開講年度2018
科目名外国法A
科目ナンバーJ331-211-08
開講種別春学期
対象学年3年
担当者鈴木 慎太郎
単位数2
曜日・時限春学期 火曜日 2時限
キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
アメリカ法制度の基本を学ぶ
授業の概要
 この講義では、「外国法」としてアメリカ法を学びます。
 各回の講義では、アメリカの統治構造や立法過程、司法制度の概要とその特徴、法律家のあり方、ロースクールなど法曹養成制度の概要、憲法・民法・刑法の分野でのアメリカ法に特徴的な制度や考え方などを説明します。また、アメリカ法の理解に欠かすことのできない重要な判例についても、いくつか取り上げ、やや詳しく検討します。さらに、法制度の日米比較を通して、アメリカ法の特色を学びます。
 この講義のねらいは、アメリカの法制度を多角的な観点から検討することによって、その全体像を把握することです。
授業の到達
目標
(1) アメリカの統治構造を説明できる。
(2) 主要な法分野についてアメリカ法の概要を説明できる。
(3) アメリカの司法制度と法曹養成過程の基本的な事項を説明できる。
(4) アメリカ法における有名判例の概要を説明できる。
(5) アメリカ法に関する知識をもとに、日本法を批判的に比較・検討できる。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1◇イントロダクション: なぜアメリカ法を学ぶのか?
①アメリカ法を学ぶ意義を理解する。
【予習】アメリカの法や政治に関するニュースを見つけ、その概要を調査する。(30)
【復習】アメリカ法を学ぶ意義を確認する。(30)
2◇アメリカの統治構造
①アメリカの「連邦制」を理解する。
②「大統領制」と呼ばれる政治体制の実質を理解する。
③連邦法の立法過程を理解する。
【予習】アメリカの州と日本の都道府県の違い、アメリカの大統領と日本の内閣総理大臣の違いを考える。(30)
【復習】授業の内容を配布資料を用いて復習したうえで、配布資料にある問いに答える。(60)
3◇アメリカ建国史 -憲法制定過程を中心に
①なぜ法学で「歴史」を知ることが重要なのかを理解する。
②アメリカの憲法制定過程の概要を理解する。
③なぜアメリカが「連邦制」を採用したのかを理解する。
【予習】配布資料にある問の答えを考える。(60)
【復習】配布資料にある問に完答できるように繰り返し復習する。(60)
4◇アメリカ憲法の概要と特徴
①アメリカ合衆国憲法がどのような内容の規定を含むのか、そのおおよその構成を理解する。
②合衆国憲法の基本原則を理解する。
③合衆国憲法の特徴的な条項とその運用・解釈を理解する。
【予習】配布資料にある問の答えを考える。(60)
【復習】配布資料にある問に完答できるように繰り返し復習する。(60)
5◇アメリカ民事法の概要と特徴
①アメリカの民事法制度についての一般的な知識を得る。
②アメリカの民事法制度のうち、特徴的な法制度について知る。
③日米の類似の法制度を比較し、両者の相違を理解する。
【予習】配布資料にある問の答えを考える。(60)
【復習】配布資料にある問に完答できるように繰り返し復習する。(60)
6◇アメリカ刑事法の概要と特徴
①アメリカの刑事法制度についての一般的な知識を得る。
②日米の類似の法制度を比較し、両者の相違を理解する。
③州の処罰規定を違憲無効とした連邦最高裁の判決から、「犯罪とは何か」について考える。
【予習】配布資料にある問の答えを考える。(60)
【復習】配布資料にある問に完答できるように繰り返し復習する。(60)
7◇アメリカ訴訟法の概要と特徴
①アメリカの訴訟手続の流れと陪審制の概要を学ぶ。
②日米の類似の手続を比較し、両者の相違を理解する。
③アメリカ法で大きな問題となる「準拠法」の問題を理解する。
【予習】配布資料にある問の答えを考える。(60)
【復習】配布資料にある問に完答できるように繰り返し復習する。(60)
8◇アメリカの司法制度
①アメリカの連邦裁判所の概要を知る。
②アメリカの州裁判所の概要を知る。
③連邦裁判所と州裁判所の「競合管轄」を理解する。
【予習】配布資料にある問の答えを考える。(60)
【復習】配布資料にある問に完答できるように繰り返し復習する。(60)
9◇アメリカの法律家とその養成過程
①アメリカの「法曹一元制」を理解する
②アメリカの法曹の養成制度と主なキャリアパスを知る。
③法曹の日米比較を通して法律家のあり方について考える。
【予習】配布資料にある問の答えを考える。(60)
【復習】配布資料にある問に完答できるように繰り返し復習する。(60)
10◇アメリカ法の現代的課題
①アメリカの「法化」現象を理解し、日本の状況を考える。
②アメリカ法学の学際化状況、とくに「法と経済学」を理解する。
③著作権延長立法の判決からアメリカ法の動態を知る。
【予習】配布資料にある問の答えを考える。(60)
【復習】配布資料にある問に完答できるように繰り返し復習する(60)
11◇判例の検討(1) 司法審査権の確立: Marbury v. Madison, 5 U.S. (1 Cranch) 137 (1803)
①違憲立法審査権がどのようにして確立されたかを知る。
②事件の背景にある政治状況を理解する。
③判決の内容や背景事情を批判的に検討する。
【予習】配布資料にある問の答えを考える。(60)
【復習】配布資料にある問に完答できるように繰り返し復習する。(60)
12◇判例の検討(2) 人種差別と平等保護条項: Brown v. Board of Education, 347 U.S. 483 (1954)
①アメリカ合衆国における人種差別撤廃の歴史を知る。
②事件の背景にある当時の人種差別の状況を理解する。
③判決の内容や背景事情を批判的に検討する。
【予習】配布資料にある問の答えを考える。(60)
【復習】配布資料にある問に完答できるように繰り返し復習する。(60)
13◇判例の検討(3) 妊娠中絶とプライヴァシーの権利: Roe v. Wade, 410 U.S. 113 (1973)
①ウォーレン・コートからバーガー・コートへの移行の動きを知る。
②最高裁判例に見るアメリカでの女性の権利の変遷を理解する。
③判決の内容や背景事情を批判的に検討する。
【予習】配布資料にある問の答えを考える。(60)
【復習】配布資料にある問に完答できるように繰り返し復習する。(60)
14◇法制度の日米比較: 日本法から見たアメリカ法の特色
①日米の法律の違いを知る。
②日米の法実務の違いを知る。
【予習】日本法と比較したアメリカ法の特徴について具体例を用いた説明を考える。(30)
【復習】日米の法実務の違いをまとめる。(60)
15◇まとめ: アメリカの法・社会・文化
①これまでの講義を振り返り、講義の全体像をつかむ。
②アメリカの社会・文化の中での「法」の特徴をつかむ。
③わが国の「法」の未来をアメリカ法から考えてみる。
【予習】アメリカ社会における法のあり方について、具体例を用いた説明を考える。(30)
【復習】これまでの配布資料にある問に完答できるよう復習する。(90)
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
講義への参加(20%)、定期試験(80%)。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『資料を使用する』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『はじめてのアメリカ法 補訂版 ―アメリカ法っておもしろい!.』樋口範雄有斐閣2376円978-4-641-04812-6出版年:2013年
2.『“法の国アメリカ”を学ぶ ―アメリカ法入門 』福田守利有斐閣3240円4-641-04796-0出版年:2005年
3.『アメリカ法判例百選』樋口範雄他編有斐閣2808円978-4-641-11513-2出版年:2012年
4.『アメリカの社会と法 印象記的スケッチ』田中英夫東京大学出版会2592円978-4-13-005090-6出版年:1972年
参考URL
質疑応答
講義や参考文献に関する質問・コメントは大いに歓迎します。講義の前後やオフィスアワーを利用してください。
オフィスアワーについての詳細は、初回の講義時にお知らせします。
備考
画像
ファイル
更新日付2018/02/13 11:42:06