開講年度2019
科目名税法
科目ナンバーC2-31-212-81
M2-31-162-81
開講種別春学期
対象学年2年
担当者川井 和子
単位数2
曜日・時限春学期 火曜日 4時限
キャンパス名城公園キャンパス
実務経験のある教員による授業科目実践的授業


テーマ
税法の基本的事項の学修
授業の概要
国民が安心して暮らせる社会のために税金は不可欠であり、税負担は納税者間において公平に配分されなければなりません。日本国憲法は納税の義務を定めるとともに、租税の賦課徴収は法律の定めによるとしています。わが国では主たる国税について申告納税方式を採用しており、納税者は税法に基づいてこれを自ら計算し納めます。それゆえ、私たち一人ひとりにとって税に関する知識は不可欠です。
以上をふまえて、本講義では、税や税制度の役割、税法の基本原則を学修したうえで、各論として所得税、法人税、消費税、相続税について基本的な学修をします。とくに、最近の税に関する事例(事件)を題材として、税法の解釈・適用、租税回避行為(合法的な税負担の排除・軽減行為)とその否認に関する動向などについて基本的事項の修得をねらいとします。
授業の到達
目標
商学部のカリキュラム・ポリシーに即して、実務で通用する知識を習得するため、わが国における税制と所得税法・法人税法・相続税法・消費税法といった各個別税法等の理解を目標とします。
具体的には、①日本国憲法から導かれる租税法律主義(日本国憲法30条、同法84条)と租税公平主義(同法14条1項)という税法上の2つの基本原則を理解します。②最近の税に関する事件などを通じて、税法の基礎知識やその解釈・適用のあり方を修得します。以上により、社会に出て納税者となった際に、③医療費控除のためなどの簡単な確定申告書の作成ができるようにします。また、④企業の構成員として、税に関する紛争を未然に予防するなどのスキルを養うことを目指します。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1イントロダクション: 税法を学ぶ意義・わが国の税に関する制度設計と租税法の基本原則最近の税に関するニュースを点検し、それについて考えてくること。(60分)
※授業時間外学習は復習を中心とする(2回~15回まで同じ)。
2税の意義と歴史・憲法と租税法税法における法的思考(リーガルマインド)について考えること。
前回の授業の復習と新聞やインターネットの税に関するニュースを確認すること(次回以降も同じ)。(60分)
3税法の基本原則Ⅰ・租税公平主義税の意義、そして、憲法と税法の関係について理解すること。(60分)
4税法の基本原則Ⅱ・租税法律主義租税公平主義について端的に説明することができるようにすること。(60分)
5租税法律主義と租税公平主義の対立―最高裁平成23年2月18日判決(武富士事件)租税法律主義について端的に説明することができるようにすること。(60分)
6税法の解釈・適用―最高裁平成22年3月2日(ホステス源泉徴収事件)税法の基本原則である租税法律主義と租税公平主義の関係について理解し、その対立について考えてくること。(60分)
7税務通達と租税法律主義税法の解釈適用のあり方について理解し、不確定概念や借用概念の解釈についての考え方を理解すること。(60分)
8節税・租税回避・脱税税務通達の意義を理解したうえで、いわゆる通達課税と租税法律主義との関係について考えてくること。(60分)
9租税回避行為の否認税負担の減少行為に関する3つの類型について理解してくること。 60分。
10税の種類と計算方法(1)所得税の意義と計算租税回避行為の否認とは何か。その否認の方法について学んだことを理解してくること。 60分
11税の種類と計算方法(2)所得税の意義と計算所得税の計算構造について理解してくること。  60分
12租税の種類と計算方法(3)法人税の意義と計算所得税法における所得区分の意義について理解するとともに、その論点について考えてくること。 60分
13.税の種類と計算方法(4)相続税の意義と計算、(5)消費税の意義と計算法人税の計算構造について理解し、益金概念、損金概念について考え、企業会計における利益と法人税における所得との違いを理解すること。 60分
14申告と納税-申告納税方式と賦課課税方式
税務調査と不服申立て・納税者の権利保護
相続税の計算方法について理解し、民法上の相続財産と相続税法上の相続財産との違いについてその概要を理解してくること。消費税のあらましについて理解してくること。 60分
15(1) 春学期授業の総括
(2) 簡易な所得税確定申告書の作成
わが国が採用する申告納税制度と租税法律主義との関係について考えてくること。 60分
    
16レポート試験(Term paper)
評価方法・基
準(評価割合)
(1) 以下の予定でミニテストを実施します(20%評価)。
第3回・税の意義(税とは何か)、第5回・租税公平主義と租税法律主義の意義および内容、第10回・租税回避行為とその否認のあり方、第14回・所得税の計算
(2) レポート試験(Term paper)(80%評価)。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『基本原理から読み解く租税法入門』増田英敏成文堂2592円978-4-7923-0567-3改版した場合はその版・基本的にこのテキストに即して授業を進めます。
2.『日本税理士会連合会HP・「租税教育講義用テキス2018「大学生向け講義用テキスト―税法を中心に―」』日本税理士会連合会各自下記URLより印刷してください。
参考書
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参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『租税判例百選[第6版]』中里実ほか有斐閣2808円978-4-641-11529-3重要判例教材
参考URL
1.日本税理士会連合会HP・租税教育「租税教育講義用テキスト」の2018版です。
2.国税庁HP・税大講本「税法入門(平成30年度版)」租税法の概要をわかりやすく説いています。
質疑応答
質疑応答は、授業終了後、または、オフィスアワーに名城公園キャンパス2915研究室及びメールにて行います。
オフィスアワ-: 火曜日 16時30分~17時30分、水曜日15時00分~16時00分(メールにて予約が必要)
Mail:kawai@dpc.agu.ac.jp
備考
①本講義の受講にあたってはこの科目が扱う税金の賦課・徴収のあり方等について強い関心があることを望みます。②教科書を必ず持参し、配布資料はファイルして授業に臨んでください。③授業中の私語は厳禁とし入退室しないことを原則とします。また、④すべての携帯電話操作を禁止します。⑤2/3以上の授業に出席した者のみ成績評価の対象とします。
※ なお、受講生の履修状況により、適宜、内容・進度等を調整変更することがあり、ミニテスト等の結果により、授業内容等に適宜フィードバックする予定です。
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更新日付2019/04/08 18:05:25