開講年度2020
開講学科歴史学科 2015年度以降入学
科目名世界史特殊研究C-Ⅱ
担当教員野々山 慶一
学期曜日時限秋学期 火曜日 4時限
科目区分選択
授業形態講義
対象学年3年
単位数2
科目ナンバーH331-161-06
使用教室2104
キャンパス日進キャンパス
担当教員の実務経験


テーマ
イギリスと近代世界
授業の概要
 本年の講義テーマは「イギリスと近代世界」を予定している。近代ヨーロッパ史を理解する上で、大航海時代が重要であるのは何故か。それは、ヨーロッパ人の海外進出によって、ヨーロッパの重心が地中海から大西洋へと大きく移動すると共に、ヨーロッパを中心として、アジア、アフリカ、アメリカ新大陸が結びつき、世界が一体化に向かったからである。ヨーロッパには、多くの非ヨーロッパ物産が流入し、新しい消費生活が成立するのである。大航海時代の後半には、イギリス、フランス、オランダ等の新興海洋国家が積極的に海外進出を果たし、スペイン・ポルトガルによる世界分割に割り込もうと試みた。本講義では、ヨーロッパによる「世界の一体化」を手掛かりにして、近代ヨーロッパ史及び近代イギリス史の基礎知識の習得を目指します。
 尚、秋学期は、春学期の講義を前提として、「世界の一体化」とイギリスとの関係を学びます。
授業の到達
目標
 イギリスとは何か、近代のイギリスは、市民革命と産業革命、議会主義と立憲君主制、大英帝国とジェントルマンの国、最後に福祉国家であった。幕末維新から常に近代市民社会の指標として、見習うべき「模範」であった。第二次大戦の敗戦によって、憧れの対象はアメリカに変わり、イギリス像も、王室と貴族社会を温存し伝統を大切にする保守的な国へと逆転した。とはいえ、ビートルズとブリティッシュロックを経て、最近の紅茶、ガーデニング、ケルト音楽の流行に見るように、相も変わらず、イギリスは、私たちの側の一方的な憧れと思い入れの対象であり続けている。私たちは実像のイギリスをどれだけ理解しているであろうか。近年、七つの海を支配した大英帝国の存在抜きに、イギリス人の生活は無かったと考えられている。そこで、本講義では、帝国がイギリスの人々に与えた影響を、政治、経済、文化、生活等多面的に考察する力をつけることができます。
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
 成績発表日に、講義連絡によって授業講評を送る予定にしている。
使用言語
 日本語
実務経験をいかした教育内容
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1 はじめに―講義内容の説明
・大航海時代後期
 大航海時代の次代区分
 広義の大航海時代、新興海洋国家、海洋進出まで
 地中海から大西洋へ/商業革命
[予習)シラバス(春秋)を読み、講義内容を確認すること(30)
[復習]狭義と広義の大航海時代の違いを確認しておく事(30)     
2インディアス植民事業①-コンキスタドールの英雄時代
・スペインの新大陸征服
 エンコミエンダ(先住民の委託)
 疫病の流行、先住民人口の激減、絶滅
 アフリカ黒人奴隷貿易の開始
 ポトシ、サカテカス銀山発見
[予習]スペイン人入植者、コンキスタドールとはどのような人たちか調べておく事(30)
[復習]スペイン人入植者に、エンコミエンダはどのように利用されたのか調べよ(60)
3インディアス植民事業②-バリャドリード論戦/インディオは人間か?
・エンコミエンダ廃止運動
  ラス・カサス、先住民保護の先駆者
・アリストテレス論争/先天的奴隷人説 
 コルテス、アステカ王国征服
 ピサロ、インカ帝国征服
 
[予習]新大陸「発見」の衝撃について調べてみよう(60)
[復習]スペイン人の、新大陸先住民インディオに対する接し方を整理してみよう(60)
4コロンブスの交換
・新大陸と旧大陸ユーラシア大陸との動植物の交換
 新大陸原産植物、たばこ
 救荒作物、ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ
 ヨーロッパ人のプランテーション経営
 世界規模での作物の交換→生態系の激変
[予習]コロンブスの交換について調べておこう(60)
[復習]新大陸原産作物の世界への拡大の影響について整理すること(60)
5環大西洋経済圏の成立
・地中海から大西洋へ
 価格革命/商業革命
 新大陸銀のヨーロッパ経済への影響
 地中海交易圏と北海・バルト海交易圏
 商業革命の勝者-南ネーデルラント・アントワープ
[予習]価格革命、商業革命について調べておく事(30)
[復習]新興海洋国家台頭の歴史的条件を整理してみよう(60)
6新興海洋国家オランダ①ースペイン領ネーデルランド
 新興海洋国家の世界分割への割り込み
・ネーデルランド独立戦争
 アントワープ陥落
 アムステルダムの台頭 
[予習]スペインの盛衰について調べておく事(30)
[復習]アントワープ陥落の歴史的影響を調べておく事(60)
7新興海洋国家オランダ②-東インド進出
・オランダのアジア進出
 英蘭、東インド会社のアジア利権抗争
 アンボイナ事件
 蘭、モルッカ諸島、スパイス独占
 英、撤退→インドに転進
[予習]ネーデルランド独立戦争の経過について調べておく事(60)
[復習]イギリスとオランダのアジア利権抗争の結果を整理しておく事(60)

 
8新興海洋国家イングランド①ーアルマダ海戦
・エリザベスの対スペイン戦争
 エリザベスの海賊たち
・海戦の勝利→蘭英仏の制海権争奪戦
 ヨーロッパ権力闘争、世界の海に拡大    
[予習]イングランドとスペインの紛争の原因を調べておこう(60)
[復習]アルマダ海戦の歴史的意義を考えておこう(90)
9新興海洋国家イングランド②ー英蘭、覇権交代
・17世紀の全般的危機
 英蘭戦争、仏のオランダ侵略戦争
・名誉革命、英蘭同君連合→仏の脅威に対抗
 英、仏との植民地争奪戦勝利、覇権国家への上昇 
[予習]アンボイナ事件に敗れたイギリスのその後の活動について調べておこう(60)
[復習]どうして、オランダのような小国が、世界貿易を握ることができたのか、その歴史的背景を整理してみよう(90)
10生活革命①-コーヒーハウス
・イギリス的生活様式の成立
 喫茶・飲茶―理性的、禁欲的飲料
 産業社会の飲み物
・コーヒーハウス―情報文化センター
 公共圏-公論/世論形成の場 
[予習]生活革命を推進した英東インド会社の主力商品は何か、調べる事(30)
[復習]コーヒーハウスは、どのような活動の拠点となったのか整理しておく事(60)
11生活革命②-紅茶文化
・国民飲料への道
 王妃キャサリン・オブ・ブラガンザ
 砂糖入り紅茶―英貿易構造グローバル化
 カリブ海砂糖革命―大西洋奴隷貿易    
[予習]紅茶がイギリス人の国民飲料になった理由を調べてみよう(30)
[復習]国民飲料になった紅茶と奴隷貿易の関係を調べておく事(60)
12生活革命③-キャラコブーム
・インド産綿織物
 どうして毛織物の国で産業革命が?
 キャラコ論争、コットン vs ウール
          東インド会社派 vs 毛織物業者
 キャラコ輸入禁止法、使用禁止法
 キャラコ模倣、国産化の開始
[予習]どうしてキャラコがヨーロッパやイギリスで受け入れられたのか調べてみよう(30)
[復習]どうしてイギリスで産業革命がおこったのか、キャラコ論争を手掛かりに調べておく事(30)
13イギリス産業革命
・綿工業の機械化、動力革命、交通革命
 輸入代替(輸入品の国産化)
 帝国内自給体制
 生活空間の産業化―時間に管理された社会
[予習]東インド会社の推進した生活革命と産業革命の関係を考えてみよう(30)
[復習]輸入代替を手掛かりに、産業革命の原因を考えてみよう(60)
14「世界の工場」イギリス
・重商主義→自由貿易体制への転換
 ヴィクトリア朝最盛期 
 唯一の産業国家、工業製品の独占的供給者
・アジア政策の転換
東インド会社による交易→市場、原料供給地へ
 
[予習]世界の工場とは、どういうことか調べておこう(30)
[復習]「イギリスの平和」の時代のイギリスの通商政策について調べおく事(90)
15「世界の銀行」イギリス
・国際的金本位制度(ポンド=金)
 ポンド循環システム
 国際収支―貿易収支の赤字を貿易外収支の黒字で補填
 金融で世界経済を支配
[予習]第二次産業革命について調べておく事(30)
[復習]イギリスの国際収支の構造について復習しておこう(60)
試験実施方法
定期試験
評価方法
評価方法割合評価基準
定期試験における筆記テスト90%講義内容の理解度が第一の評価基準
平常点(授業参加度)10%出席も評価の対象だが、状況に応じて、受講者の参加度も参考にする。受講者は、常々配布するプリントなどを参考に、講義内容のつながりを把握して講義に臨むこと。不明な歴史的名辞は、次回の講義までに解消しておくことが望ましい。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『使用しない』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『イギリスの歴史―帝国=コモンウェルスのあゆみ』川北稔・木畑洋一有斐閣
2.『アジアと欧米世界』川北稔・加藤祐三中央公論新社
参考URL
質疑応答
 質問は講義時間に受け付ける。
備考
グローバル英語学科の学生は、3年次で履修すること。

 便宜的に春秋に分けてあるが、テーマの性格上年間を通じて一つのテーマを講義するので、受講希望者は、春秋両学期通して受講することが望ましい。従って、秋学期の講義は、春学期の講義を前提として行うので、秋学期受講者はそのつもりで受講すること。
画像
ファイル
更新日付2020/02/04 22:15:53