開講年度2022
開講学科商学科 2013年度以降入学
経営学科 2013年度以降入学
経済学科 2013年度以降入学
法律学科 2013年度以降入学
現代社会法学科 2013年度以降入学
2020年度法学部現代社会法学科
2020年度法学部法律学科
2020年度経済学部経済学科
2020年度商学部商学科
科目名産業と科学Ⅰ
担当教員城 貞晴
学期曜日時限春学期 木曜日 5時限
チームコード76d5gaz
科目区分選択
授業形態講義
対象学年2年
単位数2
科目ナンバーB231-118-01
関連性が高い
ディプロマ・ポリシー
B-DP3-4 論理的思考力 ◎ B-DP3-5 問題解決力 ◎
キャンパス名城公園キャンパス
担当教員の実務経験実務経験あり


テーマ
オングストローム世代を担う表面の世界
授業の概要
あらゆるものは原子で構成されていることが確信された後もなお,その姿を顕微鏡で観察するには程遠く,技術的に困難な時代が長く続きました。間違いなく原子一つ一つの姿を顕微鏡でとらえたといえるのはせいぜい20年くらい前だと言わざるを得ません。また,現在もなお原子像観察が実現していない元素があり,顕微鏡開発は依然としてその途上にあります。今や水素社会がうたわれますが,肝心の水素の原子像を充分に観察出来たとは言えず,このことが技術の進展の障壁となっています。「こんなに科学技術は進歩した!」という大々的な宣伝とうらはらに「まだまだ社会の要求に応えられない」技術の方がはるかに多いわけです。「いかにして一見不可能と思われる技術を創出し,問題を打開するか」が常に大切になってきます。本講義では,顕微鏡開発の歴史を追体験しながら,アイデア創出のトレーニングをしていきます。
授業の到達
目標
「オングストローム世代を担う表面の世界」をテーマとする本講義では,主に顕微鏡開発の歴史を辿りながら,「いかに困難を克服するか」を追体験します。その中で各自の知識や経験をベースにして,知恵と工夫,アイデア創出について考えます。
【行動目標】
先人たちの遺した多くの言葉たちの裏側に隠されたポイント(共通点)を指摘できる。
将来,社会貢献につながるモノなどを指摘できる。
固定観念,常識,非常識,アイデア,工夫などのキーワードを整理できる。
各自の知識や経験をもとに,問題解決に結び付く新たなアイデアを創出し,それを文章として表現できる。口頭で説明できる。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
WebCampus「講義連絡」を使用して講評を送ります。
使用言語
日本語
実務経験をいかした教育内容
2級知的財産管理技能士の立場から,知的財産権に関する話題に触れる。特に,特許・実案,意匠,商標の権利侵害事例などの話題を交える。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1表面とはなんだろう
そもそも表面とはどんなものなのでしょうか?ざっくりと広義の表面と狭義の表面とに区別されていて,厳密な使い分けがされています。つきつめていくと「これこそが表面だ!」と自信をもって言えるモノはなかなか得難い,そんな奥深い世界へ行ってみましょう。
【予習】シラバスにより扱う内容の確認をする。(20)
【復習】ノートを中心に復習しましょう。(20)
2ナノスケールからサブナノスケールへ
いまや原子数個程度の物理的特性などをコントロールすることを前提とする科学技術全盛の時代を迎えています。そんな時代の到来を早々に予言した人物がいました。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】ナノスケールでのモノづくりと表面科学との密接な関係について理解しましょう。(20)
3表面が大切な理由
スケールが小さくなるほど表面の占める割合が増加します。表面への理解を克服しなければ次世代産業は成り立ちません。また,時代はいよいよオングストローム世代(サブナノメートルスケール)に突入することに触れます。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】モノづくりと表面科学の密接な関係について理解しましょう。(20)
4原子の姿を想像する
私たちの眼の分解能では到底原子の姿を見ることは出来ません。しかし原子の姿は見えずとも,原子たちがどのように並んでいるかが分かる事例が身の回りにあふれています。肉眼で見えるモノの姿から原子の姿を想像するコツをつかんでみましょう。
【予習】シラバスにより内容確認をする。(20)
【復習】原子配列を見なくてもどのように配列しているかを知る方法を紹介します。コツをつかんだら,身の回りのものをよく見てみましょう。(20)
5わたしたちにモノが見える仕組み
私たちにとって眼はとても大切なものですね。そもそも眼を通してモノが認識できる仕組みについて確認してみましょう。実は,これこそが顕微鏡の発想の原点。私たちにとって常識的な方法でモノを拡大していこうとしたのですね。また,色素色と構造色の違いやそれぞれの面白さ,応用性などを扱います。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】モノが見える仕組みをよくおさえましょう。(20)
6電子顕微鏡で見る表面 その1
人類は、様々な困難を克服しつつ,各種電子顕微技術で高分解能化を達成していきます。電子顕微鏡の開発と改良によってモノの表面の様子もわかってきました。どのようなものが見えて,どのようなものが見えないか,また見えないという状態を如何にして克服してきたか,様々な角度から見て,学びましょう。
【予習】シラバスにより内容確認をする。(20)
【復習】顕微鏡開発の歴史を見てみましょう。「工夫」「アイデア」で「出来ないことを出来ることにかえてきた歴史」であることを知りましょう。(20)
7電子顕微鏡で見る表面 その2
一言に電子顕微鏡と言っても実に多くのタイプの顕微鏡があります。わかりやすく,その違いや長所,短所などを紹介しましょう。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】どんなものにも長所と短所があります。そのことを知った上で,如何に上手に利用するかがポイントです。(20)
8表面原子配列を知るための装置の開発
「見えない」と言われれば「あきらめる」,「不可能」と言われれば「仕方ない」でしょうか?「前に進むか引き返すかの瀬戸際」で必ず考えなくてはならないことがあります。それこそが「原理的な問題か否か」です。原理的に不可能でなければアイデアと工夫によって克服する。その繰り返しによって科学技術は進歩しています。そのことを実感できる話題になるでしょう。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】問題が生じた時に如何に乗り越えていくかがとても大切です。この辺りを学び取りましょう。(20)
9真空をつくる技術 その1
表面には広義の表面と狭義の表面とがあります。狭義の表面を見るためにどうしても克服しなくてはならない技術,それが真空技術です。まずは,日常生活の中で私たちの生活を支えてくれている真空の話をしましょう。地上に真空をつくる科学技術のおはなしをします。クリーンルームも必要になりますが,クリーンルームにもクラス(レベル)があります。
【予習】シラバスにより内容確認をする。(20)
【復習】真空技術を学びます。そのアプローチは案外素朴ですが,達成のために意外なものが敵となっていきます。講義担当者の実体験も交えます。 (20)
10真空をつくる技術 その2
ところで表面の研究は世界的にどんな地域で盛んだと思いますか?実は,南国パラダイスで表面研究ってあまり進展しないんですね。それはなぜでしょうか?気候と真空技術は密接にかかわっているのです。また,そもそも「真空」とはどんな状態をさすのでしょうか?真空の度合を表すために真空度を定義しなくてはなりませんね。
【予習】シラバスにより内容確認をする。(20)
【復習】真空技術について復習します。そのアプローチは案外素朴なものですが,必ず「工夫」「アイデア」が潜んでいます。それを感じましょう。(20)
11本当に何もひっついていない表面で起こること
人類が手にしている最も高純度な物質はシリコンです。シリコンの「清浄表面」をまだ誰も目にしたことのない時代に,シリコンの表面原子配列を極めて正確に予言した研究者がいます。そして,後にその予言と寸分違わず表面原子が配列していることが実験的に証明されました。世界に誇る偉大な高柳モデルを紹介しましょう。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】清浄表面とは何か?そこで何が起きるのか?を見てみましょう。(20)
12原子の気持ちをわかってあげよう
今回は皆さんに表面原子になりきって,その気持ちを理解してもらおうと思います。表面原子の気持は実に素直です。一見ひねくれた構造をしているように見えるその真意がだんだんと分かってくることと思います。原子の気持ちが理解できないままコントロールはできません。大切なことは本物の自然との対話です。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】原子1個が意外に身近なものであることを知りましょう。(20)
13原子分解能をもつ顕微鏡の登場
多くの工夫とアイデアにより様々なタイプの顕微鏡が登場しましたが、肝心の原子一つ一つの姿を見ることは困難でした。しかしようやく世界は待望の原子分解能を有す顕微鏡が発明される瞬間を迎えます。それまでの顕微鏡開発の方針とどこが違っていたのでしょうか?それまでの常識や固定観念が如何に顕微鏡開発の邪魔をしていたか,痛感させられたのでした。
【予習】シラバスにより内容確認をする。(20)
【復習】常識と固定観念は柔軟な発想を妨げます。価値観をもつことは大切ですがそれがすべてではないという柔軟な捉えることが大切そうです。(20)
14更なる高分解能化への挑戦
原子分解能を持つ顕微鏡の登場は表面研究の世界を大きく変えていきました。同時に,更なる高分解能化の検討が続けられています。本講義担当者も取り組んだ研究開発テーマでもあります。
【予習】シラバスにより内容確認をする。(20)
【復習】「難しい」「簡単」は,単に感覚的なものにすぎず,印象が変わることも多いのです。何が本質的に重要であるかをつかみとりましょう。(20)
15水素顕微鏡の開発について
原子分解能を持つ顕微鏡の登場で全元素を可視化できたわけではありません。真空技術においても可視化においても,ワルさするモノこそが水素なのです。水素時代の到来を目前に,水素像を得ることが出来ずにいましたが,世界初の水素顕微鏡が我が国で発明されました。本講義担当者も開発に携わった新規顕微鏡について,発案の独創性を中心に話します。発明者上田教授の研究に臨む姿勢を伝えます。
【予習】シラバスにより内容確認をする。(20)
【復習】発想の独創性,工夫とアイデア,基礎の大切さ,積み重ね等,キーワードが満載です。しっかりと復習し,将来に活かしていきましょう。(30)
試験実施方法
定期試験=1
レポート=2
その他=3
1
評価方法
評価方法割合評価基準
定期試験40%範解答と配点表を準備し,これに基づいて評価する。
課題レポートおよび小テスト30%解答例を準備し,これに基づいて評価する。
参加姿勢30%質疑応答時の受け答え,積極性,ノートへの記録等を評価する。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『なし』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『身の回りの表面科学』日本表面科学会 編講談社
2.『表面の科学』岡田正和 著大月書店
3.『真空技術』石丸肇 著日刊工業新聞社
4.『走査型プローブ顕微鏡と局所分光』重川秀実他 著裳華房
参考URL
質疑応答
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本講義時のほか,MKCでの講義日に随時対応します。
(火,木の週2回:具体的な時刻などは別途アナウンスします。)
メールも可。
備考
普段からノートを整理しておくことを強く勧めます。

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更新日付2022/02/01 18:05:48