開講年度2019
科目名生命に関する諸問題Ⅱ
科目ナンバーB231-118-04
開講種別秋学期
対象学年2年
担当者城 貞晴
単位数2
曜日・時限秋学期 火曜日 1時限
キャンパス名城公園キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
「自発的なリズム形成」から見える生命の世界
授業の概要
私たちの周りでは、絶え間なく物質やエネルギーの目まぐるしい移動が起きています。生命体はそのような環境下でこそ存在しえると言えます。本講義では「自発的なリズム形成」を中心に据えて、様々な例を通じて生命体を捉えていきます。
授業の到達
目標
生物たちは様々な「リズム」とともに生きています。春夏秋冬を通じて鳥は仲間同士で鳴きあい、雨を合図にカエルたちは大合唱し、蛍たちは「いとおかしく」発光し、虫たちは仲間に負けじと羽音をたて、そして寒さに震えることもあります。私たちの体内では心臓が鼓動し、神経回路網には絶えず信号が送られています。呼吸や体内時計、友達との間で繰り広げられる共感、いわゆるシンクロしたりもしますね。本講義は物理的視点から、何故そんなことが起きているのか?の疑問に答えようとするものです。
本講義終了の頃には、以下の各トピックが一つに見えてくるでしょう。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1イントロ
本講義の概要について説明します。引き続いて、散逸構造理論を構築した物理学者たちの生い立ちや思想などを紹介します。内容が分かれば実に奥深く豊かで、私たちが生きる意味についてよく教えてくれる理論であることに気付くことでしょう。
ノートを中心に復習をしましょう。(20)
2宇宙を司る二つの法則
本講義は、出来るだけ数式を用いずに解説します。まず、エネルギー保存則について説明します。その上で、エネルギー論的アプローチだけでは自然現象を説明できないことを理解します。
ノートを中心に復習をしましょう。(20)
3時の矢を理解するために
プリゴジンは、自らの著書のタイトルについてその思いを吐露しています。「時間-忘れられた次元」への思いを切々と語っています。プリゴジンの考えてきたこと、特に「時間」についての思想を一度ここでまとめます。
ノートを中心に復習をしましょう。(20)
4機械論的世界観と伝統的な科学
多くの条件が交錯し扱いきれないと感じた時、必要な要素のみを抽出して解析するという手法が用いられてきました。この積み重ねが伝統的な物理学とも言えます。そこには生き生きとした生命の姿はなく、味気ない機械のようなものが残っていました。モノをバラバラにしたらもう一度整理をしなくてはならないのですが、それが不得意だったようです。
断片化の結果生じた問題をよくおさえましょう。(20)
5人間と自然の新しい対話
前回の話の続きです。自然界はエネルギーやモノの流れに満ち溢れています。個体同士はネットワークを形成し生き生きとしています。伝統的な物理学が忘れてしまっていた整理をすることによって見えてくる世界観を紹介します。
パラダイムシフトの重要性を理解しましょう。(20)
6動的秩序と静的秩序
エネルギーとモノの流れがあってこそ初めて安定に形態を保つことができるものがあります。一方で、流れがあると不安定化してしまうものもあります。それぞれを比較し、違いを明らかにしてみましょう。
両者を比較して、相違点を整理しましょう。(20)
7形態自己修復能力と生命状態
今回は「生命体」「ミイラ」「結晶」を代表例としてピックアップして共通点と相違点を明らかにしてみましょう。
ノートを中心に復習をしましょう。(20)
8生きている相と死んでいる相
「生きている」あるいは「生きているようにふるまう」ということと「死んでいる」ということの違いを整理しましょう。
今までの内容を整理します。(20)
9階層的秩序構造と多細胞性
生命体は階層性を持っています。細胞、組織、器官、そして個体。さらに個体が何重にも重なる集合体を形成します。階層構造に焦点をあてて、改めて、生命について考えてみましょう。
階層性は、本講義内容全般を理解する上で重要なポイントです。しっかりと復習しましょう。(30)
10振動子の同期

流れをともなう様々な階層において、モノが集団を形成することによって振動の同期が生じることがあります。複数のロウソクの炎の同期、塩水振動子、振り子時計、メトロノームなど。生命の世界では、互いに鳴きあうカエル、コオロギなど。ホタルの明滅も同期します。それぞれの個体を一つだけ詳しく観察したところで決して見えてこない生き生きとした生命の世界を見てみましょう。
振り子時計の自発的同期はホイヘンスによって発見されていましたが、その後の発展が極端に遅れてしまいました。物理学の人間臭さが見えてくるのではないでしょうか。(20)
11自立分散システムと同期
人類は高度に発達した脳を持っています。脳は集中管理制御系の象徴と言ってよいでしょう。一方で、脳は小さいが高度に発達させた自立分散制御系を持つ生命体も多くみられます。脳が大きければ優秀な生命体である、というのは客観的ではないかも知れません。前回の話を発展させて、自立分散システムが如何に形成されるか、どのような例があるか、見てみましょう。
人間を中心とする世界観は自然を客観的に理解する妨げとなるようです。(20)
12動物模様のパターン形成
体表面に独特な模様を有している動植物が存在しています。成長と共に模様が変化していくものもいます。リズム形成という観点からそのような事例を見てみましょう。
講義内容の復習をして、ノートを整理しましょう。(20)
13うさぎときつねのつくる散逸構造
うさぎときつねは捕食関係にあります。その個体数の増減には相関があるようです。これをグラフ化し、解析をしてみます。
ノートの復習をしましょう。(30)
14都市の自己触媒的発展
都市が発展するためには流れが必要であることはよく分かっているはずなのに、これを扱うこと自体が永らく困難でした。流通を考慮した散逸構造論的な都市発展モデルの一例を紹介します。動物模様のパターン形成との共通点が指摘できそうです。
講義全体を総括する内容に近づきつつあります。全体を把握し、都市の発展について考えましょう。「生命」を扱う講義で都市について扱う理由を考えましょう。(30)
15銀河の散逸構造理論
銀河はスケールの大きな階層に該当しますが、モノとエネルギーの流れを伴っています。その発展の仕方は散逸構造論によっていくつかのグループにまとめることが出来ます。生命体のようにふるまう銀河の様子を紹介します。
系の階層性を念頭において、本講義全体をまとめてみてください。(20)
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
参加姿勢30点, レポート・小テスト30点、定期試験40点の合計100点満点で評価する。但し、真剣さが認められない等の場合(教員の指示に従わない、私語、居眠り、無断教室出入、遅刻、飲食など)には上記配点を超えた大幅減点の対象である。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『なし』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『参考書として以下を挙げるが購入の必要はない。』
2.『混沌からの秩序』プリゴジンみすず書房
3.『同期する世界』蔵本由紀集英社新書
4.『非線形科学』吉川研一学会出版センター
参考URL
質疑応答
講義時に行ってください。
備考
普段からノートを整理しておくことを強く勧めます。
画像
ファイル
更新日付2019/02/12 17:36:35