開講年度2020
開講学科商学科 2013年度以降入学
科目名損害保険論
担当教員田畑 康人
学期曜日時限秋学期 火曜日 2時限
科目区分選択
授業形態講義
対象学年3年
単位数2
科目ナンバーC331-236-24
使用教室1104(名城)
キャンパス名城公園キャンパス
担当教員の実務経験


テーマ
消費者側からみる損害保険とその特徴ー自律的判断ができる保険消費者になるためにー
授業の概要
保険(insurance)の中で、生命保険(life insurance)という英語はあるが、損害保険というピッタリの英語はありません。あえてこれを英語で表現しようとすれば、non-life insurance(非生命保険)と表現されていました。このことからも想像できるように、「損害保険」という言葉自体はきわめて日本的です。しかし言葉とは反対に、損害保険の内容そのものは世界的に通じる理論や考え方で構成されています。きわめて日本的特徴を有している生命保険と比べ、損害保険を学ぶことによって、世界的に共通の保険概念その特徴をと全体像を学んでいきます。
授業の到達
目標
損害保険と生命保険を比較しながら、1)損害保険全体に通じる基礎的概念を理解することから出発します。2)その後、火災保険(地震保険を含む)や自賠責保険を中心に自動車保険などの各論に進みながら、3)現代社会における損害保険の全体像を捉え、一般企業や商社に就職した場合でも応用できるようにすることを到達目標とします。なお、損害保険論の講義はできるだけ具体的な例を上げて分かりやすくしますが、「保険論A・B」で学んだことが基礎になるので、保険論A・Bを修得した者か、保険論A・Bを同時履修することが望ましいでしょう。春学期に生命保険論を履修していれば、さらにわかりやすいはずです。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
授業中に行う小テストについては翌週の授業で詳しく解説する。
使用言語
日本語
実務経験をいかした教育内容
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1オリエンテーション―損害保険論を理解するために―オリエンテーションなので予習は必要ないが、シラバスを読んで身近な損害保険についていくつか思い浮かべられるようにしてくると理解しやすいでしょう。
21 損害保険の基本的特徴―損害保険全体に通じる基本的考え方―1) 生命保険と損害保険の相違 日本における生損保の基本的な考え方を理解し、損害保険契約締結の前提となる「被保険利益」概念を自分のもにする。春の生命保険論履修者はその初回および2回目の講義内容を20分程度復習することが予習につながる。初めての履修者は「被保険利益」について調べるのに30分程度。
32)「被保険利益」概念と損害保険の役割 損害保険は被保険利益に生じた損害を限度として給付すなわち損害填補を行うこと=原状回復することが目的・役割である。そのために「利得禁止原則」が貫徹されいるところに世界共通の特徴がある。これを理解できると次につながる「保険価額」と「保険金額」および「損害填補原則」も見えてくる。「被保険利益」概念の復習に30分、次につながる損害保険の役割・目的の予習に30分。
43) 損害填補原則としての「比例填補原則」 損害保険で支払われる保険金は「填補金」ともいわれ、「比例填補原則」に従うのが最も基本で世界的に共通している。この特徴によっても利得禁止原則が貫徹され、モラルハザードの抑制にもつながっていることを理解する。損害保険の役割・目的の復習に20分。「比例填補原則」の予習とモラルハザードについて調べるために30分。
54) 損害保険契約の当事者と契約関係 損害保険契約の当事者は「保険者」、「契約者」、「被保険者」の3者しかおらず、契約関係も2種類しかない。この単純さがやはり利得禁止原則につながっている。5) 担保危険と免責危険 保険契約できわめて重要なのは担保危険と免責危険を契約前から正確に把握できていることである。「比例填補原則」とモラルハザードの復習に20分。契約当事者・契約関係、担保危険・免責危険の予習に40分。
66) 保険期間について 保険期間とは保険者が担保危険によって生じた損害を填補する責任を負う期間である。しかしこの「期間」必ずしも日時だけではない。種類よって日時や、場所、あるいは行為などになることもある。商社海外取引を行く企業に就職しようとする受講生はこような点を理解できると応用範囲が広がる。契約当事者・契約関係、担保危険・免責危険の復習に20分。保険期間を実際に想定して調べる予習に30分。
77) 契約締結後に課される義務 契約亭つ前に課される義務は告知義務でこれは生命保険と同じあるが、損害保険には契約締結後に課される義務もある。8) 損害の種類と損害填補の範囲 全損、分損などの損害種類と推定全損などについて理解する。保険期間などの復習に20分。損害保険には契約締結後に課される義務もある。損害の種類と損害填補の範囲の予習に30分。
89)損害填補後の保険者権利としての「代位」 損害保険には損害填補後に「代位」といきわめて特殊な権利が保険者に与えられている。代位とは何か?なぜそんな制度があるのかを理解し、ビジネスにおいても応用できるようにしたい。損害の種類と損害填補の範囲の復習に20分。「代位」についての予習に30分。
92 火災保険の特徴と火災の損害賠償責任 1)火災とは何か、そして火災保険の特徴と主要な類について日英比較をしながら理解を深める。英国のfire insuranceは「火災保険」と訳されるが、英国では「火の保険」で、日本では「火災保険」である。その相違を理解すると日本の火災保険の特徴が見えてくる。 2) 火災保険の主要な種類と価額協定保険「代位」の復習に20分。日英の火災保険の相違、火災保険の主要な種類についての予習に40分。
102 )火災と損害賠償 通常、過失によって火災を発生さてしまった場合、近隣に延焼しても損害賠償責任はない。それは日本独特の「失火に関する法律(失火責任法)」があるからである。それはなぜか、その問題点は何かを理解することによって将来の火災保険契約ているについて注意深く応用できる。それが交通事故との賠償責任の理解にもつながる。火災保険の主要な種類についての復習に20分。民法に基づく過失責任主義および「失火責任法」と損害賠償責任の予習に40分。
113 交通事故と賠償責任 1)交通事故と責任 交通事故を起こしてしまった場合、どんな責任が課されるのか、それを知ることが出発点になる。そして損害保険論では「損害賠償責任」を中心に理解していく。しかもそこでは民法に基づく不法行為責任の問題点を理解することが最も重要である。ここには過失責任主義という賠償責任の根本原理があるがその問題点をあばいていこう。民法に基づく過失責任主義および「失火責任法」と損害賠償責任の復習に30分。交通事故とその責任について予習が40分。
122)対人事故の責任と自動車損害賠償保障 物損事故と人身事故・対人事故については根本的な相違がある。この違いを理解すると対人事故の被害者救済の重要性も理解できる。その問題解決のために導入された「自動車損害賠償保障法(自賠法)」の特徴を理解する。交通事故とその責任について復習30分。対人事故の特徴と賠償責任およびその問題点、自賠法の重要性について60分の予習
133)被害者救済としての自賠法の特徴と運行供用者責任 自賠法上の責任の主体は「運行供用者」という耳慣れない者である。それは誰か?なぜそうしたのか?その責任を果たすために導入された自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の特徴は?対人事故に関する賠償責任と自賠法について復習30分。運行供用者および自賠責保険の特徴について予習が60分。
144)自賠責保険の特徴と政府保障事業について 被害者救済を目的ととした自賠法およびその資力を確保するために存在する自賠責保険だが、ひき逃げや無保険車による被害者はどうなるのであろうか?被害者救済徹底のための方策について理解するとともに交通事故の責任の大きさを再確認して無事故への意識を高めたい。運行供用者および自賠責保険の特徴について復習30分。ひき逃げや無保険車による被害者の被害者救済徹底について予習60分。
154)自賠責保険と過失相殺 自賠責保険は原則として過失相殺は行わない。それに代えて『重過失減額』がある。その特徴と問題点を理解し、最後にまとめと質疑応答を置こうなう。試験直前のため全体の復習に120分以上の復習し、必ず質問できるようにしてくること。
試験実施方法
定期試験
評価方法
評価方法割合評価基準
小テスト・小レポート2割AAは4点、Aは3点、Bは2点、Cは1点、Dは0点
定期試験8割100点満点で採点する。
最終評価上記の得点を合計して大学の評価基準に従って評価する。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.テキストは用いない
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『読みながら考える保険論〔増補改訂第3版〕』田畑康人・岡村国和編著八千代出版2700円+税978-4-8429-1765-82020年4月発行
2.『基礎からわかる学ぶ損害保険』中出 哲 他監修有斐閣2300円+税978-4-641-16526-72018年6月
参考URL
1.日本保険学会
2.損害保険協会
3.損害保険事業総合研究所
質疑応答
履修者があまり多くないので、質問は授業中いつでOKです。それができなければ授業終了後でも構いません。もちろんオフィスアワー(月曜日4限)も利用して下さい。
備考
「損害保険論」は、「保険論A・B」に加え、「生命保険論」も履修していると、より理解しやすいと思います。損害保険論のみの受講者にも理解できるように最善の努力をしますが、復習・予習を必ず多めにしてください。
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更新日付2020/03/07 10:28:15