開講年度2018
科目名産業と科学Ⅱ/総合科目Ⅵ-Ⅱ
科目ナンバーB231-118-02
開講種別秋学期
対象学年2年
担当者城 貞晴
単位数2
曜日・時限秋学期 火曜日 2時限
キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
形を中心とする表面ナノテクノロジー
授業の概要
モノの表面を原子スケールでのぞいてみると、そこにはとても豊かな世界が広がっています。表面の初歩的な話題から産業応用にいたるまで解説していきます。本講義の中心トピックはモノの「かたち」です。
授業の到達
目標
「表面」とはなんでしょう?あまり深く考えたことがないかも知れません。薄っぺらいのだろうか。表面の裏側はなんだろう。など様々な疑問が出てきそうです。今や本当に表面の裏側を真剣に考えなくてならない時代に突入する様相です。しかし、モノの表面を真剣に見てみると、実に豊かな世界が広がっています。表面は、モノの内部と外部のインターフェイスにあたり、そのモノの性質を決める大切な役割を担っているのです。本講義では、モノの「形」を中心にまとめてみることにします。特に、形状を「点」、「線」、「平面」、「立体(空間)」、「立体(時空間)」に分類して、どのようなものが表面にアーキテクトされるか、表面ナノテクノロジーの世界を追っていきます。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
10次元形態(粒状構造):ことのはじまり

「核生成」について話します。モノが誕生するか否かの瀬戸際のはなし、モノの誕生の瞬間について紹介します。
ノートの復習をしてください。(20)
20次元構造(粒状構造):ブロックニュークレイ

モノが誕生するか消えてなくなるかの瀬戸際は1回だけではないというはなしがあります。大変な苦難を乗り越えてモノが誕生していることを知りましょう。
ノートの復習をしてください。(20)
30次元構造(粒状構造):フラーレン

カーボンナノ材料開発の火付け役、フラーレンの発見秘話をはなします。サッカーボールのデザインは人類最大の誇り!いやいや実は自然界に既に存在していたのですよ。しかし自然も人間も同じものをデザインするとは奇遇ですねー。
東海地区の研究者の偉大な業績についてもふれます。よく復習してください。(20)
41次元形態(線状構造):DNAナノマテリアル

DNAを電子デバイスに組み込むと一体どんな良いことがあるのでしょうか?命にかかわる非常に大切な技術が開発されつつあります。
基礎と応用の接点を理解してほしいと思います。(20)
51次元構造(線状構造):高分子マテリアル

「プラスチックに電気を流す」そんな非常識が常識になったおはなし。そしてこの分野の土壌を育てたのは日本人研究者たちだったのです。導電性有機素材の開発研究の歴史を振り返り、先人たちの偉業を知ってほしいと思います。
日本人研究者の功績が大きい分野です。基礎、謙虚さ、工夫、アイデアなどが復習のキーワードです。(20)
61次元構造(線状構造):ホイスカ

時代は繰り返される。研究開発にも流行の波がある。カーボンナノチューブ登場以前、既に針状材料に熱狂し、最先端を競った時代がありました。こんな話を聞くと、次にどんな流行が迫っているのか、だんだん見えてくるかも知れませんよ。
形態コントロールの基礎的な手法がわかってくると思います。勘所をおさえてください。(20)
71次元形態(線状構造):カーボンナノチューブ

カーボンナノチューブ研究の中心地はこの東海地区。どこにも負けない自慢の素材を紹介しましょう。
ホイスカと比較をしながら復習することを勧めます。深い味わいが楽しめます。(20)
8フラクタル次元形態(線と面の中間構造):RLAとDLA

意外なことに、身の回りにフラクタル次元は何気なく存在しています。その概要から実例まで紹介します。
身の回りに類似する事例がないか、よく観察をしてみてください。(20)
92次元形態(平面構造):表面超構造

原子1層、それ以下の膜厚の究極の薄膜の構造を紹介します。この形態コントロールが集積回路の未来を担っています。表面超構造について知れば知るほど、身の回りの電子機器類(PC、携帯、自動車、冷蔵庫、掃除機…)の未来の姿が見えてくることでしょう。ここで扱っている内容は、過去や現在のものではありません。何十年か後の未来の話なのです。
未来の電子デバイスの姿をイメージしてみてください。(20)
102次元形態(平面構造):対応格子構造

表面薄膜は大抵なんらかの基板上に形成させます。すると、同時に誕生するのが界面です。そして幾何学的に規則性をもつ界面構造が出来るのですが… 既にこんな規則性を芸術に仕立てていた人物がいました。エッシャーです。ここではエッシャーの絵画と比較をしながら界面構造の面白さを学びます。
原子の気持になって「ほっ、と安心できる」構造を想像してみましょう。(20)
112次元形態(平面構造):ナノシートの世界

「原子1層の厚みしか持たず、2次元的な広がりを持つペラペラのシート」を作ることは出来るでしょうか?そして、どんな方法で?「革新的方法」で解決をした事例の紹介です。費用は子供のお小遣い程度、だからこそ革新的。ナノシートについて知れば未来の電子機器の姿が見えてくるでしょう。
常識と非常識、固定観念、ゆとり、柔軟さ、基礎などがキーワードです。(20)
123次元形態(空間構造):高品質有機結晶の創成と創薬

タンパク質の立体構造と機能との関連性をはっきりさせることによって、薬の未来が変わります。近未来的な創薬のはなしをします。
女性研究者が開拓した大切な道です。社会貢献の大きさを学び取りましょう。(20)
133次元形態(空間構造):バイオミメティクス表面構造体

「工夫」「アイデア」によって様々な困難を乗り越えて科学技術は進展しています。その源泉を自然界に求めようとする動向のおはなしです。そろそろ本講義の根底に「工夫」「アイデア」そして「原理的に不可能でなければ人間は必ず克服する」という考え方に据えられていることに気付くはずです。皆さんに大切なメッセージを送ります。
発想の可能性は無限大です。どのような新素材を作れそうか、想像してみましょう。そのためには、本物の自然をしっかりと観察することが大切です。バーチャルばかり見ていてはいけません。(20)
144次元形態(時空間構造):表面散逸ナノ構造

空間のみならず時間まで含める時空間構造の構築は可能なのか?ここでいう時空間構造とは、散逸構造のこと。今や生き物のようにふるまう材料の開発が進んでいます。例えば、キズが出来てしまったモノの表面が、修理もしないのに勝手に修復してくれたら如何でしょう?もっと「常識」を捨ててしまいましょう。
未来の材料の姿をイメージしてみてください。(20)
15独創的発想のための道しるべ

本講義で扱った各トピックの裏側にはいつも、先人たちが如何にして困難を乗り越えて来たかを知るためのヒントが隠されていたことを、皆さんはもう気付いているはずです。先人たちの言葉等を示しながら、整理してみます。社会に出て大いに役立ててほしいと思います。
ノートをよく復習してください。(30)
そして若い皆さんが、将来、社会で役に立てること、それが最大の宿題です。
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
参加姿勢30点, レポート・小テスト30点、定期試験40点の合計100点満点で評価する。
但し、真剣さが認められない等の場合(教員の指示に従わない、私語、居眠り、無断教室出入、遅刻、飲食など)には上記配点を超えた大幅減点の対象である。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『なし』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『走査プローブ顕微鏡』重川秀実 他共立出版
2.『見えないものをみる』長谷川修司東京大学出版会
3.『分子間力と表面力』イスラエルアチヴィリ朝倉書店
4.『他 多数、 ただし購入の必要はない。』
参考URL
質疑応答
講義時、オフィスアワーを中心に、随時受け付けます。
備考
普段からノートを整理しておくことを強く勧めます。
画像
ファイル
更新日付2018/02/13 20:33:25