開講年度2019
科目名東アジア史Ⅰ
科目ナンバーH231-163-01
開講種別春学期
対象学年2年
担当者金 光旭
単位数2
曜日・時限春学期 月曜日 2時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
東アジアにおける平和と共存
授業の概要
東アジアの国々中でも日本に近く、また、深い絆で結ばれてきた日本の周辺国の情勢を中心に取り上げる。広い観点から、その国々の現在の政治、経済的な状況などを歴史的な視点から振り返ってみ、国際関係史について学ぶ。最近、日本はこれらの国々とどのような脈絡で国家間の関係を築いてきたかを中心に検討していく。これらの観点を念頭に置きながら、日中関係と日韓関係の改善を展望し、日中韓の三国間の関係回復による地域内のダイナミズムと相互作用の効果を分析しながら、そのための道筋について考察する。
授業の到達
目標
冷戦後、日本は周辺国との関係を改善するためにどのような外交を展開してきたか。それは日本の政治、経済の状況とも関わっているテーマであるが、ここでは安全保障と自由貿易に注目しながら、日本と東アジアの国々との関係を探っていく。そして、日中韓トライアングルの国家間の関係には、どのような変化が見えているのか。常にそのような疑問を投げかけながら、日中韓の間の関係改善のための働きに注目していく。日中と日韓の間に緊張をはらむ要因とはなにか、またそれらを克服し、改善するために必要な政策とはなにかについて分析しながら、模索していく。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1イントロダクション-
東アジア地域のなかの日中韓
文明論之概略のなかの福澤諭吉の観点を通して、伝統と近代を区分する尺度を覚えておく・
1時間
参考>丸山真男『文明論之概略を読む』上、岩波書店、1986年
2ナショナリズムと国際関係
1)イデオロギーとしてのナショナリズム 
2)運動としてのナショナリズム    
3)マイノリティと国際関係    
4)東アジアのナショナリズム
ゲルナーによるナショナリズムについての定義を調べておく・30分
参考>アーネスト・ゲルナー著『民族とナショナリズム』岩波書店、2000年
3日清・日露戦争後の日朝関係
1)日朝修好条規    
2)朝鮮をめぐる国際情勢と日清戦争
3)日露戦争と韓国併合  
4)親日と反日の間
日清・日露戦争と朝鮮との関係についての歴史的な背景に注目して、覚えておく・1時間
参考>原田敬一『日清・日露戦争』岩波書店、2007年
4日韓併合後の朝鮮論
1)日韓併合の受け入れ    
2)吉野作造の朝鮮論
3)三・一運動後の朝鮮統治  
4)日本統治下朝鮮の戦時動員
日韓併合の歴史は日本と朝鮮にどのような経験だったのか・1時間
参考>海野福寿『韓国併合』岩波書店、1995年
5朝鮮半島の南北対立と日本
1)解放後の南北分断  
2)朝鮮戦争後の南北対立
3)アメリカの東アジア政策   
4)日韓国交正常化
朝鮮半島の南北分断体制とその堅固化について勉強しておく・30分
参考>木宮正史『韓国現代史』山川出版社、2012年・14~34ページ
6現代中国と日本
1)日米との関係改善   
2)中国の政治社会システム―改革開放以降
3)日中間の対立と摩擦  
4)相互補完の日中関係
日中国交正常化の国際環境について確認しておく・1時間
参考>服部龍二『日中国交正常化』中央公論社、2011年
7米中対立のなかで
1)トゥキディデスのわな(罠)とは   2)米朝対立の原点 3)米朝関係と米韓関係の間  
4)日米韓関係の変化
米中貿易戦争のなか、米朝関係と米韓関係の変化が日本に与えている影響・1時間
参考>グレアム・アリソン『米中戦争前夜』ダイヤモンド、2017年
8中国と北朝鮮-中朝唇歯関係の危機
1)朝鮮戦争と中朝同盟    
2)社会主義友好国としての中国と北朝鮮
3)冷戦後の中朝関係の変化   
4)中朝唇歯関係の危機
中国と北朝鮮との間の唇歯関係は、どのような意味をもつのか。また、その限界とは・30分
参考>五味洋治『北朝鮮と中国』筑摩書房、2012年
9中韓の接近と日中韓の選択
1)中韓国交樹立    
2)中韓FTA
3)中韓の接近とその障害  
4)日米韓の安保同盟への回帰と限界
戦後、東アジア地域では自由貿易と安全保障がどのような関係で結ばれてきたのか・30分
参考>藤田和子編『新自由主義に揺れるグローバル・サウス』ミネルヴァ書房、2012年
10東アジアの安全保障-北朝鮮の核危機
1)北朝鮮の核危機と六カ国協議    
2)N7T一核拡散防止条約との関連性    
3)北朝鮮の統治構造一党・政府・軍   
4)危機の経済状況
北朝鮮の核危機に対処するための六カ国協議には、どのような経過があったのか。北朝鮮の経済状況と関連して調べておく・30分
参考>今村弘子『北朝鮮「虚構の経済」』集英社、2005年
11歴史問題と領土問題-慰安婦問題と竹島問題
1)日韓間の懸案   
2)歴史の影としての慰安婦問題
3)日韓間の領土問題  
4)相互補完の日韓関係
日韓間の懸案として浮かび上がった慰安婦問題と領土問題について調べておく・1時間
参考>池内敏『竹島』中央公論社、2016年
12文化衝突と世界問題
1)人間と文化    
2)文明の衝突一-イスラエルとパレスチナ   
3)文明の衝突ニ-ハンチントンの仮説  
4)アラブの春と香港の雨傘運動
冷戦後も異文化間の葛藤、対立が続くと予測したハンチントン仮説がもつ、「挑戦」と「応戦」というトインビの歴史観との共通点とは・30分
参考>サミュエル・ハンチントン『文明の衝突』集英社、1998年
13東アジアの非民主的体制
1)全体主義体制    
2)権威主義体制
3)ポスト全体主義   
4)東アジアのスルタン主義国
スルタン主義とは、ウェーバーのいう家産制支配の極端な形態。東アジアではどのような国が
この概念に当てはめるのか・30分
参考>高橋進『国際政治史の理論』岩波書店、2008年
14東アジアの地域間協力
1)GATTTからWTO    
2)自由貿易協定とは    
3)主要な自由貿易協定   
4)東南アジア諸国連合(ASEANの成立
GATTの時代から今日の自由貿易秩序が形成されるまでの経緯を確認し、今後を展望・30分
参考>中川淳司『WTO』岩波書店、2013年
15日中韓トライアングルの国際関係
1)記憶から和解へ     
2)現在、日中韓関係の問題点    
3)日中韓をめぐる国際関係   
4)日中韓関係の未来図
日本と中国、朝鮮をめぐる駆け引きの国際関係は、今日に日中韓のトライアングルの図式のなかで再現されていることを確認・30分
参考>川島正樹編『記憶の共有をめざして』行路社、2015年
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
定期試験(持ち込み可)6割、レーポト4割
テキスト
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『現代からみた東アジアの近現代史』中村哲青木書店38889784250201172
2.『東アジア近現代通史』和田春樹岩波書店4104 9784007100680
3.『比較安全保障』梅川正美成文堂61569784792333133
4.『記憶の共有をめざして』川島正樹行路社48609784875343813
参考URL
質疑応答
教員への質問は、以下のメールとの交信をお勧めします。
kwangwookk@yahoo.co.jp
備考
画像
ファイル
更新日付2019/02/05 15:30:59