予測を試みる。主要平均株価にほぼ連動するなどのETFやドルコスト平均法の説明。貯蓄から投資実現のための必須条件。第14回のディスカッション・プレゼンのグループ分けについて、希望があれば同日にグループ分け、課題を提起、学習を要請。12回目までと同様の予習・復習・学習時間。復習材料として本日のポイントを提示。加えて、第14回のグループ別討論とプレゼンの課題を伝達しますので、考えてくるようにして下さい。同学習時間(60分以上)。
14グループ分け(数人の単位にて自分達でチームを組んでも良いが、そうでない場合は講師が数チームになるようにその時点でグループ分けをする)をし、ディスカッションとプレゼンテーションをグループごとに実施する。各グループは、それに対して質問する形態をとる。同プレゼンの課題は、課題レポートー③に加える。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートー③を提示。
15日銀引受けの戦略的活用法。日本の株価の長期上昇波動は、なぜ必要なのか。証券論Bで詳述する人口問題と併せて財政赤字問題は日本経済の持続的成長、株価の長期上昇波動構築に対して最大の阻害要因。若者に多大な負担を及ぼす将来的な大増税を回避するために費用対効果の高い政策を提示。将来的に人口減で内需が大幅縮小の危険性。日本の主な上場企業の海外売上高比率提示、上場企業投資はリスクヘッジの有力手段である事を解説。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。復習材料として本日のポイントを提示。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
試験実施方法
定期試験=1
レポート=2
その他=3
3
評価方法
評価方法割合評価基準
課題レポート①~③の提出。各回、100点満点として、合計300点を最終的に3で割って100点満点で評価します。100%レポートは論旨の明確さや図表等を引用し、分かりやすく説明しようとする姿勢を重視しています。出席は出席表提出で確認、遅刻・早退・頻繁な途中退席等は出席と認めない事もあります。チームズ生配信を最初から最後まで視聴の際は出席とします。なお、授業態度を成績に加味します。授業態度の定義については、初回講義で説明します。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『チームズ・WebCampusにて配布』
参考書
  ・
参考資料
参考URL
1.財務省財政赤字、一般会計予算額、税収、国際収支等の数値の把握
2.日本銀行金融政策の推移、日銀当座預金残高、貸出約定平均金利等の数値の把握
3.総務省統計局人口推計、消費者物価指数、労働関係等の数値の把握
質疑応答
学内メールを活用した方が確り応答できるので、同メールを優先して対応したいと思います。質疑応答アドレスは「tomohiro@dpc.agu.ac.jp」になります。又、質問の内容次第で、全員に伝達(質問者名は未公表)する事もあります。尚、上記課題レポートは、原則としてワードで作成後、添付し、同アドレスに送信して下さい。その際、課題レポートの番号・学籍番号・名前をファイル及びレポートに明記して下さい。
備考
証券市場の変動要因は会社の業績、需給(人気、テクニカル指標、裁定取引、信用残等)、 経済、金融(金利)、為替(主にドル円)、商品市況(原油、銅、金等)、国際政治情勢、市場内制度、税制など多様なことから、新聞やテレビ等のニュースを通じて関心を高めて下さい。講師は証券会社での47年にわたる自身の知識や経験に基づく率直な「証券論」を展開し、株価の長期上昇波動の必要性を学生の皆様に提示できればと思います。証券の講義を履修するなどと余り難しく考えずに『知識を吸収することを楽しむ気持ち』で受講して下さい。
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更新日付2023/02/04 12:01:38