開講年度2018
科目名古典文学研究Ⅰ
科目ナンバーN331-131-04
開講種別春学期
対象学年3年
担当者川名 淳子
単位数2
曜日・時限春学期 火曜日 2時限
キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
王朝の歌を読む
授業の概要
和歌を読み解きながら平安時代の諸作品を鑑賞する。『伊勢物語』や『源氏物語』などの物語歌は、登場人物の心模様を巧みに表現している。『蜻蛉日記』や『和泉式部日記』など日記文学の中の和歌は作者の人生の軌跡を示している。そして『古今和歌集』などの歌集には整えられた自立的な美しさがある。本授業では、恋歌や別れの歌、人生の述懐歌、季節のうつろいを描いた歌など、人のこころが生み出した珠玉の〈ことば〉を通して、さまざまな作品に触れていく。また「百人一首」でよく知られた歌も読み解きつつ、歌人にまつわる興味深いエピソードや伝説をあわせて紹介する。
授業の到達
目標
作品が生まれ出た経緯や時代背景、王朝人の暮らしや現代にもつながる日本人の美意識、後の時代の人々の作品享受のありようなどを視野に入れながら、以下の事柄を到達目標とする。
・作品を読み解くためのことばや古典の基礎知識を習得できるようになる。
・作品を読み味わうことの楽しみや意義を感じつつ、自らの意見や感想を文章としてまとめることができるようになる。
・作品に描出された人々の心の襞(ひだ)を見つめ、読者としての感性を養う。
・古典文学への視野を深める。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1授業ガイダンス 授業の内容、進行、予習・復習の方法、成績評価について説明。
作品が成立した時代背景について概観する。
[予習]シラバスをよく読んでくる。テキストの和歌、歌人についての解説に目を通しておく。(30分)
[復習]授業時に配布した資料をよく読む。(45分)
2「王朝和歌」とはなにか。和歌の成り立ちと表現のあり方について理解する。[予習]授業時に配布した資料を読んでくる。(45分)
[復習]テキストの和歌の語句・語法の項を読む。(60分)
3春の和歌を中心に四季の歌を読む。『古今和歌集』の部立てについて理解し、その仕組みについて考える。[予習]テキストに載っている春の和歌に目を通してくる。(45分)
[復習]授業で配布した資料をよく読み、季節を示す歌語を理解する。(60分)
4春・夏の和歌を中心に四季の歌を読む。季節を告げる風物と歌ことばの関係を考える。古代人の季節と時間についての意識を探る。[予習]テキストに載っている季節の風物に目を通してくる。(45分)
[復習]授業で取り上げた古典文学を読むための基礎知識を復習する。(60分)
5秋を題材とした和歌を読む。古典文学における「秋」の意味を考える。秋の風情を醸し出す題材について現代の捉え方との比較をする。[予習]テキストに載っている秋の歌に目を通してくる。(45分)
[復習]授業で取り上げた和歌を再度、鑑賞する。(60分)
6物語絵巻に描かれた秋の風情について。登場人物が和歌を詠む場面がどのように絵画化されているかを探る。[予習]事前に配布した資料に目を通しておく。(45分)
[復習]授業で取り上げた物語絵巻を再度、和歌とともに鑑賞する。(60分)
7王朝和歌の代表的歌人「小野小町」の和歌を「花」「恋」「夢」をテーマに読む。六歌仙についても把握する。[予習]テキストの小野小町のページを読んでくる。(45分)
[復習]授業で取り上げた歌を通して、王朝の人々の習俗なども確認する。(60分)
8『百人一首』にとられた王朝和歌を鑑賞する。歌人にまつわる伝説を知る。[予習]テキストの中から恋歌を選んで読んでくる。あわせてその表現方法の項目に目を通しておく。(45分)
[復習]授業で配布した資料とテキストを読み直す。
98回までの授業内容に基づいた課題を提示する。小レポートを作成する。[予習]今までの授業時に配布した資料を読み直す。(60分)
[復習]小レポートを作成する。(90分)
10歌物語の和歌について考える。『伊勢物語』の諸段を読解しながら、和歌と散文の結びつきを把握する。[予習]『伊勢物語』について事前に調べる。(60分)
[復習]授業で取り上げた『伊勢物語』の内容を読解する。(60分)
11前回に続き『伊勢物語』を読解する。「禁忌の恋」「雅び」「都と鄙」などをテーマに、歌ことばや表現のあり方を分析する。小レポートを提出する。[予習]前回の授業時に配布した資料をよく読む。(45分)
[復習]授業で取り上げた『伊勢物語』の内容を読解する。(60分)
12小レポートを返却した後、これまでの授業内容についての質疑応答を行い、受講生相互で意見を述べ合う。[予習]これまでの授業内容を通しての疑問点や自分の読解や意見をまとめておく。(60分)
[復習]返却された小レポートのコメントをもとに授業内容を復習する。(60分)
13『源氏物語』の中の和歌を、物語の展開と共に、鑑賞する。贈答歌・独詠歌・手習の歌など登場人物の心情描写の方法としての和歌のあり方を考える。[予習]『源氏物語』についての入門的な文献に目を通しておく。(45分)
[復習]授業で取り上げた『源氏物語』の内容を読解する。(90分)
14前回に続き『源氏物語』を読解する。本物語には、八百首近い和歌があるが、今回は光源氏の青春期の物語に焦点をあて、そこにある歌がどのように物語を深めているのかを探る。[予習]前回の授業時に配布した資料をよく読んでくる。(45分)
[復習]興味を持った物語の巻の内容や人物について自分でも調べてみる。(90分)
15春学期中の学習内容のまとめをする。質疑応答を行う。学年末レポート試験の課題を提示。[予習]テキストや授業で配布した資料、授業時に紹介した参考文献などを使い、和歌に関する重要事項を確認する。(60分)
[復習]レポート試験の準備をする。(3時間~)
    
16レポート試験
評価方法・基
準(評価割合)
平常点(授業への参加度・発言・学期中の小レポートの提出)を4割、
学期末レポート試験を6割、を基準として評価する。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『原色小倉百人一首』鈴木日出男 他文英堂550円+税978‐4‐578‐24503‐2
参考書
  ・
参考資料
参考URL
質疑応答
毎授業時の質問等については、授業時間及び授業終了時に対応する。
またオフィスアワーに川名研究室(3号館4階)にて、個別に対応する。
備考
配布資料が多くなるので、各自、「古典文学研究Ⅰ」用のファイルを用意し、整理・保存すること。
「古典文学研究」Ⅰ・Ⅱをあわせて受講することが望ましい。
画像
ファイル
更新日付2018/02/13 16:38:21