開講年度2020
開講学科歴史学科 2015年度以降入学
科目名日本史専門講読A-Ⅰ
担当教員福島 金治
学期曜日時限春学期 月曜日 2時限
科目区分選択
授業形態講義
対象学年3年
単位数2
科目ナンバーH331-162-13
使用教室3426
キャンパス日進キャンパス
担当教員の実務経験


テーマ
戦国大名の国内支配と社会のしくみを知る
授業の概要
 「朝倉英林壁書」と「今川仮名目録」は、戦国期の代表的な家訓と分国法である。16世紀には諸国に戦国大名があらわれ、大名は自身の支配する国を自身の家政をつかさどる家臣団を通して支配した。在地では地下のひとびとが村や町を自身の力で運営するようになった。現在の地域社会の原型がつくられた時代だった。授業では、大名が戦国大名の家訓と分国法を通して、この時代の社会についての基礎知識を身につける。
授業の到達
目標
 越前朝倉氏の当主朝倉孝景が制定した「朝倉英林壁書」を読むことで、応仁の乱を通して戦国大名となった朝倉孝景の家臣の掌握、国内支配の方法を学ぶ。また、駿河・遠江の大名・今川氏の分国法『今川仮名目録』を通して、喧嘩両成敗法・寄親寄子制など、この時期の基本的な支配方法や制度について学ぶ。これにより、自身で史料を読み解く力を身につける。
 
課題
(定期試験
・レポート試験
・授業内試験など)の
フィードバック方法
 授業の中間点で、小テストを行う。小テスト終了後に、解答を行い、確認する。定期試験は、中世の言葉の読み方と意味、中世文書の本文の現代語訳、授業内容で問題となったことを問う問題を出題する。採点・評価に不審があった場合は、個別に対応している。なお、右の内容は、初回に全員に通知している。
使用言語
 日本語で行う。文書は漢文に近い文体で書かれているので、声に出して読み、内容を現代文に訳す形態で行う。古文の知識が必要だが、授業では特段に特殊な単語などは使用していない。
実務経験をいかした教育内容
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学習・時間(分)
1 「戦国時代の家訓と分国法」(レクチュア)
 戦国大名が自身が支配する国と家につつまれる人々について、どのような方針で領国の運営を行ったかについて、概要を説明する。
シラバスなどを事前に読んでおく(30分)
2 朝倉英林壁書(1,一族と家臣)
 朝倉家の当主が一族・家臣に対して、能力を見抜いて公平性を保つこと、質素で謙虚に対応することの重要性を指摘した点を学ぶ。
テキストを読み、わからない単語などを事前にチェックし、授業後には再度解釈などを検討する(1時間)。
3 朝倉英林壁書(2,寺社と城)
 住人に対しては、民の訴えに丁寧に耳を傾ける態度、裁判の公平性、自制的な態度とすぐれた先人の言葉に耳を傾ける謙虚さが重要だという態度を学ぶ。
テキストを読み、わからない単語などを事前にチェックし、授業後には再度解釈などを検討する(1時間)。
4 「今川仮名目録」について(レクチュア)
 今川氏親制定の「今川仮名目録」と義元制定の「かな目録追加」の全体的な内容と、氏親・義元の生涯やその俗縁的関係などについて学ぶ。
シラバスなどを事前に読んでおく(30分)
5 『今川仮名目録』を読む(第1~5条)
 給人の所領に関する訴訟処理について、百姓の自律的な権利を認め、現地への無用な干渉を排除して公平な裁判を執行しようする姿勢を学ぶ。
 
テキストを読み、わからない単語などを事前にチェックし、授業後には再度解釈などを検討する(1時間)。
6『今川仮名目録』を読む(第6~10条)
 喧嘩両成敗の法について、当事者自身の暴力による解決から大名権力による解決の移行へ推移する戦国大名の姿勢を学ぶ。
テキストを読み、わからない単語などを事前にチェックし、授業後には再度解釈などを検討する(1時間)。
7『今川仮名目録』を読む(第11~15条)
 土地の売買や田へ水を引く権利など、給人や給人が知行する村などで発生した知行地での紛争処理のありかたについて学ぶ。
テキストを読み、わからない単語などを事前にチェックし、授業後には再度解釈などを検討する(1時間)。
8『今川仮名目録』を読む(第16~20条)
 生活の中で発生する借金・借米などの利息の限界設定、返済不能となった者の負債をできるだけ暴力行為を排除して解決するやりかたについて学ぶ。
テキストを読み、わからない単語などを事前にチェックし、授業後には再度解釈などを検討する(1時間)。
9『今川仮名目録』を読む(第21~24条)
 「国質」(逃亡などで担保を取れなくなった場合、負債者と同国の第3者から担保分を取る権利)などの中世の慣習法を学び、自力救済から脱却する道をさぐる。
テキストを読み、わからない単語などを事前にチェックし、授業後には再度解釈などを検討する(1時間)。
10『今川仮名目録』を読む(第25~33条)
 難破船の積み荷や流木について、その取得に関わる中世の慣習法を学び、一方で他国者との婚姻を規制して領国内の秩序維持をはかる戦国大名の性格を知る。
テキストを読み、わからない単語などを事前にチェックし、授業後には再度解釈などを検討する(1時間)。
11 『かな目録追加』を読む』(第1~5条)
 戦国大名の家臣団統制の仕組みである寄親・寄子制度について、合戦や日常的奉公での寄親の責任と寄子の果たすべき約束事について学ぶ。
テキストを読み、わからない単語などを事前にチェックし、授業後には再度解釈などを検討する(1時間)。
12 『かな目録追加』を読む』(第6~10条)
  今川氏の守護所・府中(駿府)への不入権の禁止など守護権力が強化されていることと、家臣の今川氏への軍役奉仕や商売役などその勤める役について学ぶ。
テキストを読み、わからない単語などを事前にチェックし、授業後には再度解釈などを検討する(1時間)。
13『かな目録追加』を読む』(第11~14条)
  今川氏家臣の家と財産の相続継承の取り決めと、器量の備わらない子弟や庶子への処遇について学び、家の継承に求められた「器量」について学ぶ。
テキストを読み、わからない単語などを事前にチェックし、授業後には再度解釈などを検討する(1時間)。
14 『かな目録追加』を読む』(第15~18条)
 今川氏領国での訴訟の理不尽な敗訴者への再審手続きなど訴訟の公平性の維持、菩提寺の住持などへの倫理観の遵守を求めたことなどを学ぶ。
テキストを読み、わからない単語などを事前にチェックし、授業後には再度解釈などを検討する(1時間)。
15 『かな目録追加』を読む』(第19~21条)
 大名の規範は将軍の規制に優先するという分国法の基本理念、奴婢の子供の所有権を扶助者におくなど、分国法が中世前期の法から脱却したすがたを学ぶ。
テキストを読み、わからない単語などを事前にチェックし、授業後には再度解釈などを検討する(1時間)。
試験実施方法
定期試験
評価方法
評価方法割合評価基準
定期試験7割単語の読みと意味(40点)、文書の本文の現代語訳(50点)、授業内容で問題(10点)の総合点。
小テスト2割単語の読みと意味(50点)
平常点1割出席状況などを勘案している。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『中世政治社会思想 上』岩波書店
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『今川義元』有光友学吉川弘文館
2.『今川義元のすべて』小和田哲男新人物往来社
参考URL
1.東京大学史料編纂所
質疑応答
  授業中にわからないことがあったら聞くこと。
  いつでも研究室へどうぞ。
備考
 高校時代に使った国語辞書・古語辞書・電子辞書を毎回持参する。
画像
ファイル
更新日付2020/02/06 09:59:14