開講年度2018
科目名古文書学Ⅰ
科目ナンバーH231-162-29
開講種別春学期
対象学年2年
担当者福島 金治
単位数2
曜日・時限春学期 月曜日 4時限
キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
-古代・中世の古文書を読んでみよう-
授業の概要
 「古文書学Ⅰ」は古代・中世の古文書を学ぶ。国家や行政機関で使われた文書、社会のなかで使われた証文、私人同士でやりとりした手紙などである。文書のかたちやすがたを知り、その発給手続きを知ることで国家や領主・大名の支配システムを理解し日本史研究の基礎的方法を学ぶ。講義では、時代順に、紙の使い方、文書の書き方、社会的機能について、活字資料と写真版のコピーを併用して具体的に講義する。
授業の到達
目標
 古代・中世の古文書の様式と読み方を学ぶ。文書は日本風の漢文で書かれている。
 単語の独特な読み方や意味、返り点、読み下し文(漢字・仮名まじりの文体)に慣れるようにする。
 これにより、文書の時代ごとの特徴がつかめるようになる。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1 古文書とはなにか
 古文書は、文字で書かれたもので、個人が自分のために書いた日記などと異なり、差出人が受取人に自分の意思を伝えたものである。その性格について述べる。
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
2 書状と書札礼-手紙を書く人と受け取り人の立場-
 相手に気持ちをつたえる書状(手紙)は、自身と相手の立場・身分によって書き方が異なる。手紙の文末の書き止め文言などから、様式(書札礼)について学ぶ。
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
3 古代国家の文書-官宣旨など-
 律令制下では太政官が国政を統括した。太政官から発給された官宣旨などの文書の種類と性格を知り、古代国家の構造について学ぶ。
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
4 院政期の文書-院宣・院庁下文-
 平安時代後期の白河院から上皇が「治天の君」として政務を統括するようになった。院政の仕組みとその政務内容を示す院宣・院庁下文について学ぶ。
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
5 鎌倉将軍家の文書-将軍家下文と政所下文-
 鎌倉幕府では、将軍頼朝の直接命令は下文として発給された。やがて、頼朝が2位の地位に昇ると政所下文に変わる。その変化から幕府の転換について学ぶ。
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
6 鎌倉幕府の文書-御教書と下知状-
 鎌倉幕府は執権・連署の仕組みを整えていった。幕府の命令や実務的連絡は御教書で、裁判の判決などは下知状で伝えられた。両者の違いについて学ぶ。
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
7 建武政権の文書-綸旨と雑訴決断所牒-
 建武政権は後醍醐天皇の独裁政権であった。天皇の命令を伝える綸旨、訴訟の判決を伝えた雑訴決断所牒を通して、建武政権の性格について学ぶ。
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
8 室町将軍の文書-御内書と奉行人奉書-
 室町将軍の命令を伝える文書に、将軍の御判がある御内書、管領が署判する御教書、奉行人が奉じた奉行人奉書があった。それぞれの性格を学ぶ。
・〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)。
小テストを行う。7回分のプリントを確認しよう。・ 
9 南北朝の合戦と戦功の認定・恩賞-軍忠状と感状-
 武士はどのようにして合戦の戦功を認められたのだろうか。合戦への動員命令の軍勢催促状、合戦の戦功を報告した軍忠状、褒賞した感状について学ぶ。
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
10 室町期の守護の文書-書下と奉行人発給文書-
 守護は補任された国に守護代や小守護代、郡代などをおいて統治した。幕府からの命令の伝達方法、家臣連署の文書を通して守護の支配について学ぶ。
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
11 神仏と契約する文書-起請文と契状-
 文書には神仏に誓う形式のものとして起請文や契状があった。血判をするなど自身の誠意をみせることで、お互いの信義を守ろうとした。その形式・内容を学ぶ。
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
12 土地の売買・譲渡に関する文書-売券と譲状-
 土地は親子間の譲渡や第三者への売買などを通して相伝された。売買証文の売券には徳政から逃れることを記した文言がみえる。売買などでの法慣習について学んでみよ。
 
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
13 戦国大名・国衆の判物-紙の使い方の東西の違い
 戦国大名の支配は地域ごとの違いが顕著である。花判物も、東国では縦長の用紙に追伸を日付の上に書く様式が現れてくる。その出現の意味を考えてみよう。
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
14 東海地域の戦国大名の印判状
 東海地域は今川氏がいち早く印判状を使用したように、革新的な大名が出現した。印判状を戸田氏・水野氏などの国衆の印判状とあわせて考えてみよう。
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
15 織田信長・豊臣秀吉の印判状-朱印と黒印
 信長・秀吉は公印として朱印を使用した。信長の「天下布武」印、秀吉の糸印の使用のありかたについて、刻印や判物と比較しながら考えてみよう。
〔復習〕
下に記した参考図書などを読んだり、授業で使用された古文書の写真をみて、文字を読んでみよう(40分)
    
16定期試験授業時間外学習1時間
評価方法・基
準(評価割合)
筆記試験。なお、期間中に小テストを行い、出席は毎回確認する。筆記試験7割、小テスト3割。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『使用しない。』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『新版 古文書学入門』佐藤進一法政大学出版会
2.『古文書入門ハンドブック』飯倉晴武吉川弘文館
3.『読めなくても大丈夫!中世の古文書入門』小島道裕河出書房新社
参考URL
質疑応答
 授業終了後に質問を受け付けている。
備考
 高校時代に使った国語辞書・古語辞書を必ず持参すること。
画像
ファイル
更新日付2018/02/14 10:59:52