開講年度2021
開講学科商学科 2013年度以降入学
2020年度商学部商学科
科目名保険論B
担当教員田畑 康人
学期曜日時限秋学期 月曜日 2時限
チームコード55u7xzr
科目区分選択
授業形態講義
対象学年2年
単位数2
科目ナンバーC231-236-22
関連性が高い
ディプロマ・ポリシー
C-DP2-5 金融に関する深い知識や優れた技能を身につけている。 ◎
キャンパス名城公園キャンパス
担当教員の実務経験


テーマ
保険の限界と保険の経営形態、および現代保険政策とその課題
授業の概要
ここでは、保険論A(春学期)で得た知識を基礎にして、現代社会における保険の問題を具体的に検討していきます。その中で、リスク対策としての「保険の限界(地震保険にも注目する)」や世界的視野で保険の経営形態とその特徴を見ていきます。その上で、国家による現代の保険政策と保険業界について具体的に説明していきます。これによって単なる保険消費者としてだけではなく、あらゆる分野のビジネスでも応用できるようになることをねらいとします。
授業の到達
目標
講義内容全般を理解することによって、1)保険と21世紀の経済社会、とりわけリスクと金融経済および国家規制としての保険政策について自分の力で考え、2)各種のビジネスに関わる社会人としても適正かつ客観的に判断できるようになることを到達目標とします。講義はできるだけ多くの例を示しながら、わかりやすいことを心がけます。また、一方通行の講義形式ではなく、対話方式で受講生とのコミュニケーションを大切にします。3)積極的に講義に参加して、大勢の中でも自分の考えを発言できるようになってほしいと思います。国際社会では、「沈黙は能力のない者」と解釈されるのが一般的です。就職試験でも質問に対して、誤りを恐れずに自分の考えを明確に言えることが不可欠です。4)「保険を学ぶ」と同時に「保険で学び」、経済社会や政治、世界に視野を広げて考えるようになることをもう一つの到達目標とします。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
授業中に小テストや小レポートを5回程度実施するが、それについては翌週に詳しく解説します。
定期試験結果については成績発表日にWebCampusから授業講評を送信します。
使用言語
日本語
実務経験をいかした教育内容
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1オリエンテーションと春学期試験「保険論A」の解説。春学期からの継続履修者も多いので復習を兼ねて春学期試験の解説と秋学期のオリエンテーションをします。そして「保険の限界とその対応」の重要性について説明します。これが春学期の復習になるだけでなく、秋学期からの履修者の入門として役立ちます。特に秋学期から履修した受講生は最初の数回はきわめて重要になることを認識してください。春学期試験の解説と全体のオリエンテーションをします。保険論Aからの履修者は春学期の復習に120分、秋学期からの履修者は、シラバスを読んで予習120分。
21 保険の限界とその対応 1)保険の限界 保険はあらゆる社会やリスクに対応できるものではありません。ここでいう「保険の限界」とは保険として成立可能・利用可能な範囲を意味します。これを理解することによって春学期の復習になるだけでなく、秋学期から履修した学生の入門としても役立ちます。ここでつまづくと秋学期全体の内容把握にも影響が出るので、特に秋学期から履修した受講生は最初の数回は必ず出席してください。先週の復習に120分。テキスト4章1保険理論の動向および2保険の主要機能までの予習にp120分。
32)社会経済的限界(経済社会的限界) 保険の限界は「社会経済的限界」、「保険技術的限界」、「経済的限界」、「法律的・倫理的限界」の4つに区別すると体系的に理解しやすい。それを踏まえて社会経済的限界から説明し、保険の歴史、現代社会におけるリスク認識の必然性と保険の必要性を再確認し、秋学期履修の出発点ともします。先週の復習と保険の歴史の復習に120分。社会経済的限界を具体的にイメージし、例を挙げられるようにするための予習に120分。
43)保険技術的限界 保険が二大原則からできていることは春学期の「保険の仕組みと基本原則」で学んだ。この点を再確認しながら、秋学期からの受講生にも保険の基礎的仕組みと基本原則を理解てもらい、保険として原理的・技術的になぜ対応できないのか明らかにしていく。先週の復習と春学期に学んだ「保険の仕組みと基本原則」の復習に120分。そして具体的に例を示すための予習に120分。
54)経済的限界 ここでいう経済的とはeconomyまさに「経済的」といういみですが、何に対してエコノミーかについて考え、その上で5)法律的・倫理的限界について理解する。つまり技術的にも経済的に保険化できる場合でも保険化しない場合がこの限界であることを理解し、現代社会と保険の関係を自分のものとして把握することが目標です。保険の技術的限界に関する復習に120分、経済的限界と法律的・倫理的限界についても具体的に例を考えるための予習に120分。
65)保険の限界とその克服 保険の限界を超えるリスクについても保険化されている例は多い。
それはなぜか?どんな場合かなどについて現代社会における私的保険と保険会社を念頭に実際例とくに地震保険を取り上げて理解していく。どんな工夫や努力をしているか、東日本大震災や熊本地震を思い浮かべて考えていく。
保険の限界を全体的復習に120分。東日本大震災や熊本地震などについてネットなどで自ら調べるという予習に120分。
76)保険に代わる新たな対応とその問題点 どんなに工夫し努力しても保険では対応できない場合がある。例として巨大地震などのCATリスクによる間接損害が挙げられる。ここでは東京ディズニーランドを例にしながらARTについてわかりやすく説明する。それを応用すると現代社会で実際に応用できるいわゆる金融派生商品(デリバティブ)についても理解可能となり、ビジネスの社会でも応用範囲が広がる。地震保険と東日本大震災などの復習に120分。金融派生商品(デリバティブ)やART(代替的リスク移転)について90分。p.63の練習問題挑戦に60分。
82 世界に見る保険の経営形態とその特徴 1)現代社会で保険を運営する組織はきわめて多く、会社形態はその一部にすぎない。ここでは世界的視野からその経営形態の特徴と問題点を理解し新たな動きとその将来性について関合える。最初は1)個人保険業者から見ていく。前回までの復習に120分。秋学期2番目の大きなテーマの最初であるから、テキストII部1章1保険経営体の諸形態、2私営形態の予習に120分。
92)会社形態 私たちの身近な存在として「保険会社」がある。しかし保険会社には一般的な株式会社と保険だけに認められた「相互会社」あることを多くの消費者も知らない。この特徴を知ると将来的な保険利用にについて大きな判断材料となるだろう。世界に唯一の個人保険業者「ロイズ」の復習に120分。会社形態の予習、特に相互会社形態については120分。
103)組合形態 保険会社ではなく、各種の組合、特に日本の場合、協同組合による保険の運営も盛んである。2010年の保険業法の改定によってこの業者も保険業法の規制下におかれるようになった。これによって何が変わるのか?会社形態の復習に120分、組合形態や少額短期保険業者の予習に120分。
114)国公営形態 なぜ国公営の保険事業が存在するのか、その根本を知り国公営でも国民が注しなければならないことを理解する。そして5)世界にみられる新たな会社形体や組織について将来を見据えて考える。組合形態や少額短期保険業者の復習に120分。
国公営や新たな経営形態について120分。
123 保険事業と国家による保険政策 1)国家による保険政策・保険規制の必要性。自由主義経済を基盤とする社会においてなぜ国家による保険規制が必要なのかについて、保険事業の特殊性から歴史的・理論的に理解する。その上で特に保険監督行政の必要性とその種類について考える。ここから新たなテーマになるが、私的保険つまり会社形態に対する保険規制が中心になるのでその復習に120分。I部5章1国家による保険政策・保険規制の必要性の予習に120分。
132)20世紀末までのわが国の保険政策の特徴とその問題点 日本の保険規制は保険業法に集約されている。しかも20世紀末までの保険規制は世界で最も厳格な規制であったといわれる。その特徴と問題点を知ることでバブル期以降の実態と問題点を考える。保険規制の必要性と監督行政の種類について復習が120分。20世紀末までの旧保険規制について予習は120分。
143)保険政策の大転換とその後の問題点 旧保険業法に基づく保険規制は戦時・戦後体制ともいうべき大きな矛盾を抱えていた。海外からの圧力もあり1996年50年ぶりの大改正が行われ21世紀に備えることにしたが、そこで想像を絶する大問題が発生した。それは何か?旧保険規制の特徴と問題点の復習に120分。新保険業法に基づく新たな保険政策とその後の問題天および今後のあるべき姿について予習120分。
154)21世紀の保険政策と新たな課題と将来展望および秋学期全体のまとめと質疑応答。学期末試験直前であるから、前回だけでなく全体の復習に120分、配布されたキーワード集を中心に質問事項整理に120分は必要。
試験実施方法
定期試験=1
レポート=2
その他=3
評価方法
評価方法割合評価基準
授業中に行う小テスト・小レポート授業内容に応じた課題を与え、AAは4点、Aは3点、Bは2点、Cは1点とする。
100点満点定期試験上記の点数と定期試験の点数を合計し、大学の評価基準に従って評価する。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『読みながら考える保険論〔増補改訂第4版〕』田畑康人・岡村国和編著八千代出版2700円+税978-4-8429-1765-82020年4月
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『保険学 補訂版』近見正彦他有斐閣ブックス2400円978-4-641-18434-3
参考URL
1.生命保険協会
2.損害保険協会
3.金融庁
質疑応答
質問があれば授業中でも自由に質問してください。できる限り答えます。また、オフィスアワー(火曜日昼休みか、それ以外でも研究室に在室中ならいつでもOKです。私のメールアドレス( tabata@dpc.agu.ac.jp)に連絡しても構いません(ただし、試験期間から採点期間中は除く)。なお、板書の字が上手ではないので、字が読みにくい場合はその場で指摘してくれて結構です。
備考
「保険論A」を履修している方が理解しやすいですが、「保険論B」だけを履修しても分かるように講義していきます。ただしその場合、秋学期最初の数回「保険の限界とその対応」に関する授業に必ず出席し、基礎的内容を理解することが不可欠です。ここでつまずくと全体像が把握しにくくなります。また、人間として最低限のマナー(教室での脱帽、私語を慎む、携帯のマナーモードなど)は守って下さい。
画像
ファイル
更新日付2021/02/15 09:40:02