開講年度2022
開講学科宗教文化学科 2014年度以降入学
歴史学科 2015年度以降入学
英語英米文化学科 2015年度以降入学
日本文化学科 2013年度以降入学
グローバル英語学科 2013年度以降入学
総合政策学科 2013年度以降入学
心理学科 2013年度以降入学
2022年度心理学部心理学科
2018年度心身科学部健康科学科
2018年心身科学部心理学科
2022年度総合政策学部総合政策学科
2021年度文学部グローバル英語学科
2021年度文学部英語英米文化学科
科目名生物学Ⅰ
担当教員矢部 隆
学期曜日時限春学期 金曜日 4時限
チームコードaof157d
科目区分選択
授業形態講義
対象学年1年
単位数2
科目ナンバーB131-420-21
関連性が高い
ディプロマ・ポリシー
B-DP3-4 論理的思考力 ◎
B-DP3-5 問題解決力 ◎
キャンパス日進キャンパス
担当教員の実務経験


テーマ
地球の生命の歴史の中で魚類からヒトに至る脊椎動物の進化を概観し、生物の多様性と連続性を理解する。
授業の概要
この講義のテーマは「生物の進化」です。ただしすべての進化をすべて扱うことはできないので、無脊椎動物の1種が脊椎を獲得してから魚類、両棲類、爬虫類的動物を経て哺乳類が発生し、その中のサルの仲間からヒトが誕生して地球上に拡がるまでの進化に重点を置きます。単に魚からヒトへの進化の道筋をたどるだけではなく、脚、顎、眼、脳などの特定の器官の進化に注目することにより、進化のパターンを整理し直すことも試みます。また、ダーウィン以来論じられてきた進化の機構に関する議論にも言及しますし、分子遺伝学・発生学・生理学・行動学・生態学・分類学などの話題も盛り込む予定です。脊椎動物の歴史に関しては、従来の常識をくつがえすような事実の発見や仮説の提出が最近相次いでいるので、それらも積極的に紹介します。
授業の到達
目標
1.人類の存続のためには「生物多様性 biodiversity」の保全と持続可能な利用が不可欠であり、それらを日常生活から社会経済活動にまで組み込む「生物多様性の主流化」が必要です。生物多様性は生物の進化によって生じるものです。脊椎動物の進化について知り、考えることを通して生物多様性という概念を具体的に、かつ正確に説明できるようになることが目標です。
2.大進化は観察や実験ができるわけではなく、化石や遺伝情報、現生動物の形質など得られる限りのデータから科学的に合理性のある観方、考え方を展開しなければなりません。この講義を通してそれらを論理的に説明できることが目標です。
3.この授業で得られる動物の細胞や組織、器官の知識、あるいは動物の遺伝や発生、生理、行動、生態の情報は、単なる教養としてだけではなく、学生の皆さん自身が生きる中での運動(身体操作)や健康に応用できることが目標です。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
成績発表日から10日以内に生物学教室にて答案を返却します。
使用言語
日本語
実務経験をいかした教育内容
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1生命の誕生と35億年の生物進化:地球の誕生から、生命体の発生、原核生物や原生生物、菌類、植物、動物の全ての生物の進化を概観します。20分以上。復習としてプリントの再読、見直しをしてください。また新聞や雑誌、ニュースなどで古生物や動物の話題を見つけたら、授業プリントにメモして150字くらいのコメントを加えておいてください。
2脊椎動物の起源と魚類の進化:脊椎が獲得された理由と過程を説明します。進化の仕方の一つである幼形成熟(ネオテニー)について解説します。同上
3魚類の繁栄:魚類の繁栄に重要な役割を果たした顎の獲得と鰭の機能向上について説明します。顎の説明では、魚類の段階での顎の骨が耳骨に転用された過程も説明し、進化における器官の転用の重要性に言及します。同上
4両生類の進化:魚類から両生類が派生した原因と過程を説明します。相同器官と相似器官の見方を踏まえて鰭から四肢への進化について講じ、また肺の発生から鰾への進化についても述べます。同上
5羊膜類の進化:羊膜類は、魚類や両生類とは異なり、繁殖を含めて完全な陸上生活を送れます。その要点である羊膜卵の構造と機能、発生の過程を説明します。また羊膜類の系統である無弓類、単弓類、双弓類について概説します。同上
6単弓類の進化:原始的な単弓類がペルム紀に繁栄し、中生代の初期に哺乳類が誕生するまでを話します。同上
7恐竜、ワニ、翼竜の進化:古生代末(ペルム紀末)の大絶滅の後に出現した主竜類であるワニ、翼竜、恐竜について、繁栄の要因である高度な身体の構造や機能、進化を説明します。同上
8ユニークなカメの進化:カメは他の進歩的な羊膜類と同じ中生代三畳紀に出現しました。しかしカメはまるで外骨格のような「甲」に四肢や頭部を潜めて身を守る、という特異な生存の仕方を成功させています。ここではそのカメの進化について講じます。同上
9鱗竜形類(魚竜、鱗竜、ムカシトカゲ類、有鱗類):この回では古生代ペルム紀末の大絶滅後、中生代に出現してその時代に繁栄した双弓類鱗竜形類である魚竜、鱗竜、ムカシトカゲ類について進化の流れと生態的地位(ニッチェ)を説明します。またそれらの爬虫類よりも少し後に出現し、中生代末の大絶滅にも生き残り、現在の地球上で大繁栄している有鱗類(トカゲ、ヘビ)についても新しい系統学的知見を紹介します。同上
10動物の泳法と飛行法:泳ぐことと飛ぶことは、固体である地面を踏み、蹴って動く行動とは異なり、気体や液体といった流体を物理的に操作して移動する行動です。この回では動物の泳法と飛行法を類型化し、どのような機構、機能で泳いだり飛んだりしているのか考えます。同上
11大量絶滅:大量絶滅とは、広範囲の生態系に生息する多数の種が(地史的に)短い期間に絶滅する現象で、巨大隕石の衝突が原因とされる6500万年前の恐竜などの絶滅は有名です。地球の生命の歴史において10数回起こったことが知られている大量絶滅について、その原因を予測し、絶滅した生物をまとめ、その後の生物界にもたらした状況や意味を考えます。同上
12哺乳類の進化と繁栄:哺乳類は、陸上の覇者であった(非鳥類型)恐竜が中生代末に絶滅した後、新生代に適応放散して多様化し、繁栄しました。大陸の移動と分裂が大きく関わっている哺乳類の系統進化について話します。同上
13脳の進化:哺乳類、その中でもとりわけ霊長類(サルの仲間)、ヒトは脳が進化していることが特徴です。その一方で、恐竜は脳が相対的に小さくてバカだった、などという俗説もありますが、本当にそうでしょうか? この回では脳の構造と機能、進化を系統間で比較し、その重要性を再確認します。同上
14霊長類の進化とヒトの誕生:樹上性のサルの仲間からどのようにヒトが進化してきたのか、自然淘汰圧をどのように受けたのか、あるいは受けなかったのかを考えます。約500万年前にヒトが発生して以来、地球上には常に複数の種のヒトが存在していましたが、この3万年間ヒトは1種(1亜種)しか存在していません。このことは人間がヒトをどのような存在と認識しているかに大きく影響しているので、強調して講じます。同上
15ヒトの進化と地球上での存在様式:ヒトの身体に残されている脊椎動物の進化の痕跡を確認し、またこの地球上のどれくらい多様な生態的地位を占めているのかも確認して、ヒトとはどのような生物なのか、生物としてこの地球上でどのような在り方、方法で存在すべきなのかを考察します。最後の授業で定期試験について話しますので、出題されそうな部分を中心に復習をして試験対策をしてください。
試験実施方法
定期試験=1
レポート=2
その他=3
1
評価方法
評価方法割合評価基準
定期試験100%記述の解答では、授業で伝えた必要な語句がすべて使えているか、そしてそれらの語句が倫理的に配列されて文となっているかを評価します。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『資料プリントを配布します』
参考書
  ・
参考資料
参考URL
質疑応答
1.eメールで受け付けます。メールアドレスは授業の時に知らせます。
2.時間的余裕があれば授業後に解答します、また貴重な質問であれば、他の学生の皆さんにも知ってもらえるよう、次の回の講義の中で質問内容と私の回答を述べます。
備考
1.テキストは使いませんが、書き込み式のノートになっている資料プリントを配布します。
2.科学雑誌「ニュートン」「ナショナルジオグラフィック」「日経サイエンス」には上質で読みやすい古生物学的、動物学的な論説や記事がしばしば載るので、読んでください。
3.自然史系の展示のある博物館、動物園、水族館を積極的に見学してください。その際ぜひ、本講義の資料プリントを参考資料、ガイドブックとして持参してください。ポイントを逃さず見学できます。
画像
ファイル
更新日付2022/02/17 11:45:12