開講年度2018
科目名禅と芸術Ⅰ
科目ナンバーR331-112-37
開講種別春学期
対象学年3年
担当者水野 荘平
単位数2
曜日・時限春学期 火曜日 2時限
キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
中国南宋と鎌倉・室町の芸術文化
授業の概要
 仏教諸派のなかでも禅宗が芸術文化に与えた影響はとりわけ大きく、特に日本の芸術文化においては、禅によって培われた美意識が一つの核になっていると言えます。
 禅によって培われた高度な美意識は、日本で発生したものではなく、もともと禅の隆盛を背景とした中国南宋時代の芸術文化のなかで生まれたものです。この南宋芸術が、禅宗を媒介として日本に伝わり、更に日本の禅宗寺院や武家階層のなかで育まれ、その後の中国では失われてしまったにもかかわらず、日本文化のなかで保存・継承され、やがて日本文化そのものとまで見なされるようになりました。
 この授業では禅によって培われた美意識を主軸とする中国南宋時代の芸術文化と、それを受け継いで発展した日本の鎌倉・室町時代の芸術文化の特質を概説します。
授業の到達
目標
 禅と芸術(特に中国南宋美術)との関係を具体的に理解することと共に、禅によって培われた独自の美意識や感性を実際に身につけ、体得することを目標とします。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1「ガイダンス」

○本授業の概要と基礎的な用語について説明します。
【予習】シラバスを読み本授業の内容を把握しておくこと(30)
【復習】授業の内容を確認すること(30)
2「中国禅宗史の概略」

○中国禅宗史と禅宗の特色について学びます。
・五家七宗
・五山制度
【予習】中国史および中国文化史の概略について把握しておくこと(60)
【復習】中国禅宗史と禅宗の特色について授業の内容を確認すること(60)
3「日本禅宗史の概略」

○日本禅宗史について、禅宗の日本への流伝を中心に学びます。
・十方住持制
・五山文学
【予習】日本史および日本文化史の概略について把握しておくこと(60)
【復習】日本禅宗史について授業の内容を確認すること(60)
4「禅宗建築(1)」

○地域や時代による伽藍配置の変遷と、禅宗七堂伽藍について学びます。
【予習】授業にて配付の資料を熟読し、寺院の伽藍配置について把握しておくこと(60)
【復習】伽藍配置の変遷と禅宗七堂伽藍について授業の内容を確認すること(60)
5「禅宗建築(2)」

○禅宗様(ぜんしゅうよう)の具体的な特徴と代表的な作例、また禅宗様の日本建築史上における位置を学びます。方丈建築についても取り上げます。
【予習】授業にて配付の資料を熟読し、日本建築史について把握しておくこと(60)
【復習】禅宗様および方丈建築について授業の内容を確認すること(60)
6「坐禅実習」

○坐禅堂にて坐禅を実習するとともに、禅宗様の特徴を実際に確認します。
【予習】授業にて配付の資料を熟読し、参禅の作法について確認しておくこと(30)
【復習】禅宗様の特徴や僧堂の造作について授業の内容を確認すること(30)
7「中国の禅宗絵画」 

○中国絵画(水墨画)について禅宗の影響が濃厚な宋時代を中心に学びます。
・梁楷、牧谿、玉澗
【予習】授業にて配付の資料を熟読し、宋代の歴史や地理について把握しておくこと(60)
【復習】中国絵画(水墨画)について授業の内容を確認すること(60)
8「日本の禅宗絵画」

○日本絵画のうち特に室町期までの水墨画について、雪舟など相国寺派を中心として学びます。
【予習】室町文化の概略について把握しておくこと(60)
【復習】室町期までの水墨画について授業の内容を確認すること(60)
【課題】実際の作例を見学すること(180)
9「禅宗庭園」

○日本庭園のなかでも悟りの境地の現れとして作庭された禅宗庭園について、禅宗絵画(宋代山水画)の影響を踏まえて学びます。
・枯山水庭園
【予習】中国の禅宗絵画について7回目の授業を参考に確認しておくこと(60)
【復習】禅宗庭園について授業の内容を確認すること(60)
10「墨跡 (禅僧の書)」

○宋代の書風の影響を受けた禅僧による書「墨跡」について学びます。
・黄庭堅、蘇軾
・張即之
【予習】日中の書道史の概略について確認しておくこと(60)
【復習】墨跡について授業の内容を確認すること(60)
11「中国陶磁(1)」

○中国陶磁について、禅院仏具として使用された「青磁」を中心として学びます。
・龍泉窯
【予習】陶磁器の概要について確認しておくこと(60)
【復習】中国陶磁、特に青磁について授業の内容を確認すること(60)
【課題】実際の作例を見学すること(180)
12「中国陶磁(2)」

○中国陶磁について、禅院での喫茶碗として用いられた「天目」を中心として学びます。
【予習】授業にて配付の資料を熟読し、天目の概要について確認しておくこと(60)
【復習】中国陶磁、特に天目について授業の内容を確認すること(60)
13「裂(きれ)と袈裟(1)」

○染織の種類と歴史について学びます。
【予習】授業にて配付の資料を熟読し、織の「三原組織」の構造について理解しておくこと(60)
【復習】染織の種類と歴史について授業の内容を確認すること(60)
14「裂(きれ)と袈裟(2)」

○中国・日本の染織のうち、禅宗と関連の深い作例とその特色について、名物裂や袈裟として遺された名品を通して学びます。
【予習】金襴・緞子・錦などの織の構造について理解しておくこと(60)
【復習】名物裂や袈裟について授業の内容を確認すること(120)
15授業のまとめ

○授業の全体を振り返ります
【予習】これまでの学習内容を確認しておくこと(60)
【復習】授業内容をもとに、これまでの学習内容を確認すること(60)
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
* 定期試験(60%)と、授業での小テストや小レポート(40%)に授業態度を含めて総合評価します。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『授業のなかで、適宜資料を配付』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『世界美術大全集 東洋編 第5巻 五代・北宋・遼・西夏』責任編集/小川裕充小学館4096010553
2.『世界美術大全集 東洋編 第6巻 南宋・金』責任編集/嶋田英誠小学館4096010561
3.『叢書 禅と日本文化』古田紹欽・柳田聖山・鎌田茂雄 監修ぺりかん社全十巻
参考URL
1.愛知学院大学 禅研究所実習で使用する坐禅堂を管理する研究所
質疑応答
毎回、授業の終わりに質疑応答の時間をもうけます。
また、メールでも質問を受け付けます。( sohei@dpc.agu.ac.jp
備考
《受講時の注意点》
* 講義中の入退室、私語、携帯電話やスマートフォンの操作など講義に関係のない行為は禁止します。
* 禅学実習室での実習することもありますが、その際は靴下を履いてください。
* 通常の講義のなかでも、文化財や美術品を取り扱うことがあるので、指輪やネックレスなどのアクセサリーを身に付けている場合は外せるようにしてください。

※坐禅実習での会場の都合上、講義のスケジュールが変動する場合があります。
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更新日付2018/02/05 11:08:09