開講年度2018
科目名生命に関する諸問題Ⅱ/総合科目Ⅲ-Ⅱ
科目ナンバーB231-118-02
開講種別秋学期
対象学年2年
担当者菅原 研州
梅田 豊
岡島 秀隆
塚本 早織
単位数2
曜日・時限秋学期 木曜日 3時限
キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
人文・社会科学の視点から「生と死」を考える
授業の概要
「生と死」というテーマは古来からいろいろな立場や視点から探求されてきました。現代では、脳死や尊厳死、再生医療、出生前診断など、生と死をめぐる様々な社会問題が起きています。生命に関する諸問題Ⅱでは、生と死をめぐる問題について、仏教学・宗教哲学・法律学・心理学などの人文・社会科学系分野の多様な観点から考察し、生きるということおよび死ぬということの意味を見出していきます。
授業の到達
目標
人文・社会科学系分野の観点から、人間について多面的により深く考えられるようになること。また、自分なりの「生命観」・「人生観」・「死生観」を築き、積極的かつ充実した生き方を発見すること。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1ガイダンス (菅原・岡島・梅田・塚本)
授業のスケージュールや評価方法、各担当教員が扱うテーマなどについて説明をします。
【予習】シラバスを読み、本授業の概要や到達目標を理解する(30)
【復習】授業のスケジュールや各担当教員のテーマについて確認をする(30)
2仏教における生と死1(菅原)
仏教を開いたゴータマ=ブッダの生命観・死生観を学びます。
特に、縁起思想を基本に、三法印の1つである諸行無常などの思想から、我々の生命や生死についてどのように考えられるのか、学びます。
【予習】仏教について、宗教学Ⅱや宗教学概論など、1年次に学んだ基礎教養の科目を復習しておくこと(30)
【復習】講義中に取ったノートを良くまとめておくこと(30)
3仏教における生と死2(菅原)
大乗仏教思想の1つである「唯識」から生命観・死生観を学びます。特に、唯識で主張された我々の自己存在に基底的に関わる「阿頼耶識」を学び、唯識で説かれる輪廻観を考察し、我々の生と死をどのように捉えているのかを学びます。
【予習】前回の講義で配付された資料を再度読み直しておくこと(30)
【復習】講義中に取ったノートを良くまとめておくこと(30)
4仏教における生と死3(菅原)
大乗仏教思想の1つである浄土思想から生命観・死生観を学びます。
特に、浄土思想は現在の終末医療に関わるビハーラ活動などの実践に活用されますので、現代の問題に繋げて考えます。
【予習】ビハーラ活動について、ネット上の記述に目を通しておくこと(30)
【復習】3回分の講義を復習し、レポートを作成すること(180)
5宗教・哲学における生と死1 (岡島)
「哲学は死をどのように考えてきたか―ソクラテス・ハイデガー・ジャンケレヴィッチなど」 西洋哲学の賢者たちが死をどのように捉えて来たかを考察します。
【予習】西洋哲学者の死生観をネット検索して考えてみる(30)
【復習】ノート、メモを見て授業内容を振り返り、さらに自分の考えを深化させる(30)
6宗教・哲学における生と死2 (岡島)
「絵本の中の死生観―谷川俊太郎・佐野洋子など」 絵本界の巨匠たちが死をどのように伝えたかったかを考察します。 
【予習】自分の知っている絵本の中から死を取り扱っているものを検索して考えてみる(30分)
【復習】ノート、メモを見て授業内容を振り返り、さらに他の作品を調べてみる(30)
7宗教・哲学における生と死3(岡島)
「現代人の死生観-ロボット・サイボーグ・アンドロイドなど」 現代科学技術の進歩と現代人の死生観の変移を考察します。
【予習】現代科学技術論などの書籍やネット情報をもとに、現代人の死生観の特徴を考えてみる(30)
【復習】ノート、メモを見て授業内容を振り返り再考する(30)
8法律学における生と死1(梅田)
人の生命は法律(特に刑法)によって保護すべき最も重要な利益(=法益)です。人の出生(始期)と死亡(終期)については様々な考え方があり、特に臓器移植を合法とする上で脳死を人の死(終期)と認めるかが問題です。それらに関連する諸問題を考えます。
【予習】事前配付資料に目を通し、分からない用語等ある場合は調べておく(30)
【復習】授業内容を配付資料・各自のノート等により整理しておくこと(30)
9法律学における生と死2(梅田)
死期の迫った患者の苦痛を除去するための「安楽死」や生命維持治療をせず人間として尊厳ある死を迎えさせる「尊厳死」は、患者の死期を早めることによって殺人罪あるいは同意殺人罪に問われる可能性があります。実際の裁判事例等により問題点を考えます。
【予習】事前配付資料に目を通し分からない用語等ある場合は調べておく(30)
【復習】授業内容を配付資料・各自のノート等により整理しておくこと(30)
10法律学における生と死3(梅田)
人の生命を奪う犯罪行為である殺人罪が成立するためにはどのような要件が必要になるのでしょうか。そもそも犯罪とは何かという根本問題にも触れながら刑法の基本的な考え方について学びます。
【予習】事前配付資料に目を通し分からない用語等ある場合は調べておく(30)
【復習】授業内容を配付資料・各自のノート等により整理しておくこと(30)
11法律学における生と死4(梅田)
犯罪に対する法的制裁としての刑罰の中で最も重いものがその犯罪行為をした者の生命を奪う死刑です。死刑制度に関わる諸問題について、世界の動向も踏まえながら、様々な角度から考えます。
【予習】事前配付資料に目を通し分からない用語等ある場合は調べておく(30)
【復習】授業内容を配付資料・各自のノート等により整理しておくこと(30)
12心理学における生と死1 (塚本)
「死への恐怖に対処する存在としての人間」
3回の講義を通して扱う存在脅威管理理論の基本概念について説明します。 
【予習】死を想像した時に、自分の中にどのような感情や考えが生じるかについて内省し、書き留める(30)
【復習】資料を読み直し、存在脅威管理理論の基本概念について理解を深める(30) 
13心理学における生と死2(塚本)
「死への恐怖が心の働きに与える影響」
存在脅威管理理論に基づき、人が死に関する情報に接触したり、想起したりした場合に、どのような心の働きによって、どのような行動をとるのかについて説明します。
【予習】死を想像した時に、どのような行動をとってしまうことがあるかについて内省し、書き留める(30)
【復習】資料を読み直し、存在脅威顕現化仮説について理解を深める(30)
14心理学における生と死3(塚本)
「死への恐怖を乗り越えてよりよく生きるために」
死の恐怖から逃れるために人間が身につけた心の働きが、社会にどのような問題をもたらすかについて説明し、それを乗り越えるための方法を提案します。"
【予習】死の恐怖を乗り越えるための心の働きが、社会にもたらす問題について、実際に起きた事件に基づいて考え、書き留める(30)
【復習】3回の授業内容に基づき、レポートを作成する(180)
15授業のまとめ (菅原・岡島・梅田・塚本)
4名の教員が、それぞれ講義したテーマに基づいて、改めて講義します。受講生の皆さんは、第14回目までの講義内容を思い出しつつ、自分自身の「死生観」「生命観」などについてまとめてもらいます。
【予習】4名の教員の授業を復習し、生きることおよび死ぬことについて、多面的に考察する(30)
【復習】第15回のまとめと、講義内容を通して考えた自分なりの生命観や死生観について、再考する(30)
    
評価方法・基
準(評価割合)
各教員が、毎回の講義中または担当講義終了時にレポートを課します。4名の教員それぞれがレポートを評価し、それらの合計または平均点を最終評価とします。
各教員の講義は3~4回と短いため、毎回出席していなければ、内容を理解することが難しくなります。また、4名の教員の講義を全て受講することによってはじめて、多面的に生と死について考える機会となるため、以下の条件に当てはまる場合は、失格とします。
1.各教員の講義を2回以上欠席した場合
2.各教員が課すレポートのうち、1名以上のレポート課題を全く提出しなかった場合
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『特に指定するものはありません。各担当者が随時、提示します。』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『仏教の思想(全12巻)』梅原猛 他角川ソフィア文庫1,000円+税 他978-4-0419-8501-4菅原担当回分
2.『存在脅威管理理論への誘い』脇本竜太郎サイエンス社1,600円+税978-4-7819-1309-4塚本担当回分
3.『その他、各担当者が随時、提示します。』
参考URL
1.ビハーラ活動について浄土真宗本願寺派によるビハーラ活動の解説(菅原担当回分)
質疑応答
質問は、授業中はもちろん、オフィスアワーの時間帯に各担当者の研究室において受け付けます。
備考
春学期開講の「生命に関する諸問題Ⅰ」も合わせて受講することを推奨します。
やむを得ず、欠席しなくてはならない事情がある場合には、その事情が説明できる資料を持って、各教員に申し出てください。
講義中の私語や、許可なくスマートフォン・携帯電話を操作することは厳に禁止します。
教員の学会出張や病気等で講義の順番が変更される場合は、他の教員が授業します。変更の場合、事前に通知します。したがって休講は原則としてありません。
【コーディネーター菅原の研究室 2号館4階2426研究室】
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更新日付2018/02/13 15:39:29