開講年度2021
開講学科商学科 2013年度以降入学
2020年度商学部商学科
科目名証券論B
担当教員北川 彰男
学期曜日時限秋学期 月曜日 5時限
チームコード577g6cx
科目区分選択
授業形態講義
対象学年2年
単位数2
科目ナンバーC231-236-06
関連性が高い
ディプロマ・ポリシー
C-DP2-5 金融に関する深い知識や優れた技能を身につけている。 ◎
キャンパス名城公園キャンパス
担当教員の実務経験実務経験あり


テーマ
大衆資本主義、間接保有の形態で着々と進行する株式の大衆化はなぜ、必要なのか。日本経済の進むべき道を考察します。
授業の概要
証券市場の今後の動きを推察していくためには、①経済に対する知識、②過去の流れを含めた金融・市場に対する知識、③国内外の政治動向に関する知識、④現状において、どの数値・材料が証券市場に最も影響しているのかを見極める感性力、以上の①~④を主体に多様な知識が必要になります。多くの金融商品の中から、より賢明な選択を行う能力、証券市場に影響をもたらす複雑に絡み合う各種の材料を解きほぐす思考力、これらの着実な向上を到達目標としています。当講義は単なる証券論に留まらず、講師の44年間以上の証券マンとしての経験、実社会での体験なども交えて、学生の皆様のグローバル人材としての資質の向上に貢献できればと思います。
授業の到達
目標
証券に関する幅広い知識を身に付けることができます。証券投資の世界では、より高い投資成果を得るための絶対的な投資尺度・羅針盤となるものはありません。証券市場の短期的な動向を計算することは不可能といえます。だからこそ、多様な視点から証券市場を分析する必要性があります。当講義ではその視点に関する広範な知識を吸収することが可能になります。現在、官公庁や各企業などにおいてグローバルな視点を持つ人材の必要性が唱えられています。証券市場に多大な影響をもたらす世界経済や政治の動向、更にはそれらの過去の推移、歴史を当講義で学ぶことにより、現代の若者に最も必要とされているグローバルな感覚、複眼的で柔軟な思考力を養うことができます。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
成績発表日以降にウェブキャンパスの講義連絡機能を活用して、授業講評と受講者の今後の学修に関するアドバイスを送信します。また、直近のタイムリーな話題があれば、講義の補足説明として併せて送信します。なお、学内のメール機能を活用して、質問を受け付けており、この質問に対する考えは、皆にフィードバックした方が良いと思ったことは上記の講義連絡機能を通じて、全員に送信するようにしたいと思います。
使用言語
日本語
実務経験をいかした教育内容
1976年に木村証券株式会社(創業明治26年、名古屋で最も老舗の証券会社)に入社しており、23年間の営業職と20年近い調査部としての職歴があります。2019年2月に一旦退職しましたが、同年6月に常勤監査役として復職しています。このような実務経験に基づき、実際に投資で成功した例や何を間違えると大きな投資の失敗に繋がるのか。より具体的な話をして、証券市場を身近なものに感じてもらうことを目指しています。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1証券論Aの概略を解説する
「日本の経済・株式市場の現状と今後の動向」
資料は直近の数値で作成し、タイムリーな内容も付加して講義を進める。
証券市場を理解するためにも予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
2人口動態と日本経済の連関性。団塊世代の退職と高齢社会の深刻化。なぜ、少子化が進行したのかを解明する。日本の人口動態は「上り坂の荷車状態」、現状を放置すれば坂道を転げ落ちる状況。先進国の少子化対策の変遷と直近の状況。課題先進国の日本が、出生率向上で世界の先進国になるための最重要な政策とは。格差にも配慮した日本型成長戦略の必要性について。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートあり(5点満点)。
3金融政策と日本経済の現状。バブル時になぜ、巨額な不良債権が銀行に発生したのか、バブル発生のメカニズムを解明。銀行の不良債権比率などの長期推移。日本銀行によるゼロ金利政策の実施、解除、復活、そして量的金融緩和導入。貨幣数量説の解説。日米のマネーストックの推移と現状。日米欧の家計金融資産残高の構成と日本の現預金の規模。日米のCPIの乖離が、ドル円相場にもたらす影響。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートあり(5点満点)。
4景気循環論と日本経済。4つの景気循環波動の解説。日米の景気循環波動(戦後)の推移。覇権国家100年周期説。超長期のコンドラチェフ循環の歴史と同循環発生のメカニズム。4つの景気循環波動が日本経済に及ぼす影響と現状。第1~3次産業革命の推移、胎動する第4次産業革命の現状を解説。今後、発展することが見込まれる産業と日本企業の課題。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートあり(5点満点)。
5中国・インド・ブラジル・ロシア経済の現状と展望。急速に拡大した中国経済発展の歴史と要因。人民元相場の推移と経常収支。中国の課題、食料、高齢化、共産党による一党支配体制の動向。大きな潜在力を有するインド経済とその弱点。豊かな国土を持つブラジル経済と成長を阻害する問題点。ロシア経済の強みと弱み。有力新興国の現状と今後の動向を考察する。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートあり(5点満点)。
6米国経済の現状と展望。経常赤字と過剰消費、マクロ経済上の課題。財政赤字問題、住宅着工件数と格差問題。米国の10年物・2年物国債、金利逆転と景気循環波動から、米景気後退と株価天井の時期を探求する。名目GDPに対する米国市場時価総額の比率の推移。現状の株価水準はバブルか否か。主要国の平均株価指数に連動するETFの解説。英国経済のEU離脱の影響と今後の動向。ドイツ経済の魅力と弱点。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートあり(5点満点)。
7日本経済の進むべき方向性。新興国中間層の消費需要(ボリュームゾーン)を如何に開拓するのか。1500年~、世界のGDPに占める地域別シェア。1966年以降、日本の株価は何に連動していたのか。日経平均株価の長期予測。日本の財政赤字克服の有効な施策。日米欧の家計金融資産と各項目の構成比。GPIF、3共済、日銀の株式大量保有。松下幸之助氏が唱えた「株式の大衆化で新たな繁栄を」の実現は。大衆資本主義への道。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートあり(5点満点)。
8メキシコ経済の現状と展望。各国の10年国債利回りと世界3大格付け機関の格付け。株式市場と各種重要指標、世界の自動車販売台数の状況、原油、バルチック海運指数、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)、銅、金、CRB指数、新造船受注量の推移。証券投資で人より先んじるための重要事項、知識プラス、感性力、知恵、洞察力。新たな時代を迎える資本主義。証券投資における最重要の思考回路とは。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートあり(5点満点)。
9本格的M&A時代と今後の証券市場。日本のガバナンスとステークホルダーのコントロール力の変遷。世界・日本の大型M&Aの現状。日本のM&Aの3英傑は。M&Aの失敗例。M&Aを補う経営手法、アップルなどの「水平分業」、TSMCの生産代行(ファウンドリー)。株式交換制度の浸透、株価の重要性が向上、株式の貨幣化が進展。肥大化する米国の株式時価総額。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートあり(5点満点)。
10銘柄選定のポイント。ROE、ROA、売上高経常利益率等の定量分析。各種テクニカル指標。騰落レシオ、サイコロジカルライン、日経平均の連騰日数、200日移動平均線との乖離率、グランビルの八つの法則、13・26・52週の移動平均線、GC・DCを活用した株価予想。RSI、ストキャスティックなどの解説。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートあり(5点満点)。
11信用取引買残高の評価損率と株価への影響。仮需圧迫比率の推移と海外投資家持株比率。1989年以降のデータ、日経平均株価の高値に先行するTOPIXの習性。裁定買残高の東証1部時価総額に対する比率。重みを増す裁定売り残高。日米欧の家計金融資産項目の構成比。講義終了後、第12回講義のディスカッションとプレゼンのグループ分けは、希望があれば同日にグループ分けをし、課題を提起、学修してくるように要請する。10回目までと同様の予習・復習。
加えて、第12回のグループ別討論とプレゼンの課題を伝達しますので、考えてきて下さい。同学習時間(60分以上)。
課題レポートあり(5点満点)。
12グループ分け(数人の単位にて自分達でチームを組んでも良いが、そうでない場合は講師が数チームになるようにその時点でグループ分けをする)をし、ディスカッションとプレゼンテーションをグループごとに実施、各グループはそれに対して質問する形態をとる。同プレゼンの課題は、第14回または第15回の課題の一部に加える。第12回の課題は、第1~11回の講義の中から提示する。予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートあり(5点満点)。
13第1回~12回のまとめ
「新リベラル主義のすすめ」
(米国経済の現状と今後の動向)。
資料は直近の数値で作成し、タイムリーな問題も加味して、講義を進める。
予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートあり(5点満点)。
14第1回~13回のまとめ
「日経平均株価7万円への道」
(日本の株式市場の長期予測)。
新たな成長エンジンの模索、TPP・RCEPの推進。日本経済の問題点と今後の指針。資料は直近の数値で作成し、タイムリーな問題も加味して、講義を進める。
予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートあり(20点満点)。
15第1回~14回のまとめ
「日銀引き受けの戦略的活用法」
日本の財政赤字・人口問題の抜本的解決策、高橋是清氏の独創的な英知。低利100年国債と株式大衆化への道。証券投資とは、感性を高める為に何を学ぶべきか。経済は大地、企業は樹木、経営者は育む役割。「悲観の中で生まれ、懐疑の中で育ち、幸福の内に消えていく」、テンプルトンの言葉。資料は直近の数値で作成し、タイムリーな問題も加味して、講義を進める。
予習・復習として、各講義項目を念頭に日本経済新聞や一般新聞の経済欄等を読み、TV等の経済関連Nを毎日見るようにして下さい。1日当たり(40分)。一週間(280分)。
課題レポートあり(20点満点)。
試験実施方法
定期試験=1
レポート=2
その他=3
3
評価方法
評価方法割合評価基準
課題レポートの提出。第2~13回の講義を対象にした課題レポートは、各回、5点満点で、合計60点で評価します。60%用紙はワード作成(PDF除外)、A4、フォント12、横書き、グラフや表を貼り付けても良いです。枚数は原則1~2枚で短時間のプレゼンをするつもりで纏めて送信して下さい。添付送信が不可の場合は、メールの文面に打ち込む方式でも受け付けています。課題レポートは、文章の論旨が明確であること。自分が一般の方々にプレゼンをする際の資料として活用するつもりで、分かりやすく作成されていることを重視して、評価します。
第14・15回の講義を中心に過去の講義も対象にした課題レポートは、各20点満点、合計40点として、上段の分と合わせて、総合計100点満点で評価します。40%用紙はワード作成(PDF除外)、A4、フォント12、横書き、グラフや表を貼り付けても良いです。枚数は原則3~5枚で短時間のプレゼンをするつもりで纏めて送信して下さい。添付送信が不可の場合は、メールの文面に打ち込む方式でも受け付けています。課題レポートは、文章の論旨が明確であること。自分が一般の方々にプレゼンをする際の資料として活用するつもりで、分かりやすく作成されていることを重視して、評価します。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『WebCampusにて配布』
参考書
  ・
参考資料
参考URL
1.財務省財政赤字、一般会計予算額、税収、国際収支等の数値の把握
2.日本銀行金融政策の推移、日銀当座預金残高、貸出約定平均金利等の数値の把握
3.総務省統計局人口推計、消費者物価指数、労働関係等の数値の把握
質疑応答
履修教室で講義中や講義時間前後で、質疑応答を受け付けていますが、学内メール機能を活用した方が確り対応できるので、同メールを優先して活用したいと思います。質疑応答の送信アドレスは以下のものになります。≪tomohiro@dpc.agu.ac.jp≫。尚、上記の課題レポートは原則として添付し、同アドレス宛に送信して下さい。その際、日付(対象講義日)・学籍番号・名前をファイルとレポートに明記して下さい。
備考
証券市場の変動要因は会社の業績、需給(人気、テクニカル指標、裁定取引、信用残等)、 経済、金融(金利)、為替(主にドル円)、商品市況(原油、銅、金等)、国際政治情勢、市場内制度、税制など多様なことから、日本経済新聞等を毎日、読むことで関心を高めて下さい。講師は証券会社での44年間以上にわたる自身の知識や経験に基づく率直な「証券論」を展開し、株式の大衆化の必要性を学生の皆様に提示できればと思います。講義を履修すると余り難しく考えずに『知識を吸収することを楽しむ気持ち』で受講するようにして下さい。
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更新日付2021/02/08 11:55:34