開講年度2019
科目名国際関係論
科目ナンバーK231-223-36
開講種別春学期
対象学年2年
担当者藤本 博
単位数2
曜日・時限春学期 木曜日 4時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
第二次世界大戦後の国際関係を考えるーアメリカ合衆国とベトナム戦争を中心として
授業の概要
第二次世界大戦後の国際関係の特質を考える場合、アメリカ合衆国(以下、アメりカ)が世界秩序の維持者・形成者としての役割を担ってきたことを考えることが大切である。本講義では、このような視点に立って、第二次世界大戦後の国際関係におけるアメリカ合衆国の役割とその特質について考察する。具体的は、アメリカの冷戦政策の帰結として展開されたベトナムに対する軍事介入政策(ベトナム戦争)の推移とその遺産を中心的な対象として、第二次世界大戦後の国際関係を長らく特徴づけてきた「冷戦」体制の形成・変容・再編ならびに冷戦終結後におけるアメリカの位置について検討する。アメリカがベトナムにおいて史上最初の軍事的挫折を被る中で国際社会・アメリカ社会において展開された戦争批判の動きと同時に、ベトナム戦争終結後におけるアメリカ外交およびアメリカ社会にベトナム戦争の教訓・遺産がどのように投影されてきたのかについても考えてみる。
授業の到達
目標
1.第二次世界大戦後の国際関係におけるアメリカの位置とその役割・特質について理解する。
2.第二次世界大戦後の国際関係を長らく特徴づけた冷戦の形成、変容、再編にアメリカがどのよう
  な役割を果たし、その過程を象徴するベトナム戦争がどのような歴史的意味をもったのか理解す  る。
3.冷戦終結後のアメリカ外交とアメリカ社会を考えるうえで、ベトナム戦争の教訓と遺産がどのよう
  な意味をもつのかについて知る。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1テーマ:イントロダクション
第二次世界大戦後の国際関係におけるアメリ
カの位置、そしてアメリカの冷戦政策の帰結として展開されたベトナムへの軍事介入を考える意味について検討する。
復習:油井『好戦の共和国 アメリカ』第5章(168-204頁)を通読する。(60分)
2テーマ:第二次世界大戦終結の歴史的意義ー1945年の国際関係
第二次世界大戦終結が戦後の国際関係とアメリカの国際関係をどのように規定したのかを考える。一つの素材として1945年9月のベトナム民主共和国樹立とアメリカの対応について考えてみる。油井『好戦の共和国 アメリカ』第4章(151-166頁)に関して討論を行う。
予習:油井『好戦の共和国 アメリカ』第4章「よい戦争としての第二次世界大戦」(151-166頁)を読んで感想をまとめておく。(60分)
3テーマ:「冷戦」とは何であったか1ー1950-1954年。
「冷戦」がどのような経緯で生まれたのかをアメリカ外交の展開を中心に考える。朝鮮戦争とベトナム戦争の起源をなすアメリカの対仏支援(1950年)についても考える。油井『好戦の共和国 アメリカ』(168-180頁)に関して討論を行う。
予習:油井『好戦の共和国 アメリカ』第5章 1「朝鮮戦争ー勝利感なき戦争」(168-180頁)を読んで感想をまとめておく。(60分)
4テーマ:「冷戦」とは何であったか2ー1955-1963年。
1950年代中葉から1960年代初頭のアメリカ外交を考え、その一環としてベトナムにおいて親米政権を擁立したものの、その政権が崩壊する過程について考える。油井『好戦の共和国 アメリカ』(181-187頁)に関して討論を行う。
予習:油井『好戦の共和国 アメリカ』第5章-2.「ベトナム戦争ー史上初の「敗戦」」(181-187頁)を読んで感想をまとめておく。(60分)
5テーマ:「冷戦」の変容とベトナムにおける「アメリカの戦争」への道、1964年ー1967年
ジョンソン政権時代の「冷戦」体制の変容を考察し、ベトナムにおいてアメリカが軍事介入を拡大させていく過程をたどる。油井『好戦の共和国 アメリカ』(188-193頁)に関して討論を行う。
予習:油井『好戦の共和国 アメリカ』第4章、第5章(188-193)を読んで感想をまとめておく。(60分)
6テーマ:ベトナムにおける『アメリカの戦争」の特質 1
ベトナムでの「アメリカの戦争」の実相を検討し、現代国際関係における「アメリカの戦争」のあり方を考える。及び藤本「アメリカのベトナム戦争」に関して討論を行う。
予習:藤本「アメリカのベトナム戦争」(プリント配布)を読んで感想をまとめておく。(60分)
7テーマ:ベトナムにおける「アメリカの戦争」の特質 2
アメリカのベトナム戦争政策を象徴するソンミ村虐殺事件を対象にその事件の実相とアメリカ社会への波紋についてとりあげる。映像「4時間で消された村」を見て討論を行う。
予習:講義時に配布するソンミ村虐殺事件関連資料を通読する。(60分)
8テーマ:第1回-第7回の講義のまとめ
 *5月24日(金)提出のレポート発表
 *レポート発表について質疑応答と討論を行
  う。
課題:油井『好戦の共和国 アメリカ』第4章、第5章(151-193頁)に関して小レポートをまとめる。5月24日(金)までに文学部事務室に提出。(120分)
9テーマ:国際社会における「アメリカの戦争」批判 1
ベトナムでの「アメリカの戦争」に関してはこれまでにない規模で国際的な反戦運動が高まった。その象徴とも言うべき「ラッセル法廷」を対象に国際社会で提起された戦争批判の諸相について考える。「ラッセル法廷」関連資料に関して討論を行う。
予習:講義で配布する「ラッセル法廷」関連資料(プリント配布)を読んで感想をまとめておく。(60分)
10テーマ:アメリカ社会における「アメリカの戦争」批判 1
ベトナムでの「アメリカの戦争」に対するアメリカ社会での反戦運動、とくにベトナム帰還米兵による戦争批判を取り上げる。映像「ウィンター・ソルジャー」を見て討論を行う。
復習:講義時に配布する関連資料を通読する。(60分)
11テーマ:「冷戦」の再編とベトナム戦争終結への道、1969-1975年
ニクソン政権における「冷戦」政策の転換をもとに展開されたベトナム政策について考える。油井『好戦の共和国 アメリカ』(193-197頁)に関して討論を行う。
予習:油井『好戦の共和国 アメリカ』第5章(193-197頁)を読んで感想をまとめておく。(60分) 
12テーマ:現代国際関係にけるアメリカ外交ー「ベトナム症候群」1
ベトナム戦争を中心的に担ったマクナマラ国防長官のベトナム戦争の反省論をとりあげ、ベトナム戦争後の国際関係とアメリカ外交のあり方を考える。油井『好戦の共和国 アメリカ』(197-204頁)に関して討論を行う。
予習:油井『好戦の共和国 アメリカ』第5章(197-204頁)を読んで感想をまとめておく。(60分) 
13テーマ:現代国際関係にけるアメリカ外交ー「ベトナム症候群」2
湾岸戦争以降、「ベトナム症候群」を克服する過程を意味するアメリカ外交の特徴を考える。油井『好戦の共和国 アメリカ』第5章(206-242頁)
に関して討論を行う。
予習:油井『好戦の共和国 アメリカ』第5章(206-242頁)を読んで感想をまとめておく。(60分)
14テーマ:現代国際関係と市民レベルの「和解・共生」活動
ベトナム戦争終結後においてベトナム帰還米兵がベトナム現地で行ってきた「和解・共生」活動を取り上げ、その今日的意義について考える。
映像 "The Sound of Violin in My Lai"を見て討論を行う。
課題:油井『好戦の共和国 アメリカ』第5章(193-242頁)に関して小レポートをまとめる。7月12日(金)までに文学部事務室に提出。(120分)
15テーマ:第9回-第14回の講義のまとめ
 *7月12日(金)提出のレポート発表
 *レポート発表について質疑応答と討論を行
   う。
復習:油井『好戦の共和国 アメリカ』第5章(193-242頁)を再読する。
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
定期試験 50% 二回の小レポート 30% (各15%) 授業への参加態度 20%
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『好戦の共和国 アメリカ』油井大三郎岩波書店780円978-4-00-43
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『アメリカ外交とは何か』西崎文子岩波書店780円4-00-4308
参考URL
1.講義時に指示します。
質疑応答
講義に関する質問・相談は以下の本講義担当者のメールアドレスにて連絡下さい。
   
   hiroshif@nanzan-u.ac.jp
備考
画像
ファイル
更新日付2019/02/05 10:47:45