開講年度2022
開講学科総合政策学科 2013年度以降入学
心理学科 2013年度以降入学
健康栄養学科 2013年度以降入学
2022年度心理学部心理学科
2018年度心身科学部健康科学科
2018年心身科学部心理学科
2022年度総合政策学部総合政策学科
科目名生物学Ⅱ
担当教員矢部 隆
学期曜日時限秋学期 金曜日 3時限
チームコード0fdoulj
科目区分選択
授業形態講義
対象学年1年
単位数2
科目ナンバーB131-420-22
関連性が高い
ディプロマ・ポリシー
B-DP3-4 論理的思考力 ◎ B-DP3-5 問題解決力 ◎
キャンパス日進キャンパス
担当教員の実務経験


テーマ
性に関わるさまざまな疑問や謎、問題を生物学的に考えて解釈する
授業の概要
この講義のテーマは「性の生物学」です。すべてと言って良い生物種が性を持っているのですが、生物の性については未解決の問題がまだまだたくさんあります。そもそもなぜ性が存在するのかさえよく分かっていないのです。しかし生物のこと、特に生殖に関わるさまざまな現象を理解しようとするときに、性を避けることはできません。一方ヒトは性を生殖だけではなくコミュニケーションの道具としても使うようになった数少ない生物であり、そのために現代社会ではジェンダーや性的マイノリティー、性暴力、性支配、「不道徳」な性といった性に関わるたくさんの問題が生じています。そのような背景のもとでこの講義では、ヒトを含めた生物の性に関わるさまざまな現象を生物学的に解き明かすことを目的とします。
授業の到達
目標
1.講義では遺伝学、発生学、生理学、行動学、生態学、進化学などの分野の知見や法則、理論を駆使して性について探究するので、一般的な生物学的教養および科学的、論理的に思考できるようになってください。
2.生物学的に理解した性のことを踏まえて、最近新聞やニュースで頻繁に取り上げられる人間社会でのジェンダーや性的マイノリティー、性暴力、性支配、「不道徳」な性といった性に関わる諸々の事柄に対して自分なりに問題解決を試みることができるようになってください。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
WebCampus等で講評を送ります。
使用言語
日本語
実務経験をいかした教育内容
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1なぜ2つの性が存在するのか?:地球の生命の進化の歴史の中で、性はいつどのような条件のもとで発生したのか、また性はなぜ(基本的に)2つしか無いのか、進化生物学的に考察します。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
2なぜ性比は1:1なのか?:多くの生物の個体群では、オスとメスの数はほぼ同じです。この回では、なぜこの比率になるのかを説明するフィッシャーの性比理論を紹介します。そして性比が1:1にならないのはどのような要因によるのか、それは非適応的なのか否か考えます。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
3性決定のしくみ1 遺伝的性決定:性を決定する最も重要な因子は性染色体ですので、まずその性決定様式について説明します。ところが性染色体がある性になる組み合わせであったとしても、発生、成長が進むにつれて別の性になることがあるので、その変化がどのように起こるのか解説し、性決定が簡単な現象でないことを示します。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
4性決定のしくみ2 環境依存的性決定:ワニの全種、カメの多くの種、そしてトカゲのごく一部の種は性染色体を持っていません。それらの種では産み出された卵がさらされる温度によって性が決定されるという特異な特徴を持っています。そのような環境依存的性決定の生物学的過程を説明し、なぜ性比が1:1に安定せず適応的とは考えられないそのような性決定様式が成立するのか、考察します。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
5性転換の原因としくみ:愛知の海にも生息するホンソメワケベラやアニメで人気者となったカクレクマノミは性転換をすることで知られています。この回では、性転換はどのような場合に起こるのか、どのような適応的意味があるのかまとめます。合わせてカタツムリやミミズなどに見られる雌雄同体の適応性についても考察します。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
6性決定や性転換におけるホルモンの働き:性決定や性転換の時における性ホルモンの種類や巧みな作用の仕方についてまとめます。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
7性の分化や生殖行動におけるホルモンの働き:性ホルモンは外部形態や行動の性差を生じさせる働きもします。この回ではそのように作用する性ホルモンについてまとめます。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
8脳の性差:脳の構造と機能に性差があることは科学的に明らかになっています。しかし感情的、主観的に性差の存在を認めようとしなかったり、逆に非科学的に性差を強調したりする主張が続けられています。今回は進化的背景を踏まえた上で脳の構造と機能の性差をまとめます。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
9体の大きさや形、色の性的二型はなぜ生じたか?:体の大きさや色、模様、あるいは角や顎といった外部器官に性的な二型が見られる種があります。かのチャールズ=ダーウィンは性的二型の進化には自然淘汰ではなく性淘汰のプロセスが働くと考えました。この回ではダーウィンの性淘汰説について詳述します。また性淘汰には依存せずに発達する性的二型についても言及します。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
10配偶行動のパターンと進化:配偶行動とは、繁殖期にオスとメスが接近してから交尾に至るまでに取る行動のことで、さまざまな型で求愛行動をしたり、いろいろな方法で強引に強制授精したりします。それらの配偶行動が種ごとにどのように進化したのか考察します。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
11鳥類と哺乳類の配偶システム:鳥類や哺乳類では種によって一夫一妻制、一夫多妻制、一妻多夫制、乱婚制を取ります。どのような環境的、生態的条件のもとでどのような配偶システムを採用するのか、その進化を考察します。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
12ヒト科のサルの配偶システム:ヒト科に属するオランウータンのなかま、ゴリラのなかま、チンパンジーのなかまのそれぞれが採用している配偶システム、家族制を比較しながらまとめます。そしてそのまとめを踏まえて、あまりよく分かっていないヒトの本来の配偶システムや家族制を予測します。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
13どちらの性が子育てをするのか?:産卵や出産の後でその卵や子を保護する種がいますが、父と母のどちらが保護するのか、あるいは両親で保護するのかは種により異なっています。親による子の保護という行動がどのように進化してきたか、考察します。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
14性をコミュニケーションの手段とするボノボとヒト:ヒトとかつてピグミーチンパンジーと呼ばれていたボノボは、性を生殖だけではなく異性間のコミュニケーションの手段とします。しかしコミュニケーションの目的はボノボとヒトとでは異なるようです。両種の性的コミュニケーションの意味の違いを明らかにします。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで性やジェンダーに関わる話題を見つけたら、メモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
15「人間」における性とジェンダー:この回では「性(sex)」を「自然淘汰や性淘汰といった生物(学)的過程で形成された性差」、「ジェンダー(gender)」を「社会的、文化的に形成された性差」と定義して、「人間」における性差をまとめ、社会的存在である人間の個人全てが安泰に幸せに生きるためには性差をどう扱えば良いのかを考える。15回:2時間以上。最後の授業で定期試験について話しますので、出題されそうな部分を中心に復習をして試験対策をしてください。
試験実施方法
定期試験=1
レポート=2
その他=3
1
評価方法
評価方法割合評価基準
定期試験100%記述の解答では、授業で伝えた必要な語句が漏れ無く使えているか、そしてそれらの語句が倫理的に配列されて文が構成されているかを評価します。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『資料プリントを配布します』
参考書
  ・
参考資料
参考URL
質疑応答
1.eメールで受け付けます。メールアドレスは授業の時に知らせます。
2.時間的余裕があれば授業後に解答します、また貴重な質問であれば、他の学生の皆さんにも知ってもらえるよう、次の回の講義の中でその質問内容と私の解答を述べます。
備考
1.テキストは使いませんが、書き込み式のノートになっている資料プリントを配布します。
2.参考文献は、授業の中で適宜紹介します。
3.この講義で得た性に関する知識を参考にしたり活用したりして、人間が持つべき性の考え方、人間社会における性のありようを深く考察したり友達と議論したりしてください。個人の発想や活動の指針は形成できても、普遍的な結論は出ないかもしれませんが。
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更新日付2022/02/17 11:53:18