開講年度2022
科目名生体材料・歯科材料 (春)
科目ナンバーD211-574-01
開講学科歯学部歯学科 2015年度以降入学
(全)開講学科歯学部歯学科 2015年度以降入学
歯学部歯学科 2002-2014年度入学
2020年度歯学部歯学科
部門専門  
開講種別通年
対象学年2年
担当者河合 達志
実務経験教員歯科医師
関連性が高いディプロマ・ポリシー②倫理観・生命科学の基本的知識
単位数3
曜日・時限春学期 月曜日 1時限 楠元第2講義室


コーディネーター
担当講座
歯科理工学講座
担当者
主任教授:河合 逹志、准教授:鶴田 昌三、講師:堀 美喜、非常勤講師:伴 清治
授業の概要
(目的)
生体材料・歯科材料学は高度かつ精巧な歯科臨床を実施するために必要な生体材料・歯科材料、機械器具についてその理論と取り扱い法を学ぶ学問である。物理学、化学、生物学等を包含する歯科基礎科学が主としてその基礎となるので豊富な科学的基礎知識を持たねばならない。
 総論として生体材料・歯科材料を構成する素材と性質について学び、さらにそれぞれの素材から作られた種々な歯科用材料について詳細に学ぶ。
教材(教科書、
参考書等)
『教科書』
◯「スタンダード歯科理工学-生体材料と歯科材料-(第7版)」中嶌 裕他編 学建書院

『参考書』
◎「歯科理工学教育用語集」日本歯科理工学会編者 医歯薬出版
◎「臨床歯科理工学」宮崎 隆他 編著 医歯薬出版
◎「明解歯科理工学(第2版)」長谷川 二郎他著、学建書院
講義(実習)
の方法・形式
板書、液晶プロジェクタによる説明、歯科材料の取り扱い実演。
必要機器
課題
(定期試験・
レポート試験・
授業内試験)の
フィードバック方法
通年講義であるので、秋期講義中に習熟不足項目について追加説明を行う。必要であれば掲示やWebCampusを利用して説明する。
講義・実習
講義(実習)項目・一般目標(GIO)講義(実習)内容・到達目標(SBOs)・
予習・復習
担当者
1【講義項目】                           生体安全性

【一般目標(GIO)】
歯科材料、歯科医療機器の生体安全性の基本的考え方を理解する。
1. 生体材料の定義
2. 生体材料の種類と用途
3.生体安全性と生体親和性
4.生体防御機構
5.生体への為害作用
6.生物学的試験法
7.安全評価基準
【講義内容】
生体安全性の理解

【到達目標(SBOs)】
●生体安全性の評価基準を元にどのように歯科材料が生物学的安全性を担保しているのかについて理解させる。人間の生体反応と歯科材料の組み合わせを理解し、すべての歯科材料、機器が生体材料であることを理解する。
◯「スタンダード歯科理工学」P.53-64

【予習・復習】
予習
・歯科材料の種類を分類しておく。(10分)
復習
・生体安全性の評価基準を整理する(10分)
・生体材料を分類する(10分)
・生体材料と人間の反応の概略を整理する(15分)

【コアカリ】
 D-1-①
 D-1-②
河合 逹志
2,3【講義項目】
歯科用金属材料

【一般目標(GIO)】
歯科用合金の統合的理解を達成するために、以下の項目を学習する。
1. 金属の相変化
1)状態図におけるてこの原理
2)Ag-Cu合金状態図
3)3元組成配置図
【講義内容】
金属材料

【到達目標(SBOs)】
●歯科用合金を理解するため、金属材料の基本を理解する。
金属が相によりどのように変化し、それを表す状態図を理解する。
合金の組成を3元組成配置図で示すことができるようにする。
◯「スタンダード歯科理工学」P.165-169

【予習・復習】
予習
・歯科用合金の種類を整理しておく(20分)
復習
・状態図の概要を理解する(30分)
・Ag-Cu合金状態図を理解する(20分)
・3元組成配置図を理解する(20分)
【コアカリ】
 D-2-②
 D-1-①
 D-1-②
河合 逹志
4【講義項目】
歯科用合金・貴金属合金

【一般目標(GIO)】
貴金属系合金の概要を理解するために以下の項目を学習する。
1. 貴金属系合金
1)金合金
2)銀合金
3)金パラジウム銀合金
【講義内容】
貴金属合金

【到達目標(SBOs)】
●金合金は歯科修復物として古くから用いられている。歯科修復物としての金合金の価値から純金の精錬法や合金化した場合の性質の変化、添加元素とその役割について解説する。またJIS、ADAS、ISOから、金合金の種類と用途について、また金パラジウム銀合金の性質、銀合金の性質を金合金と比較して学ぶ。
◯「スタンダード歯科理工学」P.175-180

【予習・復習】
予習
・金合金の分類を調べておく(10分)
復習
・ADA分類に従った金合金の性質と臨床応用が説明できるようにする(15分)
・貴金属系合金と非貴金属系合金の違いを説明できるようにする(10分)
・金合金の組成および特質を理解しておく(10分)

【コアカリ】
 D-1-①
 D-1-②
 D-2-④
河合 逹志
5【講義項目】
金属の成型加工・熱処理

【一般目標(GIO)】
金属および合金の組成加工の概要、合金の熱処理の統合的理解を達成するために、以下の項目を学習する。
1. 弾性変形と塑性変形
2. 金属の塑性加工と機械的性質
1) 加工硬化
2) 回復と再結晶
3. 熱処理の方法と名称
1)軟化熱処理
2)硬化熱処理
2. 相転移と折出
【講義内容】
金属の成形加工・熱処理

【到達目標(SBOs)】
●金属材料の塑性変形と機械的性質の変化について学ぶ。歯科用合金の熱処理のメカニズムを状態図から考察し、機械的性質の変化を理解する。
◯「スタンダード歯科理工学」P.169-175
予習
・1年で学習した状態図を学習しておく(10分)
復習
・状態図を用いて熱処理を説明できるようにする(20分)
・転位とは何か説明できるようにする(10分)
・硬化熱処理の実際を説明できるようにする(5分)

【コアカリ】
 D-1-②
 D-2-②
 D-2-④
堀 美喜
6【講義項目】
金属の接合とろう付け

【一般目標(GIO)】
ろう付けの概要を理解するために以下の項目を学習する。
1.ろう付け
1) ろう付けの定義と接合機構
2) ろう
 ・ろうの所要性質
 ・ろうの種類
3) ろう付け組織
4) ろう付け用埋没材
5) フラックス
2.溶接
3.鋳接
【講義内容】
金属の接合

【到達目標(SBOs)】
●ろう付けの定義と接合機構を理解し、歯科で用いられるろうの性質について理解する。ろう付け部分の金属組織を形成する金属相を状態図から理解し、適正なろう付けとの関連を学ぶ。
◯「スタンダード歯科理工学」P.189-192

【予習・復習】
予習
・Ag-Cu二元共晶状態図を学習しておく(10分)
復習
・ろう付けの接合理論を理解する(15分)
・前ろう後ろうを理解する(10分)
・ろうの性質を理解する(10分)

【コアカリ】
 D-1-②
 D-2-②
 D-2-④
堀 美喜
7【講義項目】
鋳造とワックス

【一般目標(GIO)】
ワックスの概要を理解するため、以下の項目を学習する。
1. 歯科用ワックスの原料
2. ワックスの熱的性質と変形
3. 歯科用ワックスの種類
【講義内容】
歯科用ワックス

【到達目標(SBOs)】
●歯科用ワックスは歯科修復物を作製する上で必要なほか、診査や診断にも応用される材料である。このワックスの組成や種類および特性を生かした使用目的について解説する。ワックスは歯科材料中最も熱膨張係数が大きく温度に対して不安定な材料であることから、内部応力の解放にともなう変形、温度変化による変形、操作時の外力による変形について学ぶ。
◯「スタンダード歯科理工学」P.157-164

【予習・復習】
予習
・歯科用ワックスの種類を調べておく(10分)
復習
・歯科臨床で使用されるワックスの種類と性質を覚える(15分)
・ワックスの応力緩和が説明できるようにする(10分)
・歯科用ワックスの臨床応用が説明できるようにする(10分)

【コアカリ】
 D-1-②
鶴田 昌三
8【講義項目】
鋳造

【一般目標(GIO)】
鋳造の基本的考え方を構築するために以下の項目を理解する。
1. 金属の凝固
2. 歯科精密鋳造法の材料
【講義内容】
鋳造体の作製工程

【到達目標(SBOs)】
●歯科鋳造とは固体金属を液体にして鋳型中へ流し込んで凝固させ、金属による修復物を作製する手法である。まず第一に金属の融解・凝固について理解し、次いで歯科精密鋳造法について詳細に学ぶ。さらに、工業的鋳造法との差異・歯科精密鋳造工程に使用する材料・機器についても学ぶ。
「スタンダード歯科理工学」P.195-213

【予習・復習】
予習
・歯科鋳造の工程の概略を把握する(10分)
復習
・鋳造の一連の過程と使用される材料を理解する(15分)
・精密な鋳造体をどのようにして作成するかを理解する(10分)
・金属の溶解方法と凝固について理解する(10分)

【コアカリ】
 D-2-①
 D-2-②
鶴田 昌三
9【講義項目】
鋳造

【一般目標(GIO)】
鋳造の基本的考え方をさらに構築するために以下の項目を理解する。
3. 鋳造収縮と寸法補償法
4. 鋳造欠陥の発生とその対策
【講義内容】
鋳造体の精度、鋳造欠陥とその対策

【到達目標(SBOs)】
●鋳造を成功させるための基本的な原則と原理について学び、鋳造欠陥は技術的な誤りによって生じることが多いことを理解する。さらに鋳造体の欠陥の種類とその防止について理論的考察を加えて解説する。
◯「スタンダード歯科理工学」P.214-221
●金属は液体から固体に変化する際に収縮し小さくなる。この収縮をいかに補償し適合性の良好な修復物を製作するかについて理論と実際を学ぶ。歯科における鋳造法が何故精密鋳造法と呼ばれるかについても、その高度な技法を理解する。
◯「スタンダード歯科理工学」P.204-205

【予習・復習】
予習
・金属が相変態に伴い体積が変化することを理解しておく(5分)
・鋳造収縮をどのように補償するするかの理論を理解する。(5分)
復習
・鋳造欠陥をどのようにして防止するかを理解する(10分)
・歯科精密鋳造法の詳細を説明できるようにする(10分)
・歯科精密鋳造法の利点と欠点を理解する(10分)
・鋳型材と鋳造用合金の関連を理解する(5分)

【コアカリ】
 D-1-①
 D-1-②
 D-2-②
伴 清治
10,11【講義項目】
接着・合着用材料

【一般目標(GIO)】
歯科用セメントの統合的理解を達成するために、以下の項目を学習する。
1.合着と接着
2.粉末と液の組成
3.各セメントの性質
4.セメントの歯科用途
【講義内容】
歯科用セメント

【到達目標(SBOs)】
●合着と接着の違いを理解する。粉末と液の組み合わせで各セメントが構成されていることを理解する。また、各セメントの練和法および練和器具を用いる理由を組成と性質から理解する。各セメントの性質と用途を理解し、臨床での応用を考える。
◯「スタンダード歯科理工学」P.253-271

【予習・復習】
予習
・セメントにはどのような種類があるか分類しておく。(20分)
復習
・歯科用セメントの酸塩基反応を理解する(30分)
・歯科用セメントの種類と性質の違いを理解する(20分)
・歯科用セメントと接着の関連を理解する(20分)

【コアカリ】
 D-2-③
 D-1-①
 D-1-②
伴 清治
12,13【講義項目】
レジン概論

【一般目標(GIO)】
後期の基礎実習を理解するために、MMA系とBis-GMA系レジンの基本を学ぶ。
【講義内容】
有機高分子材料

【到達目標(SBOs)】
●歯科用レジンの概略を理解する。
高分子化の原理を理解する。
MMA系レジンの種類と重合について理解する。
コンポジットレジンの構造と重合について理解する。
◯「スタンダード歯科理工学」P.12-18、 73-89

【予習・復習】
予習
・有機高分子について1年次に修得した歯科基礎科学の知識を整理しておく(20分)
復習
・MMA系レジンの概略を説明できる(30分)
・コンポジットレジンの構造を説明できる(20分)
・コンポジットレジンの重合について説明できる(20分)

【コアカリ】
 D-2-①
 D-2-②
 D-1-①
 D-1-②
河合 逹志
14【講義項目】
印象用材料・模型用材料

【一般目標(GIO)】
印象材の概要を理解するため、以下の項目を学習する。
1. 印象材の具備するべき要件
1)粘弾性体の理解
2)永久ひずみと弾性ひずみの理解
2. 印象材の分類とその性質
1)ハイドロコロイド印象材とゴム質印象材
2)アルジネート印象材
3)寒天印象材
4)ポリサルファイドゴム印象材
5)重付加型シリコーンゴム印象材
6)縮重合型シリコーンゴム印象材
7)ポリエーテルゴム印象材

【講義項目】
石こう

【一般目標(GIO)】
石こうの概要を理解するため、以下の項目を学習する。
1. 模型材の具備する要件
1)石こうの化学的構造と硬化理論
2)石こうの種類
3)石こうの特徴的な性質
4)石こうの硬化反応の調節
【講義内容】
印象材

【到達目標(SBOs)】
●歯科用印象材としてどのような性質が必要であるかを理解し、粘弾性体としての性質を説明することができる。
●歯科臨床で使用されている印象材を分類することができ、それぞれの特徴を説明できる。                
◯「スタンダード歯科理工学」P.117-147

【予習・復習】
予習:
・1年生の歯科基礎で学んだ、粘弾性体における塑性変形と弾性変形を復習しておく。(5分)
復習:
・永久ひずみと弾性ひずみの違いを図示できるようにする(5分)
・各種印象材の分類ができるようにする。(5分)
・各種印象材の特徴が説明できるようにする。(5分)
・ハイドロコロイド印象材とゴム質印象材の違いをまとめる(2.5分)

【講義内容】
石こう
●石こうがなぜ模型材として使用されるのかを、素材としての特徴と共に説明できる。
●石こうの種類と性質の違いが説明できる。
●他の歯科材料と比較して石こうに特徴的な性質が説明できる。
●石こうの硬化速度の調節方法を具体的に述べることができる。
◯「スタンダード歯科理工学」P.149-155

【予習・復習】
予習:
・Caの化学的性質を周期律表における位置か  ら説明できるように1年生の授業を復習する。
復習:
・石こうの硬化反応式を正確に記憶する。(2.5分)
・石こうの特徴的な性質を理解する。(10分)
・石こうの硬化反応の調整方法を列記することができるようにする。(10分)

【コアカリ】
 D-1-①
 D-1-②
 D-2-②
河合 逹志
15【講義項目】
前期まとめ

【一般目標(GIO)】
後期基礎実習の項目の総整理を行う。
以下の項目を整理する。
1. 鋳造
2. ろう付け
3. 石膏、印象材
4. レジン
5. 熱処理、セメント
【講義内容】
総論

【到達目標(SBOs)】
●後期実習の5項目を整理し理解する。
鋳造の手順を理解する。
ろう付けの手法を理解する。
石膏の基本性質を理解する。
印象材を分類し、各々の性質を理解する。
レジンの重合方法の具体的な手法を理解する。
熱処理の方法を理解する。
セメントの種類と練和法を理解する。

【予習・復習】
予習
・春学期に習った材料の総復習をしておく(10分)
復習
・鋳造、ろう付け、熱処理(15分)
・レジン、セメント(10分)
・印象材、石膏(10分)

【コアカリ】
 D-1-①
 D-1-②
 D-1-③
 D-2-①
 D-2-②
 D-2-③
 D-2-④
 D-2-⑤
河合 逹志
留意事項
あらかじめ項目を予習し、臨む事。
授業以外の
学習方法
講義時間以外にも随時質問に応じ、広く門戸を開放しているので利用すると良い。
成績評価方法
試験100% 生体材料・歯科材料を構成する素材と性質について十分に理解し、歯科臨床への応用への応用をふまえた上で、それぞれの素材から作られた種々な歯科用材料について論述できる。
参照ホーム
ページ
画像
ファイル
更新日付2022/03/04 16:34:58