開講年度2019
科目名研究演習(経済思想史Ⅰ・Ⅱ) 2年演習
(全)開講学科2017年度経済学研究科経済学専攻修士課程
開講種別通年
対象学年2年
担当者田中 秀夫
単位数4
曜日・時限通年 月曜日 4時限
キャンパス名城公園キャンパス


サブタイトル
J・S・ミルの経済学と文明社会理解
科目のねらい
演習Iを踏まえて、ここでは19世紀以降の経済学者のなかからJ・S・ミルを取り上げて、ミルについてその仕事を個別的に理解する。どのような問題に取り組んでどのような処方箋を書いたのかということを、理論的、歴史的、政策的に理解することを目指す。このようなアプローチは現代の経済諸問題に対する政策を考えるときに、迂回的ではあるけれども、有益な示唆を与えると思われるからである。
到達目標
実際に古典的文献を読んで、研究するということは時間がかかるものである。15回の演習で出来ることは限られている。しかし、この授業を通じて19世紀の英国の最大の思想家の仕事がどのようなものであったかを理解し、簡単な講義ができるようになることが期待される
授業の内容・
計画
授業計画
第1回から第5回 J・S・ミル『功利主義』を輪読しながら、初期ミルの思想形成を把握する。啓蒙思想から何を継承したか。功利主義とはいかなる思想か。その強みと弱点はどこにあるのか。その現代的意義はどうか。

第6回から第8回 ミル『経済学原理』の一部を輪読する。スミスの経済学とどこがどう違うのか、その違いは何によるのか。発展か、後退か。現代経済学のアプローチとどのように違うのか。こういった問題について考察を深める。

第9回から第10回 ミル『自由論』を輪読する。ミルの自由概念はバーリンの言う消極的自由に傾きながらも積極的自由概念(古代的、参加的自由概念)も含まれていると思われる。『女性の解放』や『大学教育について』も参照する。

第11回から第15回 ミルの主著『代議政体論』などの政治論文を輪読する。文明批判や経済学で把握した社会問題を解決するために、ミルは実際に国会議員にもなり政治へと向かっていった。ミルの処方箋を把握し、その有効性がどうであったのかを、検証する。ミルの穏健な政治への接近法、社会問題への改良主義的アプローチがその後の英国の政治経済の発展の中で、いかに継承されていくのか、さらには現代的意義はどうかといった点についても、理解を深める。
評価方法
(基準等)
授業への取組を総合的に評価する
授業外の学修
(予習・復習)
関連文献をなるだけ時間をとって多数精読すること。
教科書・
参考書
J・S・ミル『功利主義論』、京都大学学術出版会、2010年 
ミル『経済学原理』、岩波文庫(絶版)
ミル『代議制統治論』岩波文庫、1997年
ミル『自由論』岩波文庫、1971年、光文社文庫、2012年
ミル『女性の解放』岩波文庫、1957年
ミル『大学教育について』2011年
参照URL
質疑応答
授業中に時間をとる。またメールでもOK.jgata@dpc.agu.ac.jp
備考
画像
ファイル
更新日付2019/02/02 04:58:30