開講年度2020
開講学科商学科 2013年度以降入学
経営学科 2013年度以降入学
経済学科 2013年度以降入学
法律学科 2013年度以降入学
現代社会法学科 2013年度以降入学
2020年度法学部現代社会法学科
2020年度法学部法律学科
2020年度経済学部経済学科
2020年度商学部商学科
科目名哲学Ⅱ
担当教員中河 豊
学期曜日時限秋学期 金曜日 5時限
科目区分選択
授業形態講義
対象学年1年
単位数2
科目ナンバーB131-111-02
使用教室1301(名城)
キャンパス名城公園キャンパス
担当教員の実務経験


テーマ
寛容と社会的結合に関する哲学的考察
授業の概要
価値の多様性を認める寛容の問題は、現代社会において重要な焦点となっている。この講義では、寛容という主題をヨーロッパ近代哲学の主要課題として取り上げ、寛容についての理解を深める。近代ヨーロッパの宗教改革以後の時代、宗教及び国家に関わり、様々なレベルでの対立が顕在化し、それが暴力、戦争などの悲惨な現実を生み出した。こうした状況において、哲学者たちは精神の自由と寛容な社会を目指して様々な理論的かつ実践的試みを行った。現代社会はこうした努力の成果の上に成り立っている。講義は、フランスの文学者・哲学者であるヴォルテールを出発点としながら寛容思想の歴史的発展を考察する
授業の到達
目標
寛容という哲学的主題とその重要性を理解できる。寛容な社会のあり方について考えることができる。
現代社会は多様な諸問題、たとえば移民問題などを通じて寛容性を喪失しつつあります。このような状況においてあらためて現代的な視点から寛容思想の意義について反省してみます。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
課題は、寛容思想について理解すること、これの意義について思索することです。
フィードバックは毎回の講義で講義内容について短い文章を書いてもらい、次回講義に生かします。
使用言語
日本語で講義します。但し、講義で取り扱う哲学者たちが使用する言語(フランス語、ドイツ語、ラテン語)の用語・概念を紹介し解説することがあります。
実務経験をいかした教育内容
ドイツに研究滞在した経験を講義に生かします。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1寛容という主題の歴史的・現代的意義について講義します。また、寛容思想の展開についての講義計画を説明します。事前にシラバスを読み、講義についての予備的知識を持って臨んでください。(60)
218世紀フランスの哲学者ヴォルテールの『寛容論』を取り上げます。ヴォルテールの生きた時代状況を解説し、当時の宗教的対立、宗教的少数派の迫害について『寛容論』の記述より紹介します。ヴォルテールの『寛容論』を中心に、授業の復習を行ってください。(60)
3『寛容論』にある寛容思想の論理について明らかにし、なぜ寛容な社会が必要であるかを考えてみます。社会における寛容の必要性を中心に、授業の復習を行ってください。(60)
417世紀フランスの哲学者ベイルの生涯を紹介し、彼の思想を理解する端緒として迷信批判を取り上げます。ベイルの迷信批判を中心に、授業の復習を行ってください。(60)
5ベイルの寛容論をとりあげ、宗教的対立をのりこえる理論について説明します。彼は聖書を権威とするのではなく、全ての人間に共通な理性的道徳を構想しました。ベイルの理性的道徳を中心に、授業の復習を行ってください。(60)
617世紀オランダの哲学者スピノザの生涯と主著『エチカ』における独自の汎神論的哲学について説明します。スピノザは同時代人からは無神論者とみなされましたが、死後に『エチカ』が公刊され、後世に大きな影響を与えることになります。スピノザの汎神論的哲学を中心に、授業の復習を行ってください。(60)
7スピノザの『神学政治論』にある思考・思想の自由について説明します。スピノザは宗教的権力ではなく世俗的な国家を重視し、この国家の中でも不可侵のものとして思考・思想の自由を主張しました。この自由は国家の目的とされています。スピノザの国家論を中心に、授業の復習を行ってください。(60)
818世紀ドイツの文学者・哲学者レッシングの生涯を解説し、彼の思想における寛容性の問題を『賢者ナータン』を取り上げて説明します。ユダヤ教徒、キリスト教徒、イスラム教徒の間の和解を通じて、寛容な人間精神と人間関係について考えます。レッシングの『賢者ナータン』を中心に、授業の復習を行ってください。(60)
9レッシングが関与した二つの哲学的論争(ライマルス論争及びスピノザ論争)を取り上げます。特に、理神論者ライマルスの断片の公刊をめぐって神学者とレッシングの間の論争及びその成果としての作品『賢者ナータン』の寛容思想について説明します。レッシングが関与した二つの哲学的論争を中心に、授業の復習を行ってください。(60)
10レッシングのスピノザ主義をめぐる論争を取り上げ、スピノザの哲学が18世紀ドイツにおいて形を変えて復活したことを説明します。18世紀ドイツにおけるスピノザ主義を中心に、授業の復習を行ってください。(60)
1118世紀ドイツの哲学者ヘルダーリンは、レッシングの影響の元に独自の哲学を構想しました。『合一哲学』と呼ばれるヘルダーリンの哲学について説明します。ここでは、自然と人間、人間相互の自由な結合の構想があります。ヘルダーリンの合一哲学を中心に、授業の復習を行ってください。(60)
1218世紀ドイツの哲学者カントの生涯と『実践理性批判』における自律的道徳論について説明します。ベイルはすでに17世紀において道徳の基礎としての宗教を放棄しました。これと類似しますが、カントは理性という人間の自己決定能力に依拠した道徳を構想しました。カントの自律的道徳論を中心に、授業の復習を行ってください。(60)
13カントの「人間の尊厳」及び平和についての思想について説明する。カントは人間を例えば民族によって差別化することを行わず、『世界市民』的立場から全ての人間に尊厳を承認し、政治論においては平和な世界を実現する構想を明らかにした。カントの「人間の尊厳』論と平和論を中心に、授業の復習を行ってください。(60)
1418世紀のドイツの哲学者フィヒテは、フランス革命を肯定し、人間の自由を基礎とした社会を構想した。市民革命と哲学の関連について講義します。フィヒテのフランス革命に対する評価を中心に、授業の復習を行ってください。(60)
15全体のまとめ。寛容の問題が人間の自由の問題につながること、さらに多様な価値を承認する寛容な社会のあり方を構想する必要があることを述べます。寛容をめぐる各哲学者の考察全体の流れが理解できるまで、全授業の復習を行ってください。(180)
試験実施方法
定期試験
評価方法
評価方法割合評価基準
毎回の講義で短い文章を書いてもらいます。40パーセント講義への積極的な関心・参加度をはかります。
論述試験60パーセント講義内容の理解、これに関する思索について検証します。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『使用しない』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『寛容論』ヴォルテール中公文庫705円978-4-12-205424-0
2.『神学・政治論』スピノザ光文社古典新訳文庫1404円978-4334752897
3.『賢者ナータン』レッシング岩波文庫967円978-4003240427
参考URL
質疑応答
講義終了後その場で質疑応答します。
備考
講義は受講者の理解度を考慮して展開します。また、補足的な説明を加えることもあります。
画像
ファイル
更新日付2020/02/07 13:45:58