開講年度2019
科目名世界史特殊研究C-Ⅰ
科目ナンバーH331-161-05
開講種別春学期
対象学年3年
担当者野々山 慶一
単位数2
曜日・時限春学期 火曜日 4時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
イギリスと近代世界
授業の概要
 本年の講義テーマは「イギリスと近代世界」を予定している。近代ヨーロッパは、ルネサンスと宗教改革、大航海時代によって幕を開けた。とりわけ、大航海時代が重要なのは何故か。それは、ヨーロッパ人の海外進出によって、ヨーロッパの重心が地中海から大西洋へと大きく移動すると共に、ヨーロッパを中心として、アジア、アフリカ、アメリカ新大陸が結びつき、世界が一体化に向かったからである。ヨーロッパにはアジアやアメリカ等から多くの舶来品が流入し、新しい消費生活が成立するのである。大航海時代、海外進出の先頭に立ったのは、スペインとポルトガルであった。本講義では、ヨーロッパによる「世界の一体化」を手掛かりにして、近代ヨーロッパ史及び近代イギリス史の基礎知識の習得を目指します。
 尚、春学期は、「イギリスと近代世界」の前提となるヨーロッパによる「世界の一体化」の過程を学びます。
授業の到達
目標
 イギリスとは何か、近代のイギリスは、市民革命と産業革命、議会主義と立憲君主制、大英帝国とジェントルマンの国、最後に福祉国家であった。幕末維新から常に近代市民社会の指標として、見習うべき「模範」であった。第二次大戦の敗戦によって、憧れの対象はアメリカに変わり、イギリス像も、王室と貴族社会を温存し伝統を大切にする保守的な国へと逆転した。とはいえ、ビートルズとブリティッシュロックを経て、最近の紅茶、ガーデニング、ケルト音楽の流行に見るように、相も変わらず、イギリスは、私たちの側の一方的な憧れと思い入れの対象であり続けている。私たちは実像のイギリスをどれだけ理解しているであろうか。近年、七つの海を支配した大英帝国の存在抜きに、イギリス人の生活は無かったと考えられている。そこで、本講義では、帝国がイギリスの人々に与えた影響を、政治、経済、文化、生活等多面的に考察する力をつけることができます。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1 はじめに―講義内容の説明
イギリス像/認識の変遷①
・「模範」としてのイギリス
 西洋との出会い~鎖国~再会
 近代化の指標―議会政治、工業化
 文明ー大英英国―海軍国家「イギリスの平和」
[予習]シラバス(春秋)を読み、講義内容を確認しておく事(30)
[復習]日本と西洋との出会いを整理しておく事(60)
2イギリス像/認識の逆転②      
・第二次大戦の敗戦~高度経済成長期
 市民革命/市民社会の模範
 伝統を大切にする保守的な国ー王室と貴族制度
[予習]日本開国を中心に、西洋との再会を調べておく事(60)
[復習]西洋史研究におけるイギリスの虚像と実像を整理しておく事(60)
3「近代世界システム」とは何か
・近代世界史のモデル/仮説
 発展段階論/国民国家の競争史観批判
 一体としての世界
 世界交易の上に成立したヨーロッパ
[予習]単線的発展段階論とはどのような考え方か調べておくこと(60)
[復習]国民国家の競争という考え方の限界について整理しておく事(60)
4大航海時代以前の世界①-東西交易路~イスラーム・ネットワーク
・草原の道、オアシスの道(絹の道)、海の道
・イスラーム大征服運動
 地中海/中世三大文化圏
 紅海ルート・ペルシャ湾ルート
[予習]大航海時代以前の東西交易路について調べておく事(60)
[復習]地中海世界における三大文化圏の鼎立について整理すること(60)
5大航海時代以前の世界②-ヨーロッパ/キリスト教世界の反撃
・聖地十字軍
 騎馬遊牧民族による中東再編
 セルジューク・トルコ、聖地イェルサレム占領
 第4回十字軍と北イタリア都市の地中海商業権争い
ーヴェネチアとジェノヴァ
[予習]十字軍の背景を調べておく事(30)
[復習]地中海における北イタリア都市の活動について調べておこう(60)
6大航海時代以前の世界③-モンゴル・ネットワーク 
・ユーラシア円環ネットワーク
 モンゴル帝国とマルコ・ポーロ
 テムジンとプレスター・ジョン伝説
 西欧十字軍・イスラーム・モンゴル軍
[予習]マルコ・ポーロについて調べておく事(30)
[復習]ユーラシア規模における十字軍の時代を整理しておく事(60)
7大航海時代以前の世界④-西地中海・レコンキスタ~モンゴル・ネットワーク崩壊
・レコンキスタの完成
 モンゴル帝国の崩壊
 ヴェネチア=マムルーク朝エジプトによるスパイス供給独占体制
[予習]イベリア半島におけるレコンキスタについて調べておく事(60)
[復習]モンゴル・ネットワーク崩壊後の、北イタリア都市の対応策について整理しておく事(60)
8ユーラシア・ネットワーク再編/再統合①ー明・鄭和の航海
・モンゴル・ネットワーク崩壊への東の対応策
 文明の先進地帯―アジア・イスラム世界
 遠洋航海技術の先進地域―中国
[予習]鄭和の航海について調べておく事(30)
[復習]朝貢貿易を手掛かりに、中国の交易の考え方を調べておこう(60)
9ユーラシア・ネットワーク再編・再統合②ーオスマン・トルコ
・騎馬遊牧民族による中東再編の完成
 オスマン・サファヴィー朝・ムガル帝国鼎立
 コンスタンチノープル陥落/東ローマ帝国滅亡
による三大文化圏の崩壊
[予習]ティムールの野望と挫折について調べておく事(60)
[復習]オスマン・トルコによる支配地域を確認しておこう(60)
10海外進出の動機①-コロンブスの宗教的動機
・「キリスト教徒の王とスパイス」
 プレスター・ジョン伝説の復活
 オスマン・トルコの脅威と終末思想
 地中海世界の東西で起こった事件
 イスラム世界の挟撃
[予習]オスマン・トルコの脅威について調べておく事(30)
[復習]地中海世界の東西で起こった出来事を整理しておく事(60)
11海外進出の動機②-コロンブスの商業的動機
・「キリスト教徒の王とスパイス」
 ジパングの金とスパイス/モルッカ諸島
 商人、企業家としてのコロンブス
 アジアへの二つの航路
[予習]東方物産について調べておく事(30)
[復習]東方物産を入手していたルートを整理しておく事(60)
12海外進出の動機③-コロンブスの世界像
・コロンブスの目的地―インディアス
 コロンブスはどこに行こうとしたのか?
・西回り航路―大西洋西方直行航路
 プトレマイオスの世界図/マルテルスの世界図

 
[予習]プトレマイオスの地図について調べておこう(30)
[復習]マルテルスの地図について調べ、現在の地図と比較してみよう(60)
13ポルトガルの東方進出①~アフリカ南下航路
・東回り航路
 アヴィス朝海洋進出政策
 エンリケ航海親王、セウタ攻略
 バーソロミュー・ディアス、喜望峰到達
 コロンブスのアメリカ到達
[予習]アジアへの二つの航路について調べておく事(60)
[復習]どうして大航海時代は、西地中海から始まったのか、整理しておく事(60)
14ポルトガルの東方進出②~世界分割まで
・スペイン・ポルトガルの世界分割
 トルデシリャス条約/サラゴサ条約
 インド洋世界の支配ー紅海ルート、ペルシャ湾ルート封じ込め
 ヴァスコ・ダ・ガマ、インド直行航路
 マゼラン船隊世界周航
[予習]大航海時代の立役者たちと、トルデシリャス条約について調べておこう(30)
[復習]スペイン・ポルトガルによる世界分割について整理しておこう(60)
15ポルトガルの東方帝国③ 
・交易の二形態
 基幹交易、アジア内交易
 アジア内交易の意義
 石見銀山―世界有数の銀産地、日本
 スパイス独占の失敗―ポルトガル東方帝国の限界
[予習]ポルトガルのアジア支配の拠点を調べておく事(60)
[復習]ポルトガル人の来航によって、インド洋交易は、どう変わったか考えてみよう(60)
    
16その他
評価方法・基
準(評価割合)
 講義内容の理解度が第一の評価基準。講義内容を徹底的に理解すること。それを提出物で確認する。出席も評価の対象である。提出物90% 状況に応じて、平常点(授業参加度)10%
 尚、受講者は配布したプリント等を参考に、講義内容のつながりを把握して講義に臨むこと。又、不明な歴史的名辞は、可能な限り次回の講義までに解消しておく事が望ましい。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『使用しない』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『イギリスの歴史―帝国=コモンウェルスのあゆみ』川北稔・木畑洋一有斐閣
2.『アジアと欧米世界』川北稔・加藤祐三中央公論新社
3.『図説 大航海時代』増田義郎河出書房新社
参考URL
質疑応答
 質問は講義時間に受け付ける。
備考
 便宜的に春秋に分けてあるが、テーマの性格上、年間を通じて一つのテーマを講義するので、受講希望者は春秋両学期通して受講することが望ましい。従って、秋学期は、春学期の講義内容を前提として行うので、秋学期受講希望者は、受講しておく事。
画像
ファイル
更新日付2019/09/18 11:20:21