開講年度2021
開講学科商学科 2013年度以降入学
経営学科 2013年度以降入学
経済学科 2013年度以降入学
法律学科 2013年度以降入学
現代社会法学科 2013年度以降入学
2020年度法学部現代社会法学科
2020年度法学部法律学科
2020年度経済学部経済学科
2020年度商学部商学科
科目名生命に関する諸問題Ⅰ
担当教員城 貞晴
学期曜日時限春学期 月曜日 1時限
チームコード
科目区分選択
授業形態講義
対象学年2年
単位数2
科目ナンバーB231-118-03
関連性が高い
ディプロマ・ポリシー
B-DP1-1 倫理性と人間性 ◎ B-DP3-3 課題発見力 ◎
キャンパス名城公園キャンパス
担当教員の実務経験


テーマ
「時の矢」から見える生命の世界
授業の概要
私たちは,モノやエネルギーの目まぐるしい移動,時々刻々と激しく変化する環境の中で過ごしています。従来の物理学では,ありのままの自然の姿を受け入れることが出来ず,主要と認識される条件のみを分割して取り上げて,自然を理解しようと努めました。しかし,その結果,自然の姿は機械仕掛けのようにしか映らなくなってしまいました。そんな世界観が永らく受け継がれてきましたが,近年,ようやくありのままの自然の姿を受け入れて扱おうとする物理学が登場してきました。主にブリュッセル学派が進展させたその体系の概要を垣間見ながら,私たち生命体について,捉えて直していきます。
授業の到達
目標
決定論的なニュートン力学の問題点を指摘できる。
「系」の分類と,その階層性について説明できる。
乱雑さの増大の例を挙げることが出来る。
例えば,缶コーヒーや保冷剤,多種多様な生命体などを「系」としてとらえることが出来る。
生命体を開放系ととらえることができる根拠を挙げることが出来る。
太陽と生命体とのかかわりを,乱雑さ増大の観点から説明できる。
生物個体の集団形成とその合理性について説明できる。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
WebCampus「講義連絡」を使用して講評を送ります。
使用言語
日本語
実務経験をいかした教育内容
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1イントロ
本講義の概要を説明します。また、本講義で扱う学問体系を構築してきた物理学者達を紹介します。
【予習】シラバスにより扱う内容の確認をする。(20)
【復習】ノートを復習する。極力,数式を用いずに概要を説明します。大切な部分を強調するので,そこから理解に努める。(20)
2物理的時間と時の矢
伝統的な物理学で用いられる時間にはどのような性質があるでしょう。そして、私たちの感じる時間との違いはどのような点なのでしょうか?散逸構造論を提唱したプリゴジンは生涯にわたって時間について深く考察しました。その概要をまとめてみます。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】ノートをよく復習しましょう。(20)
3時の矢を理解するために
私たちが感じる時間を理解するために,一度基礎的な内容を表にして整理します。ここでは数式は使いません。身の回りの出来事を例に挙げながら理解を深めます。いずれも素朴な事例ばかりです。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】ここで示す表は本講義全般にかかわる大切な基礎です。よく復習しましょう。(20)
4未来は決定論的か確率論的か
宇宙は約137億年前のビッグバンによって誕生したと言われています。そして膨大な時間を経て今があります。毎日のように起こる「思いがけない出来事」は137億年も前から予定されていたのでしょうか?あるいはそうではないのでしょうか?考えてみましょう。
【予習】シラバス,前回講義時の予告により内容確認をする。(20)
【復習】ノートの復習をする。プリゴジンは,伝統的な物理学がかかえる問題点を鋭く指摘しています。その問題点を理解する。(20)
5物理学的に見た「生と死」-孤立系の場合-
外界とモノやエネルギーの交換をしない場合,ほったらかしにしておくとどんなことが起きるのか、考えてみましょう。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】ノートの復習をしましょう。エネルギー論だけでは自然現象を説明できないことを理解しましょう。(20)
6物理学的に見た「生と死」-開放系の場合-
外界とモノやエネルギーを交換する場合は,どんなことが起きるでしょうか。まとめてみましょう。
【予習】シラバス,前回講義の予告より内容確認をする。(20)
【復習】「流れ」が大切になります。ここは「生きているもの」「生きているかのようにふるまうもの」を扱っていることを理解する。(20)
7乱雑さを増す中でこそ形成される秩序 -散逸構造-
乱雑さを増すという動的な流れのある状況でなければ出現しない秩序があります。例を挙げるときりがないほどです。雲,ロウソクの炎,お椀の中での味噌汁の運動,そして何よりも多種多様な生命体など。いずれも流れが途絶えると消えてしまうものばかりです。
【予習】シラバス,前回講義時の予告より内容確認をする。(20)
【復習】「流れ」の中でこそ出現する秩序があることを理解する。この秩序は流れがなくなると消失する存在です。(20)
8準安定状態と熱的死
かつてボルツマンはその尖鋭な洞察力をもって乱雑さを物理量として表現し,宇宙の熱的死を指摘しました。ボルツマンの遺した功績は極めて大きいのですが,当時,残念ながらその重要性を理解されませんでした。ボルツマンの偉業を紹介するとともに,本講義内容の理解を深めていきます。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】ボルツマンの業績について復習しましょう。(20)
9生命体を環境から切り離すことは可能か?
前回の内容の理解を深めるためのトピックです。私たち生命体は一個体で独立に存在していないことは明らかです。ここで一度,生命体を散逸構造の一種であることを確認します。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】環境がいかに大切であるか,再認識しましょう。(20)
10生命体が捕食し、排泄をする意味
前回の内容の続きです。生命体は,捕食や排泄を通して外界と関わっていることはもちろんのこと,涙を流す,汗をかくなどにより外界と密接に関わっています。その物理学的意味を解釈します。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】エネルギーと粒子の流れを具体的な例を通じて確認します。(20)
11ホメオスタシスとホメオレシス
散逸構造は流れの中で生まれ、また消えていく存在です。また外界の変化に順応するように「進化のフィードバック」という機構を持っています。恒常性維持と進化のいずれのためにもミクロゆらぎが重要です。かつて,ゆらぎの増幅はすなわち崩壊を意味すると捉えられていましたが,今ではその解釈が大幅に変わり,環境変化に順応するためにゆらぎやその増幅が大切だと解釈されています。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】進化のフィードバックについて復習しましょう。(20)
12「可能性」を物理学的に解釈する
前回の話の続きです。今では,ゆらぎは可能性である,との理解がされるようになってきました。本来,環境は時々刻々変化し,その環境の変化に順応するものとそうでないものとがあることは納得できるはずです。ゆらぎは,環境変化に対応して自らを順応させるために必要な可能性であることを説明します。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】ノートの復習をしましょう。(20)
13生命状態を考える
生命状態とは一体どんな状態をさしているのでしょうか。かつて,ベルタランフィは一般システム論を唱え,生命体を緊密な相互関連性を保つ一つの有機体として捉えました。個々の構成要素のはたらき以上に構成要素間の結びつきが大切であると指摘しました。伝統的な物理学的手法では見えない,生き生きとした生命の姿が浮かび上がってきます。
【予習】シラバス,前回講義時の予告より扱う内容確認をする。(20)
【復習】伝統的な物理学と比較する。ニュートン,フック,ホイヘンスの論争が物理学の発展に与えた影響の大きさを理解する。(30)
14生命体とはなんぞや? 
個体行動と集団行動~アリの行列形成と合理的形態変化、粘菌による鉄道網の形成を例として~
アリの個体は生命体です。その行列は生命体と言えるでしょうか?ある種のアリは集団行動により,合理的な行列形成をします。つまり,集団行動により初期条件に依らない合理的な結論を見出すことが出来るのです。粘菌にも同様の性質が認められます。生命体に対する私たちの固定観念を打ち破ります。
【予習】シラバス,前回講義時の予告より内容確認をする。(20)
【復習】そろそろ本講義全体を振り返って,整理するとよいでしょう。(30)
15生命体とはなんぞや?
   ~心臓の鼓動、神経回路網の形成を例として~
前回の内容を深めます。
【予習】シラバス,前回講義終了時の次回予告により扱う内容の確認をする。(20)
【復習】そろそろ本講義全体を振り返って,整理するとよいでしょう。(20)
試験実施方法
定期試験=1
レポート=2
その他=3
1
評価方法
評価方法割合評価基準
定期試験40%模範解答と配点表を準備し,これに基づいて評価する。
課題レポート及び小テスト30%解答例を準備し,これに基づいて評価する。
参加姿勢30%質疑応答時の受け答え,積極性,ノートへの記録等を評価する。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『使用しない』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『以下に挙げますが,購入の必要はありません。』
2.『生命とは何か』シュレディンガー岩波文庫
3.『混沌からの秩序』プリゴジンみすず書房
4.『存在から発展へ』プリゴジンみすず書房
参考URL
質疑応答
講義時を中心に行ってください。
普段は日進学舎にいますが,週に3回MKCに行きますので,その機会を活用してください。
メール連絡可。
講義時に詳細をお知らせします。
備考
普段からノートを整理しておくことを強く勧めます。

教員の指示に従うこと。私語,居眠り,携帯電話等の使用,無断教室出入,遅刻等は厳禁である。
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更新日付2021/02/12 17:10:06