開講年度2020
開講学科日本文化学科 2013年度以降入学
科目名仏教と文化Ⅱ
担当教員木村 文輝
学期曜日時限秋学期 火曜日 1時限
科目区分選択
授業形態講義
対象学年1年
単位数2
科目ナンバーN131-114-61
使用教室9108
キャンパス日進キャンパス
担当教員の実務経験実務経験あり


テーマ
仏教的観点からみる「いのち」と尊厳
授業の概要
 本講義では、仏教的観点から「いのち」と尊厳について考察する。ただし、この問題は客観的な事実を解明することで結論を出せるものではない。それは、人々の人間観、生命観、世界観と深く結びついており、最終的な回答は宗教の中にこそ求められるべきものである。講義においては、前半で日本的、仏教的観点から生と死のプロセスを考察し、後半では尊厳の意味をはじめとして、自殺や他殺、臓器移植の問題から、葬儀や水子供養という文化事象まで、幅広く論ずる予定である。考察にあたっては、インド的、あるいは日本的な仏教の教義をはじめ、日本の伝統文化やキリスト教の思想、さらには生命倫理学の議論なども参照する。また、関連するビデオ教材を利用するとともに、受講生の意見も参考にする予定である。
授業の到達
目標
1.日本的、仏教的観点における「いのち」の定義を学び、それを論じることができる。
2.いのちの「尊厳」に関して、西欧的、キリスト教的な定義と、日本的、仏教的な意味を学び、それを論じることができる。
3.「いのち」をめぐる様々な問題や文化事象について論じることができる。
4.「いのち」の問題を、幅広い立場から考察する能力を涵養する。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
定期試験終了後、定期試験の解答状況に関するコメントを掲示により公表する。
使用言語
日本語
実務経験をいかした教育内容
仏教寺院での実務経験にもとづいて、そこで実地に見聞している人々の苦しみや悩みと、それを乗り越えるための仏教的な智慧を紹介しつつ、現実的な立場から授業内容の講義を行う。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1〈本講義の基本的立場〉
〇仏教的観点から「いのち」を考察することの意味を学び、本講義の基本的な立場を理解します。
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
2〈時間とは何か〉
〇生と死の問題は、時間とは何かという問題と不可分に結びついています。ここでは、時間をめぐる2つの立場について学びます。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
3〈円環的時間論〉
〇日本的、仏教的立場の「いのち」は円環的時間論にもとづいています。ここでは、民俗学的な事例を参照しながら、その具体的な内容を学びます。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
4〈誕生のプロセス〉
〇ひとは、瞬間的に生まれるのではなく、長いプロセスを経て誕生します。ここでは、日本的、仏教的立場にもとづいて、約20年に及ぶ誕生のプロセスを学びます。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
5〈死のプロセス〉
〇ひとは、瞬間的に死ぬのではなく、長いプロセスを経て死んでいきます。ここでは、日本的、仏教的立場にもとづく死のプロセスを学びます。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
6〈葬儀の役割〉
〇人間は、ひとの死に意味を与えるために葬儀を行います。ここでは、日本仏教にもとづく葬儀のプロセスと役割を学びます。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
7〈再生のプロせス〉
〇円環的時間論にもとづく日本的、仏教的立場の「いのち」は、死後の再生に重要な意味を認めています。ここでは、その具体的な内容を学びます。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
8〈西欧的いのちの尊厳〉
〇一般に語られる「いのちの尊厳」は、西欧的、キリスト教的立場にもとづくものです。ここでは、その意味と問題点を学びます。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
9〈仏教的いのちの尊厳〉
〇仏教的立場における「いのちの尊厳」とは、どのような意味を持ち得るでしょうか。ここでは、受講生とともにその答えを探ります。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
10〈尊厳の尊重〉
〇人を殺してはいけない理由はどこにあるのか。この問題は、「いのちの尊厳」の最も基本的かつ重要な応用問題です。ここでは、受講生とともにその答えを探ります。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
11〈臓器移植をどう考えるか〉
〇臓器移植の是非論は、「いのちの尊厳」を考える上で基本的な素材を提供してくれます。ここでは、この問題を様々な立場から考察します。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
12〈自殺をどう考えるか〉
〇仏教は生命尊重の教えと言われます。では、自殺の問題を仏教ではどう考えればよいのでしょうか。ここでは、受講生とともにその答えを探ります。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
13〈水子供養という文化〉
〇水子供養は近代の日本で生まれ、近年ではアジアの一部の地域に広まりつつある新しい文化です。ここでは、そこに込められた意味と問題を学びます。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
14〈いのちの尊厳と死者供養〉
〇日本的、仏教的立場では、「いのちの尊厳」は死者に対しても及びます。ここでは、それを具現している死者供養の意味を改めて考察します。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
15〈「仏のいのち」という言葉〉
〇現代の日本仏教では、「いのちの尊厳」を表すためにしばしば「仏のいのち」という表現が用いられます。ここでは、この場合の「仏」の意味を考えます。
〈予習〉前回の学習内容を復習しておいてください。(30)
〈復習〉関連する書籍などを講読して、理解を深めてください。(180)
試験実施方法
定期試験
評価方法
評価方法割合評価基準
定期試験80%授業内容を十分に理解したうえで、いのちの尊厳とそれに関わる諸問題について、論理的に論じることができているかを客観的に評価する。
受講態度20%授業中の受講態度や積極的な発言を客観的に評価する。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『使用しない』特に指定しません
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『生死の仏教学』木村文輝法蔵館2592円
2.『授業中に適宜紹介する』
参考URL
質疑応答
・質問や問題提起等を歓迎します。講義の内容に直接関係する質問等は、講義中随時受け付けます。その他の質問等は、講義の終了後に申し出てください。または、禅研究所か、研究室(3431)まで連絡してください。
備考
・受講者は最初の講義に必ず出席すること。
・「いのち」の問題に正解はありません。受講者自身が自ら主体的に考察をめぐらしてください。
・講義中の退室、私語、携帯電話やメール等の使用は厳禁します。なお、何らかの事情でそうした行為が必要になる可能性がある場合、事前に申し出て下さい。
・火曜日昼休みはオフィスアワーとして、禅研究所にいます。
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更新日付2020/02/04 22:00:42