開講年度2020
科目名英語圏文化研究(Ⅲ)(アメリカ文学研究) 講義
(全)開講学科2018年度文学研究科英語圏文化専攻博士前期課程
開講種別通年
対象学年1年
担当者松崎 博
単位数4
曜日・時限通年 ダミー(曜日区分) ダミー(時限)
キャンパス


サブタイトル
19世紀半ばのアメリカの文学と社会(ナサニエル・ホーソーン編)
科目のねらい
ナサニエル・ホーソーンの『緋文字』や同じ作家の他の作品を読解、解説するだけではなく、当時のベストセラー作品や社会の動きにも目配りをすることによって、同時代の多様な英語表現、文学作品を生み出した文化k的、歴史的な背景を多角的に検討したい。
到達目標
アメリカ文学史上の傑作とされるホーソーンの『緋文字』を中心とする、彼の書いた英語のオリジナルのテクストなどの読解を通して、その多彩な英語表現や、それらの背後にある、文化や歴史的な背景を学ぶことができる。
授業の内容・
計画
第1回:イントロダクション:F.O.マシーセンによる「アメリカンルネサンス」の作家たちの選択
第2回:文学研究の制度化と文学史の構築:ナサニエル・ホーソーンとハーマン・メルヴィルの評価の変遷
第3回:ホーソーンの名声と文学産業の経営戦略::文学の「場」ということ
第4回:セイラムと日本のつながり:大森貝塚の発見者エドワード・モースとピーボディ・エセックス博物館の東洋コレクション
第5回:セイラムの「魔女たち」を裁くホーソーンの祖先:「若きグッドマン・ブラウン」に描かれた「正しい」共同体の裏側と魔女裁判のメカニズム、そして魔女狩りから赤狩りへ
第6回:文学を解釈するということ:「痣」の読解―フェミニズム編
第7回:文学を解釈するということ:「痣」の読解ー新歴史主義編
第8回:ホーソーンのロマンスへのこだわり:『ブライズデイル・ロマンス』(1852)の序文
第9回:公私の「中間領域」としての「税関」:『緋文字』(1850)の序文の役割
第10回:ホーソーンにとプライバシー、その曖昧な語り方:19世紀の生活空間の分離と男性職業作家
第11回:ヘスター・プリンの初登場は監獄の門の前:「不倫文学」『緋文字』と『ボヴァリー夫人』(1856)の評価と物語の構造の相関関係
第12回:1848年のセネカフォールズ:フェミニズム運動の始まりとヘスターが口にする英語の表現の雄弁さと強さ
第13回:ホーソーンの女性の理想像:『家庭の天使』VSブルーマーを身に着けた女性たち、『ニューヨークタイムズ』創刊号(1851年9月18日付)の第一面の記事、イギリスの風刺雑誌『パンチ』
第14回:清教徒の共同体で晒し者にされる「聖母」:マリア信仰の高揚とヘスターの描き方のねじれ
第15回:春学期の振り返り

第16回:イントロダクション:『緋文字』のなかの2つの時代―家族をめぐる価値観の変化
第17回:愛のない結婚とヘスターの希求:清教徒社会のロマンティックラブ?
第18回:ヘスター包囲網:母性という神話と男性社会
第19回:幽閉された総督の妹:『緋文字』と英語文学のなかの「屋根裏部屋の狂女」
第20回:ヘスターの罰と罪意識の内在化:躾と児童文学の効用―スーザン・ウォーナー『広い、広い世界』(1850)とミシェル・フーコー『監獄の誕生』を手掛かりにして
第21回:17世紀のボストンを描く物語に紛れ込んだfiresideという言葉:近代家族の条件と『緋文字』なかの時代錯誤、そしてOxford English Dictionaryを参照する必要性
第22回:19世紀の家庭の聖域化、家族の孤立と崩壊:家庭の幸福と描かない/描くことができないホーソーン
第23回:実験共同体の新しい家族像:『ブライズデイル・ロマンス』とブルックファームの現実
第24回:夫・父親であることの重圧とディムズデイル:理想の夫・父親像と失業者ホーソーン
第25回:「忌々しい物書き女たち」に嫉妬するホーソーン:19世紀アメリカの大衆文学と純文学
第26回:家庭からの逃走:アメリカ文学のなかの男性キャラクターの系譜
第27回:ベストセラーになった独身男の物語:ドナルド・グラント・ミッチェル『独身男の夢想』(1850)と『ブライズデイル・ロマンス』の独身男カヴァデイルの語り口
第28回:文学作品のアダプテーション 映画化された『緋文字』その1:ヴェンダース監督版
第29回:文学作品のアダプテーション 映画化された『緋文字』その2:デミ・ムーア主演版
第30回:秋学期の振り返り
評価方法
(基準等)
授業中のコメントなど(20%)、期末レポート(80%)
授業外の学修
(予習・復習)
予習 テクストの下読み(毎回)  1.5時間
復習 授業内容の確認(毎回)  0.5時間

作品の時代・社会背景のリサーチ 15時間
期末レポートなどの課題作成 15時間
教科書・
参考書
教科書
Nathaniel Hawthorne, Leland S. Person ed. The Scarlet Letter and Other Writings, W.W. Norton, 2017.
参考書
Larry J. Reynolds ed. A Historical Guide to Nathaniel Hawthorne, Oxford UP, 2001.
ジュディス・フェッタリー、鵜殿えりか、藤森かよこ訳『抵抗する読者―フェミニストが読むアメリカ文学』ユニテ、1996年。
テリー・イーグルトン、大橋洋一訳『文学とは何か』上下、岩波文庫、2014年。
参照URL
質疑応答
オフィスアワー  木曜2時間目(研究室番号 3538)

授業時間で対応可能なものは、時間内で質問を受け、時間がかかるものはオフィスアワーで対応します。
備考
画像
ファイル
更新日付2020/02/02 14:35:00