開講年度2018
科目名政治思想史
科目ナンバーW331-222-09
開講種別春学期
対象学年3年
担当者梅川 正美
単位数2
曜日・時限春学期 金曜日 3時限
キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
近代から現代にかけての政治思想のアウトラインを、自由論という角度から見ながら、理解します。
授業の概要
現代の政治理論は、近代以降の政治思想を基礎として作られています。民主主義にしても、選挙制度にしても、議会制度にしても、社会福祉についても、自由主義についても、近代以降の政治思想の蓄積の中でつくりあげられたものです。現代の政治を理解するためには、近代以降の政治思想についての把握が必要になります。この講義では、その概要を、勉強します。
授業の到達
目標
近代以降の政治思想の概略を、初歩的で導入的なレベルで、理解することを、目標とします。政治思想も、本来は、非常に複雑な内容をもっています。しかし、それの内容を、自由論という角度から、わかりやすく解説します。そこで、自由論的な政治思想史について、最初のカンドコロをつかんでいただきたいと思います。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1(イントロ)政治思想史を、近代以降を中心に勉強する。とくに、自由について、どのように論じられたか、この点から、政治思想を見る。人間の自由は、ホッブスやロックなどで、個人が発見されることによって、近代的な基礎を得る。ここを出発点として、その後の、政治思想が発展してくる。その様子を学習する。(予習)プリントを読んで、授業全体の、アルトラインの予習をしてください。(1時間)
2(ホッブス)個人主義の哲学者。社会は、個人でつくられていることを、はじめて、明確に述べた。王様の権力は、神から与えられたものではなく、人造物であることを、解明した。これは、それまでの、王権神授説の基本をこわすものであった。その意味で、革命的な意味をもつ。王権神授説は、日本でも姿を変えて引き継がれている。きわめて現代的な問題をなしている。(復習)前回のイントロのノートの復習(1時間)
(予習)プリントを読んで、ロックの前半の予習をしてください。(1時間)
3(ロック・1)市民社会の哲学者。政治社会論。近代の政治学理論の基本を樹立した。社会の基礎は個人であること。個人同士の契約で、社会はつくられること。社会は、神が作ったものでもなければ、王様が作ったものでもない。人間の創造物であること。だから、人間が破壊することもあること。(復習)前回のホッブスのノートの復習(1時間)
(予習)プリントを読んで、ロックの後半の予習をしてください。(1時間)
4(ロック・2)市民政府の哲学者。政府は市民によってつくられるべきものであって、世襲制などによるものではないこと。政府は市民がつくるものであるなら、市民を裏切った政府は、倒さなければならないこと。その意味で、政府は、市民が、信頼する限りで、維持できること。このような民主主義の基本原理を作りあげた点について、学ぶ。(復習)前回のロック前半のノートの復習(1時間)
(予習)プリントを読んで、ヘーゲルの予習をしてください。(1時間)
5(ヘーゲル)自由論の哲学者。自由の基本問題を解明した。政治権力を持つ者も、それに支配される者も、おなじ人間であること。支配される者の不自由は、じつは権力者の自由によって、作り出されていること。これを明らかにしたうえで、きわめて重要な理論家。(復習)前回のロック後半のノートの復習(1時間)
(予習)プリントを読んで、ベンサム前半の予習をしてください。(1時間)
6(ベンサム・1)功利主義の哲学者。個人の自由から、社会の秩序をどのように形成するか、この点について、膨大な原稿をのこした。各人は、自分の幸せのために生きていること。この点では政治家も同じであることを、名言した。王様も貴族も一般人も、同じ人間であり、利己的な面があること。これを強調した。(復習)前回のヘーゲルのノートの復習(1時間)
(予習)プリントを読んで、ベンサムの後半の予習をしてください。(1時間)
7(ベンサム・2)議会政治の哲学者。議会の議員が、普通の市民と同じひとであるなら、議員もまた利己的な人間にすぎない。このような人たちが掌握する議会は、腐敗の府になってしまう。この腐敗を、どのようにすれば、さけることができるのか。そのためには、憲法制度は、どうあるべきか。この点についての、多くの原稿を書き残している。(復習)前回のベンサム前半のノートの復習(1時間)
(予習)プリントを読んで、マルクスの予習をしてください。(1時間)
8(マルクス)社会主義の哲学者。人間は平等であることを強調する従来の政治学は、そう言うことによって、結局、実際の不平等を、忘れていると強調した。実際の不平等を解決しなければならないことを指摘して、とくに貧しい者の側に立った。貧しいものは、労働者階級であると言われ、労働者階級の解放こそが、人間の自由と平等を作りあげる方法であると述べた。(復習)前回のベンサム後半のノートの復習(1時間)
(予習)プリントを読んで、オークショットの予習をしてください。(1時間)
9(オークショット)保守主義の哲学者。保守主義とは何かについて、はじめて解明。日本で言われているようなバーク的な伝統主義ではない。現状の保守こそが保守主義である。日本では、保守主義とは何かの議論がさかんであるが、オークショットが、理解されていない。(復習)前回のマルクスのノートの復習(1時間)
(予習)プリントを読んで、ノージックの予習をしてください。(1時間)
10(ノージック)新自由主義の哲学者・政権力を相対化するうえでは、これほど、明解な哲学はない。問題は、自由の源泉を、金銭に限定すること。これを克服すれば、現代で、最も根本的な権力批判になるものである。(復習)前回のオークショットのノートの復習(1時間)
(予習)プリントを読んで、ロールズの予習をしてください。(1時間)
11(ロールズ)正義論の哲学者。ホッブスとロック以来の社会契約論を現代によみがえらせた。誰もが、最終的には、平等な人間観を持つと信じる。そこから正義のある公正のある社会が生まれると思っている。(復習)前回のノージックのノートの復習(1時間)
(予習)プリントを読んで、サンデルの予習をしてください。(1時間)
12(サンデル)公共の哲学者。個人主義の限界を見つめている。個人よりも正義。正義を担保する公共の創出を理論的な課題とした。個人の自由は、公共の創出によって、はじめて担保されるものであることを強調。(復習)前回のロールズのノートの復習(1時間)
(予習)プリントを読んで、クリックの予習をしてください。(1時間)
13(クリック)民主主義の哲学者。イギリス政治学における自由の探求。政治とは権力ではなく、妥協であることを主張。自由とは、妥協の中から生まれると考える。正義は、哲学者が考えだすものであるとは考えない。その意味で、アメリカ的な正義論にはくみしない。正義は、あくまでも市民の紛争のなかで、当事者としての市民の間での妥協の中から結果的ににしか出てこないと考える。(復習)前回のサンデルのノートの学習(1時間)
(予習)プリントを読んで、丸山真男の予習をしてください。(1時間)
14(丸山真男)日本の代表的な政治学者。日本における自由は、どのような状態にあるのか、「超国家」「古層」「戦後民主主義」などの、多くの日本的な政治学の創造を行った。啓蒙主義であり、日本の現実から遊離するところはあったが、世界に通用する独創的な政治学者としては、日本でもっとも重要なひとである。(復習)前回のクリックのノートの復習(1時間)
(予習)プリントを読んで、授業全体の復習をしてください。(1時間)
15(まとめ)これまでの授業のまとめをおこなう。授業の全体のなかで、どのようなアウトラインが明らかになったのか、この点について、まとめる。政治思想が、現代の政治を担う私たちにとって、持っている意味について、考える。(復習)前回の丸山真男のノートの復習(1時間)
さらに、授業全体の復習をしてください。(1時間)
    
評価方法・基
準(評価割合)
定期試験60%、レポート30%、発言10%で、評価します。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『使用しません』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『プリントを渡します』
参考URL
質疑応答
積極的な質疑応答、および討論をしていただくように、期待しています。
備考
画像
ファイル
更新日付2018/02/11 01:51:14