開講年度2020
開講学科総合政策学科 2013年度以降入学
科目名表象文化論
担当教員岩田 和男
学期曜日時限秋学期 木曜日 4時限
科目区分選択
授業形態講義
対象学年2年
単位数2
科目ナンバーG231-261-06
使用教室G106
キャンパス日進キャンパス
担当教員の実務経験


テーマ
教養としての日本映画、そしてそこから東アジアにおける日本社会・日本人を考える
授業の概要
 日本映画の三大巨匠である、溝口健二・小津安二郎・黒澤明をまったく見たことがない若者が圧倒的多数を占めるようになりました。外国で大変有名な彼らをまったく知らないのは大変な不幸なので、まずはそれを見てもらい、彼らの素晴らしさを実感してもらいます。
 そのうえで、表象文化論の立場から日本映画を見ると、どんな日本社会、日本人が見えてくるのかを考えます。キーワードは「クロースアップ」という技法です。アメリカ映画の特徴は、それに加えてカットとクロスカッティングですが、その視点で日本映画を見ると、それはどういう映画に見えるのでしょうか。まずはそれを考えます。そして、そうやって眺めてみると、黒澤の特異さがはっきりしてくるはずですから、そこから見えてくる、20世紀から21世紀にかけての日本社会・日本人のある特徴、それの東アジアにおける意義について考えます。
授業の到達
目標
 まず第一に、三大巨匠の名画を丹念に見ることで、その良さを自らの言葉で語れるようになってもらいます。そして、15講終了時点で、①表象文化なる用語が登場することになった経緯を大まかに説明できる、②写真・映画が生まれた歴史的経緯を説明できる、③日本映画の特徴から見えてくる日本社会、日本人の特徴がどんなものか、大まかに説明できるようになってください。教科書に関する到達目標としては、④日本映画と東アジアの関係について説明できる、が挙げられるでしょう。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
 小テストについては、授業で出題内容を説明し、個々の得点状況を個人名を伏せたかたちで公表、補講形式による再試をおこないます。
 定期試験については、得点状況を成績発表と同時に掲示します。
使用言語
日本語。一部英語資料を配布する可能性があります。
実務経験をいかした教育内容
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1講義の視野と視点及び表象文化論① 表象文化とは/これからの授業の進め方/文学における表象キーワード復習(180分)、マキノ省三『忠魂義烈 実録忠臣蔵』(1928年)または『豪傑児雷也』(1921年)視聴(63分)
2表象文化論② エクフラシスから見た表象文化としての絵画キーワード復習(240分)
3表象文化論③ 絵画から写真・映画の始まりまでキーワード復習(240分)
4映画以前の日本文化と映画流入後小テスト準備(90分)、キーワード復習(150分)
5溝口・小津そして黒澤登場までの日本映画キーワード復習(60分)、小テスト準備(60分)、溝口健二『残菊物語』(1939年)視聴(143分)
6小テスト(四方田犬彦『日本映画史110年』より出題)、第6講までのまとめ出題できなかった箇所をプリント予習(120分)、再試のための準備(120分)
7小テスト解答・説明、出題できなかった箇所の要点説明出題できなかった箇所の復習(60分)、再試のための準備(100分)、『雨月物語』(1953年)視聴(97分)
8溝口健二の斬新と日本映画における「近づかない」―『残菊物語』と『雨月物語』で確認溝口映画のまとめ復習(150分)、『その夜の妻』(1930年)視聴(66分)
9小津の戦前映画まで―しぐさの模倣―、そして『その夜の妻』(1930年)戦前の小津復習(75分)、『非常線の女』(1933年)視聴(100分)、『東京物語』(1953年)視聴(120分)
10小津の戦後映画は「近づく」か?―しゃべくり映画(Sophisticated Comedy)としての『淑女と髭』(1931年)はどう変わったかを『東京物語』(1953年)で戦後の小津復習(120分)、『お早よう』(1959年)視聴(120分)
11小津のアメリカ映画流カットで「日本」を撮るは〈しぐさ〉として「近づい」たか?/黒澤の戦中映画―スピード感という特異を『姿三四郎』(1943年)でキーワードと戦後の小津復習(130分)、『姿三四郎』(1943年)視聴(97分)、黒澤の戦中復習(30分)
12黒澤の戦後映画―『野良犬』(1949年)の汗とスピード感の対比キーワードと戦中・戦後の黒澤①まとめ復習(100分)、『隠し砦の三悪人』(1958年)視聴(139分)
13グローバライズする黒澤映画―『羅生門』(1950年)のキス・シーンと『隠し砦の三悪人』(1958年)のアダプテーションキーワードと黒澤のグローバライゼーションについて復習(40分)、黒澤明『七人の侍』(1954年)視聴(207分)
14そして日本映画/日本人はどうなった?―キス・シーンから見るとキーワード復習(60分)、定期試験のための準備(120分)、黒澤明『八月の狂詩曲』(1991年)視聴(98分)
15日本人の変化を東アジアの視点で見直す―文化的グローバリゼーションをキス・シーンから考える復習(60分)、定期試験のための準備(120分)、韓国映画を見る(120分)
試験実施方法
定期試験
評価方法
評価方法割合評価基準
定期試験40%教科書内容・授業内容全体の理解度を測定する、参考資料の使用は認めない
コメント・ペーパー30%毎回の授業内容の理解を測定する、B6用紙への記述分量と内容でAAからDまで細分評価
小テスト30%使用教科書の内容理解を測定する、補講による再試で内容理解の不足を補う
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『『日本映画史110年』』四方田犬彦集英社新書842円10: 40872075282014年
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『適宜資料を配布する』
参考URL
質疑応答
オフィスアワーは水曜日昼休み。メールによる予約(kiwata@psis.agu.ac.jp)が必要です。
備考
座席指定にします。映画を見ていることを前提にして授業が進みますから、予習としての映画視聴は必須です。
画像
ファイル
更新日付2020/02/13 05:20:12