開講年度2022
開講学科法律学科 2013年度以降入学
2020年度法学部法律学科
科目名外国法B
担当教員鈴木 慎太郎
学期曜日時限秋学期 火曜日 4時限
チームコードuj8s57j
科目区分選択
授業形態講義
対象学年3年
単位数2
科目ナンバーJ331-211-08
J331-211-09
関連性が高い
ディプロマ・ポリシー
J-DP1-2 多様な文化に関する知識 ◎ J-DP4-1 事実を客観的に把握する能力 ◎ J-DP5-1 法の精神の理解 ◎
キャンパス名城公園キャンパス
担当教員の実務経験


テーマ
判例から読み解くアメリカ社会
授業の概要
 アメリカの法制度は判例を中心に形成されています。この講義では、各回1つの判例を検討し、私たち日本人の法感覚と比較しながら、アメリカ法の原理やアメリカ社会の文化を理解することをめざします(アメリカ法制度の全体構造についての説明は「外国法A」で行い、この講義では行いません)。
 検討する判例は、アメリカの法原理や文化が鮮明に現れると考えられる、表現の自由や信教の自由、生命倫理の問題に関するものです。講義は、アメリカのロースクールで行われているように、受講生との双方向の議論を中心に進めます。こうした議論に参加できるよう、受講生には、配布された資料をもとに、講義で扱う事件の事実の概要、争点、判決理由などについて、あらかじめ自分の理解をまとめた上で講義に出席することを強く求めます。
授業の到達
目標
(1) 判例を批判的に検討できる。
(2) 判例から法原理を抽出できる。
(3) 判例を例に、アメリカ社会の文化や歴史を説明できる。
(4) 判決を下す際に考慮すべき事項について説明できる。
(5) 複数の異なる立場を理解したうえで自分の見解を論理的に表現できる。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
WebCampusの「講義連絡」を使用して授業講評を送信します。
「200字判例検討」は、1週間後の講義時に、添削し、評価したものを返却します。
使用言語
日本語
実務経験をいかした教育内容
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1◇イントロダクション
①講義の概要説明
②アメリカにおける裁判所の地位と判例
【予習】アメリカの裁判所と日本の裁判所の違いについて調べる。(30)
【復習】アメリカの裁判所の概要とアメリカ法における判例の位置づけを確認する。(30)
2◇表現の自由(1) 煽動: Brandenburg v. Ohio, 395 U.S. 444 (1969)
①煽動的表現にも「表現の自由」を認めるべきかについて考える。
②200字判例検討の作成
【予習】憲法の教科書を用いて、日本における表現の自由の保障のあり方について復習する。(60)
【復習】取り上げた判例についての分析・検討を行う。(60)
3◇表現の自由(2) 名誉毀損: New York Times Co. v. Sullivan, 376 U.S. 254 (1964)
①前回の判例の検討と分析
②名誉毀損的表現にも「表現の自由」を認めるべきなのかについて考える。
③200字判例検討の作成
【予習】取り上げた判例についての分析・検討を行う。(60)
【復習】返却された200字判例検討を確認し、講義での議論をふまえて、判例の分析・検討をさらに進める。(60)
4◇表現の自由(3) 差別的表現: R. A. V. v. City of St. Paul, 505 U.S. 377 (1992)
①前回の判例の検討と分析
②差別的表現にも「表現の自由」を認めるべきかについて考える。
③200字判例検討の作成
【予習】取り上げた判例についての分析・検討を行う。(60)
【復習】返却された200字判例検討を確認し、講義での議論をふまえて、判例の分析・検討をさらに進める。(60)
5◇表現の自由(4) 象徴的表現: Texas v. Johnson, 491 U.S. 397 (1989)
①前回の判例の検討と分析
②「象徴的表現」の「表現の自由」による保護の限界はどこまでか
③200字判例検討の作成
【予習】取り上げた判例についての分析・検討を行う。(60)
【復習】返却された200字判例検討を確認し、講義での議論をふまえて、判例の分析・検討をさらに進める。(60)
6◇信教の自由(1) 宗教的行為の規制: Church of the Lukumi Babalu Aye v. City of Hialeah, 508 U.S. 520 (1993)
①前回の判例の検討と分析
②宗教的儀式で動物を生贄にすることを禁止する市の条例は違憲かについて考える。
③200字判例検討の作成
【予習】取り上げた判例についての分析・検討を行う。(60)
【復習】返却された200字判例検討を確認し、講義での議論をふまえて、判例の分析・検討をさらに進める。(60)
7◇信教の自由(2) 神学生への公的奨学金: Locke v. Davey, 540 U.S. 712 (2004)
①前回の判例の検討と分析
②州が行う低所得家庭向けの奨学金の対象から、大学で司祭向けの神学を学ぶ学生を除外することは合憲かについて考える。
③200字判例検討の作成
【予習】取り上げた判例についての分析・検討を行う。(60)
【復習】返却された200字判例検討を確認し、講義での議論をふまえて、判例の分析・検討をさらに進める。(60)
8◇信教の自由(3) 公立学校での祈祷: Lee v. Weisman, 505 U.S. 577 (1992)
①前回の判例の検討と分析
②公立学校の卒業式での祈祷は、国教樹立禁止条項違反かについて考える。
③200字判例検討の作成
【予習】取り上げた判例についての分析・検討を行う。(60)
【復習】返却された200字判例検討を確認し、講義での議論をふまえて、判例の分析・検討をさらに進める。(60)
9◇信教の自由(4) 公教育での進化論の扱い: Edwards v. Aguillard, 482 U.S. 578 (1987)
①前回の判例の検討と分析
②公立学校で「創造科学」を教えることなく進化論を教えてはならないとする州法は、国教樹立禁止条項違反かについて考える。
③200字判例検討の作成
【予習】取り上げた判例についての分析・検討を行う。(60)
【復習】返却された200字判例検討を確認し、講義での議論をふまえて、判例の分析・検討をさらに進める。(60)
10◇生命倫理問題(1) 胚をめぐる権利争い: Davis v. Davis, 842 S.W.2d 588, 597 (1992)
①前回の判例の検討と分析
②「胚」に対する権利は、どのようなもので、誰が持つのかについて考える。
③200字判例検討の作成
【予習】取り上げた判例についての分析・検討を行う。(60)
【復習】返却された200字判例検討を確認し、講義での議論を踏まえて、判例の分析・検討をさらに進める。(60)
11◇生命倫理問題(2) 代理出産をめぐる権利争い: Johnson v. Calvert, 5 Cal.4th 84 (1993)
①前回の判例の検討と分析
②代理母出産での母親は、依頼者か懐胎した女性かについて考える。
③200字判例検討の作成
【予習】取り上げた判例についての分析・検討を行う。(60)
【復習】返却された200字判例検討を確認し、講義での議論をふまえて、判例の分析・検討をさらに進める。(60)
12◇生命倫理問題(3)  望まれなかった生?: Turpin v. Sortini, 31 Cal.3d 220 (1982)
①前回の判例の検討と分析
②生まれたことが「損害」といえるかについて考える。
③200字判例検討の作成
【予習】取り上げた判例についての分析・検討を行う。(60)
【復習】返却された200字判例検討を確認し、講義での議論をふまえて、判例の分析・検討をさらに進める。(60)
13◇生命倫理問題(4) 自殺幇助の権利?: Washington v. Glucksberg, 521 U.S. 702 (1997)
①前回の判例の検討と分析
②自殺幇助を禁止した州法は違憲かについて考える。
③200字判例検討の作成
【予習】取り上げた判例についての分析・検討を行う。(60)
【復習】返却された200字判例検討を確認し、講義での議論をふまえて、判例の分析・検討をさらに進める。(60)
14◇生命倫理問題(5) 臓器提供の意思: Little v. Little, 576 S.W.2d 493 (1979)
①前回の判例の検討と分析
②無能力者からの臓器提供は、後見人の同意で、認められるかについて考える。
③200字判例検討の作成
【予習】取り上げた判例についての分析・検討を行う。(60)
【復習】返却された200字判例検討を確認し、講義での議論をふまえて、判例の分析・検討をさらに進める。(60)
15◇まとめ:自由・権力・理由
①これまでの判例検討を振り返る。
②これまでの判例検討をふまえ、自由と権力と理由の関係について考える。
【予習】取り上げた判例の分析・検討を行う。(60)
【復習】返却された200字判例検討を確認し、講義での議論をふまえ、判例の分析・検討をさらに進める。(60)
講義全体を振り返る。(30)
試験実施方法
定期試験=1
レポート=2
その他=3
2
評価方法
評価方法割合評価基準
200字判例検討30%指定した形式に従って、適切に判例の検討が行える。
期末レポート70%講義で学んだことを踏まえ、的確に判例の検討が行える。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『講義時に資料を配布する』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『アメリカ法判例百選』樋口範雄他編有斐閣2860円978-4-641-11513-2出版年:2012年
2.『憲法で読むアメリカ史(全)』阿川尚之筑摩書房1540円978-4-480-09579-4出版年:2013年
3.『アメリカ憲法入門 第8版』松井茂記有斐閣3190円 978-4-641-04823-2出版年:2018年
参考URL
1.在日米国大使館・領事館アメリカ大使館のウェブサイト
2.アメリカンセンターJAPANアメリカの文化情報、留学情報
質疑応答
講義や参考文献に関する質問・コメントは大いに歓迎します。講義の前後やオフィスアワーを利用してください。
オフィスアワーは、火曜3限、71006研究室です。
備考
アメリカ法制度の全体構造についての説明は「外国法A」で行い、この講義では行いませんので、外国法Aの既修者であることが望ましいですが、外国法A未履修者の受講も可能です。
画像
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更新日付2022/02/03 22:20:15