開講年度2022
開講学科宗教文化学科 2014年度以降入学
歴史学科 2015年度以降入学
英語英米文化学科 2015年度以降入学
日本文化学科 2013年度以降入学
グローバル英語学科 2013年度以降入学
総合政策学科 2013年度以降入学
心理学科 2013年度以降入学
健康栄養学科 2013年度以降入学
2021年度薬学部医療薬学科6年
2020年度薬学部医療薬学科6年
2022年度心理学部心理学科
2018年度心身科学部健康科学科
2018年心身科学部心理学科
2022年度総合政策学部総合政策学科
2021年度文学部グローバル英語学科
2021年度文学部英語英米文化学科
科目名哲学Ⅰ
担当教員松野 充貴
学期曜日時限春学期 水曜日 1時限
チームコードs9dxlia
科目区分選択
授業形態講義
対象学年1年
単位数2
科目ナンバーB131-111-01
関連性が高い
ディプロマ・ポリシー
B-DP3-3 課題発見力 ◎
B-DP3-4 論理的思考力 ◎
キャンパス日進キャンパス
担当教員の実務経験


テーマ
哲学的思考と討論の技法
授業の概要
現代はポスト・トゥルースの時代とも呼ばれ、真理とは何かという問題が盛んに提起されている。それゆえ、真理とは何か、いかなる議論の形式を真理とみなすのかは重要な課題となっている。また、価値が多様化した現代において異なる価値を有する他者といかに対話し、合意するのかは喫緊の問題である。本講義では以上のことを問題意識として、第一回から第六回まではイデア論を取り上げ、哲学の基本的な事柄について学ぶ。ここまでの講義において対話することの振舞い方および対話によってもたらされる思考はどのようなものなのかを理解する。また、第七回から第十五回までは一講義、一テーマに絞って様々な倫理的問題について討論し、その後、講師が解説をおこない、倫理的立場についての理解を深める。
授業の到達
目標
授業の到達目標は以下の六点である。一、イデア論について説明できるようになること。二、ソクラテス的な会話の仕方を学ぶことで相手を打ち負かす討議ではなく、他者を尊重しながら対話すること。三、対話のなかから自らの問題意識を照らし出すものを客観的に説明できるようになること。五、自らの議論の形式を客観的に反省することができるようになること。六、他者の立場を理解し、自らの議論の形式ではいかなる推論が可能なのかを理解できるようになること。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
授業の終わりにリアクション・ペーパーを提出し、次回の冒頭において応答する。また、テストのフィード・バックについては学務情報システムにおいて模範解答を提示する。
使用言語
日本語
実務経験をいかした教育内容
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1第一回 哲学入門
 哲学の探究水準について学ぶ。実験物理学の創設者の一人でもある、近世哲学の祖ルネ・デカルトに焦点を当て、記号と事物の関係、考えることとはいかなること何かを学ぶ。とりわけ、『省察』のコギトの議論をとおして、哲学的省察の意義について講義する。
予習、配布資料を読む(1時間)。復習、講義で配布された資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
2イデア論(1)
 アランの『プラトンに関する十一章』を題材にイデア論の基本を学ぶ。まず、ソクラテスとプラトンについて簡単に講義し、プラトンが論述ではなく、対話という形式にこだわった理由について考える.
予習、配布資料を読む(1時間)。復習、講義で配布された資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
3第三回 イデア論(2)――イデアとは何か?
 プラトンのイデア論(徳について)とアリストテレスの「類」についての議論を比較することで、イデアについて学ぶ。そのうえで、『テアイテトス』におけるソフィストの議論の仕方と対話のさいのソクラテスの振る舞いに着目し、対話することの態度決定について学ぶ。
予習、配布資料を読む(1時間)。復習、講義で配布された資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
4第四回 イデア論(3)――イデアなんて本当に存在するのか?
 現前にある事物と理想(イデア)の関係を考えることで、感覚的対象と思惟対象の差異を学ぶ。赤ちゃんの「社会的微笑反応」から言語の機能について考え、これを『パルメニデス』において展開される対話のなかに見いだす。
予習、配布資料を読む(1時間)。復習、講義で配布された資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
5第五回 イデア論(4)――想起説とエロス論
『メノン』においてソクラテスが奴隷の少年に幾何学を教える場面と『饗宴』において展開されるエロス論を中心に、いかにして人はイデアを垣間見ることができるのかについて考える。とりわけ、『メノン』と『饗宴』の終盤でのソクラテスの振る舞いの差異から、イデアへの到達は「善」と不可分なものであることを学ぶ。
予習、配布資料を読む(1時間)。復習、講義で配布された資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
6第六回 イデア論(5)――イデア論はどのように活用されうるのか
 これまでの議論を復習しながら、イデア論の本質とは自らの精神(善)を探究することであること、他者との会話のなかで浮かび上がる問題こそが真の思考であることを確認し、そのうえで、アリストテレスのイデア論を参照し、考えることについて吟味する。
自らの倫理的立場について考え、提示できるようにまとめておく(2時間)。資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
7第七回 実践倫理(1)――死刑制度をどう考える?
 討論形式で講義をおこなう。死刑制度の賛成派と反対派に分かれそれぞれの立場で議論をする。その際、これまで学習してきたソクラテスの振る舞いのように、言い負かすことではなく、イデア論のように善を探究するという姿勢でおこなう。
自らの倫理的立場について考え、提示できるようにまとめておく(2時間)。資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
8第八回 実践倫理(2)――嘘をつくことの倫理
 一般に嘘はいけないとされるのだが、嘘も方便という言葉があるように嘘をつくことが擁護される場面もある。嘘は絶対ついてはならないものなのか、ついてよい場合はどのような条件に限定されるのかについて議論する。
自らの倫理的立場について考え、提示できるようにまとめておく(2時間)。資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
9第九回 実践倫理(3)――自殺と安楽死
 自殺について討論する。自殺することは常に悪いことなのか?病で激痛に耐え続けなければいけないとしたら安楽死することは許されるのか?また、治療を中止することについて、とりわけ、家族としての責任とは何かについて考える。
自らの倫理的立場について考え、提示できるようにまとめておく(2時間)。資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
10第十回 実践倫理(4)――他者危害の原則と喫煙の自由
 喫煙を題材に他者危害について議論する。また、トマス・ポッゲを参照しながら積極的危害と消極的危害について学び、市場原理によってもたらされる危害について考える。
自らの倫理的立場について考え、提示できるようにまとめておく(2時間)。資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
11第十一回 実践倫理(5)――動物を食べること
 動物愛護と動物を食べることをいかにして両立させるのか、肉食の正当化の論理をどのようにして構築するのか、を議論する。また、捕鯨問題を例に文化圏ごとの食および生命観の差異について学習する。解説として、ピーター・シンガーの動物の倫理を扱う。
自らの倫理的立場について考え、提示できるようにまとめておく(2時間)。資料を参考に学習内容をまとめる(1時間))
12第十二回 実践倫理(6)――善を為すことは義務なのか?
 善行の倫理学的な位置づけについて議論する。義務であるとするならば、いかなる条件であるのか?そもそも義務とは何かについて考える。また、解説として、二つの義務論を扱う。カントの義務論とシンガーの援助義務論。
自らの倫理的立場について考え、提示できるようにまとめておく(2時間)。資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
13第十三回 実践倫理(7)――善をなす動機について
 善は利他主義あるいは利己主義的なものなのか。それとも、善行自体が問題であって動機はいかなる関係もないのかなど善行と動機の関係について討論する。また解説として、プラトンの『ゴルギアス』を扱い、利己主義についての考察を深める。
自らの倫理的立場について考え、提示できるようにまとめておく(2時間)。資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
14第十四回 実践倫理(8)――災害時の倫理について
 災害時にとるべき行動を「津波てんでんこ」および「囚人のジレンマ」を例に討論する。解説としてマイケル・サンデルの『これからの正義の話をしよう』を扱い、倫理学の様々な立場を紹介し、多様な議論のなかでどのような立場を確立すべきなのかを考える。
自らの倫理的立場について考え、提示できるようにまとめておく(2時間)。資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
15第十五回 実践倫理(9)――法と道徳
 法律、道徳、マナーとはどのような関係にあるのかを議論する。また、解説として、ミシェル・フーコーの『性の歴史II 快楽の活用』を取り上げ、主体性の哲学について学ぶ。
自らの倫理的立場について考え、提示できるようにまとめておく(2時間)。資料を参考に学習内容をまとめる(1時間)
試験実施方法
定期試験=1
レポート=2
その他=3
1
評価方法
評価方法割合評価基準
定期テスト100概念説明ができているか。適切な形式で議論を展開することができているか。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『『実践・倫理学――現代の問題を考えるために』』児玉聡勁草書房25002147483647
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『『アラン『プラトンに関する十一章』』』米山優Independently15402147483647
2.『『省察』』ルネ・デカルト筑摩書房11002147483647
3.『『実践理性批判――倫理の形而上学の基礎づけ』』イマヌエル・カント作品社60002147483647
4.『『メノン』』プラトン岩波書店7042147483647
参考URL
質疑応答
講義ではリアクションペーパーにて。また、メールにて随時、受け付ける。
備考
画像
ファイル
更新日付2022/01/16 13:26:26