開講年度2018
科目名古典文学研究Ⅱ
科目ナンバーN331-131-54
開講種別秋学期
対象学年3年
担当者川名 淳子
単位数2
曜日・時限秋学期 火曜日 2時限
キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
王朝の歌を読む
授業の概要
和歌を読み解きながら平安時代の諸作品を鑑賞する。『伊勢物語』や『源氏物語』などの物語歌は、登場人物の心模様を巧みに表現している。『蜻蛉日記』や『和泉式部日記』など日記文学の中の和歌は作者の人生の軌跡を示している。そして『古今和歌集』などの歌集には整えられた自立的な美しさがある。本授業では、恋歌や別れの歌、人生の述懐歌、季節のうつろいを描いた歌など、人のこころが生み出した珠玉の〈ことば〉を通して、さまざまな作品に触れていく。また「百人一首」でよく知られた歌も読み解きつつ、歌人にまつわる興味深いエピソードや伝説をあわせて紹介する。
授業の到達
目標
作品が生まれ出た経緯や時代背景、王朝人の暮らしや現代にもつながる日本人の美意識、後の時代の人々の作品享受のありようなどを視野に入れながら、以下の事柄を到達目標とする。
・作品を読み解くためのことばや古典の基礎知識を習得できるようになる。
・作品を読み味わうことの楽しみや意義を感じつつ、自らの意見や感想を文章としてまとめることができるようになる。
・作品に描出された人々の心の襞(ひだ)を見つめ、読者としての感性を養う。
・古典文学への視野を深める。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1授業ガイダンス 授業の内容、進行、予習・復習の方法、成績評価について説明。
作品が成立した時代背景について概観する。
[予習]シラバスをよく読んでくる。テキストの和歌、歌人についての解説に目を通しておく。(30分)
[復習]授業時に配布した資料をよく読む。(45分)
2春学期の「古典文学研究Ⅰ」で取り上げた内容を復習を兼ねて概説。[予習]授業時に配布した資料を読んでくる。(45分)
[復習]テキストの和歌、その現代語訳、語句・語法の項を読む。(60分)
3春学期に引き続き『源氏物語』の和歌を、物語の展開と共に鑑賞する。今回は特に光源氏の壮年期に焦点をあて、源氏にかかわる女君たちとの和歌のやりとりをみつめる。[予習]『源氏物語』について入門的な書籍で作品への理解を深めておく。(60分)
[復習]授業で配布した資料をよく読み、物語の内容と和歌を理解する。(60分)
4『源氏物語』における述懐歌を取り上げる。登場人物たちの人生のあり方を踏まえ、歌に託された心情を読み味わう。また本物語における「引歌」表現の効果も考える。[予習]授業時に配布した資料を読んでくる。(45分)
[復習]授業で取り上げた物語内容を踏まえ、和歌の読解を行う。(60分)
5『源氏物語』宇治十帖の和歌を読む。入水未遂に至った「浮舟」の心情を探る。「夢浮橋」の巻名の考察から、藤原定家と『源氏物語』について考える。[予習]授業時に配布した資料を読んでくる。テキストで藤原定家について読んでくる。(60分)
[復習]授業で取り上げた和歌を再度、鑑賞する。(60分)
6『百人一首』にとられた王朝和歌を鑑賞する。紫式部・清少納言・赤染衛門など平安時代女流文学の作者を中心に。[予習]テキストを通して取り上げる歌人の和歌を読んでくる。(45分)
[復習]授業で取り上げた和歌と作者の逸話を復習する。(60分)
7和泉式部の和歌を読む。『和泉式部日記』・『和泉式部集』を通して恋の歌を鑑賞する。あわせて和泉式部の伝説を知る。[予習]テキストの和泉式部のページを読んでくる。(45分)
[復習]授業で取り上げた歌を再度鑑賞する。テキストの小式部内侍の歌もあわせて読む。(60分)
8『百人一首』にとられた王朝和歌を鑑賞する。歌人にまつわる伝説を知る。[予習]テキストの中から恋歌を選んで読んでくる。あわせてその表現方法の項目に目を通しておく。(45分)
[復習]授業で配布した資料とテキストを読み直す。
98回までの授業内容に基づいた課題を提示する。小レポートを作成する。[予習]今までの授業時に配布した資料を読み直す。(60分)
[復習]小レポートを作成する。(90分)
10王朝歌人たちのエピソードを紹介したDVDを鑑賞する。現代の人々に王朝の歌がどのように受け止められているかを考える。[予習]テキストの平安時代の歌人のページを通読する。(60分)
[復習]授業で配布した資料を読み返し、再度和歌を鑑賞する。(60分)
11『蜻蛉日記』を通して、恋愛・結婚と和歌について考える。当時の結婚の習俗を理解する。[予習]テキストを通して『蜻蛉日記』の作者の和歌を読んでおく。(45分)
[復習]授業で取り上げた『蜻蛉日記』の内容を読解する。(60分)
12小レポートを返却した後、これまでの授業内容についての質疑応答を行い、受講生相互で意見を述べ合う。[予習]これまでの授業内容を通しての疑問点や自分の読解や意見をまとめておく。(60分)
[復習]返却された小レポートのコメントをもとに授業内容を復習する。(60分)
13『百人一首』にとられた男性歌人たちの歌を読む。歌にまつわる政治性や儀礼の諸相、述懐や言祝ぎの表明のあり方を探る。また歌合や勅撰和歌集、私家集の編まれ方について考える。[予習]テキストで該当する歌人の歌を読んでおく。(45分)
[復習]授業で取り上げた資料を用いて再度、和歌を読解する。(90分)
14名歌とはどのような和歌か。その普遍性と歌ことばの力について考える。歌枕や歌徳説話についても考える。[予習]秋学期の授業時に配布した資料をよく読んでくる。(45分)
[復習]興味を持った和歌や歌人についてさらに自分でも調べてみる。(90分)
15秋学期中の学習内容のまとめをする。質疑応答を行う。学年末レポート試験の課題を提示。[予習]テキストや授業で配布した資料、授業時に紹介した参考文献などを使い、和歌に関する重要事項を確認する。
[復習]レポート試験の準備をする。(3時間~)
    
16レポート試験
評価方法・基
準(評価割合)
平常点(授業への参加度・発言・学期中の小レポートの提出)を4割、
学期末レポート試験を6割、を基準として評価する。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『原色小倉百人一首』鈴木日出男 他文英堂550円+税978‐4‐578‐24503‐2
参考書
  ・
参考資料
参考URL
質疑応答
毎授業時の質問等については、授業時間及び授業終了時に対応する。
またオフィスアワーに川名研究室(3号館4階)にて、個別に対応する。
備考
配布資料が多くなるので、各自、「古典文学研究Ⅱ」用のファイルを用意し、整理・保存すること。
「古典文学研究」Ⅰ・Ⅱをあわせて受講することが望ましい。
画像
ファイル
更新日付2018/02/16 12:35:53