開講年度2018
科目名生命に関する諸問題Ⅰ/総合科目Ⅲ-Ⅰ
科目ナンバーB231-118-01
開講種別春学期
対象学年2年
担当者小塚 哲司
単位数2
曜日・時限春学期 木曜日 2時限
キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
少子高齢化、AI(人工知能)、自国優先の米大統領、英国の「欧州連合」離脱ーと、激動、苦悩する現代。その動きを見つめ、着実に生きていきたい。
授業の概要
 「米国第一」と極端な保護主義を掲げるトランプ米大統領が就任して一年半。雇用創出へ日本企業も恫喝、批判するメディアは排除、テロ対策としてイスラム圏7か国からの入国禁止という、寛容さとは真逆な外交を断行してきた。もう一つの大国、ロシアは軍事力でクリミアを併合、シリア内戦ではアサド政権を擁護し、民主化を求めた反政府勢力に容赦ない空爆を行い、主導権を握った。この激しい内戦から逃れようと、大量の難民が欧州に流入し、パリなどで無差別テロが続発、英国は欧州連合(EU)からの離脱を選択した。日本では超高齢化による社会保障費の増大、過激なゲームが凶悪化させる少年犯罪、繰り返される自然災害。世界73億人、生存競争の末に国家間、地域で争い合いも生まれ、地球上で、我々の目の前で喜怒哀楽が繰り返される。しかし同じ今を生きる同時代に、積極的に向き合い、グローバル時代の自立した人間を目指したい。
授業の到達
目標
冷戦後、唯一の大国となった米国には、世界を自由と人道主義に重きを置き、寛容さを広めていく責務がある。なのにトランプ氏は、米大統領選で勝利するため、ロシア勢力の力を借り、対抗の民主党陣営にサイバー攻撃をした「ロシアゲート」疑惑が問題となっている。選挙という民主主義のシステムを損なうものだ。またスマートフォンにみられるIT(情報技術)の進歩、さらに人工知能(AI)は、人がコンピューターに取って代わる新たな産業革命を予想させる。国内問題では、少年法が時代に合わなくなり、何度も改正されてきた。表現の自由、プライバシーのほか、巨大地震、原子力発電のメカニズム、イラク戦争での米国記者の愛国主義など、まずニュースの基礎知識とその背景を知る必要がある。激動する内外のニュースの意味をジャーナリストからの解説を吸収し、時代と命の大切さを自ら語れるようにしたい。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1トランプ米大統領は自由貿易への環太平洋連携協定(TPP)や、地球温暖化防止「パリ協定」から離脱、日本や世界を混乱させている。不法移民、テロリストの流入阻止として、イスラム圏7か国からの入国禁止という異常な大統領令を出し、司法からも「憲法違反」との批判を高めた。イスラエルに寄り添い、エルサレムに米国大使館を移転させると表明、中東和平を後退させている。世界を主導する米大統領にあるまじき問題点を考える。復習に重点を置く。レジメや板書を読み直し、大統領選当時の新聞を読む。30分。
2英国の欧州連合(EU)からの離脱の狙いと、英国が抜けた後のEUの戦略。EUの単一通貨「ユーロ」への動きを取材したパリ特派員時代の体験を踏まえて解説する。欧州大陸と英国との位置関係を、地図で確認。EU加盟国、ユーロ加盟国を、自分の目で確認する。30分。
3シリア内戦とイスラム過激組織「イスラム国」(IS)。アラブの民主化の延長で起きた内戦と、誤ったイラク戦争の憎しみがISを生んだ実相を考える。カイロ特派員として、3年間のイスラム世界での生活、「湾岸戦争」の戦場取材を踏まえて解説する。中東のイラク、シリア、トルコの位置関係を地図で確認する。「アラブの春」とは何だったのかを調べる。30分。
4フランス大統領選で、欧州統合を推進したいとの若きマクロンが登場した。ドイツではメルケル首相が難民問題で批判を浴び、求心力を下げてはいるが、英国が欧州連合から離脱後の、ヨーロッパをけん引役していくのは、仏独しかいない。パリ特派員としての体験談を交えて分かりやすく解説したい。仏独の大統領選、総選挙についての新聞記事を探して、事前に調べる。30分。
5フランス、ベルギーなどでの無差別テロ。実行犯は欧州国籍を持つアフリカからの移民2、3世という「ホームグロウンテロ」に、各国が頭を悩ます。平和だった欧州に、何が起きているのか。フランス国民の中にイスラム教徒が8%もいる。欧州各国でのイスラム教徒の割合を調べる。キリスト教徒とイスラム教徒との共存問題を調べる。30分。
6「ニュースとは何か」。福沢諭吉が幕末に欧米を視察し、書いた「西洋事情」の一節を取り上げ、今も変わらぬ新聞、メディアの役割を考える。図書館で「西洋事情」を読む。30分。
7表現、報道の自由。第二次大戦末に米国のジャーナリストが提唱した「知る権利」。プライバシー侵害については、日本で最初に訴えられた三島由紀夫の小説「宴のあと」を取り上げて考える。図書館で「宴のあと」を1週間かけて全部読む。
8東日本大震災から7年。あの巨大地震、津波を振り返り、巨大地震、津波、原子力発電のメカニズムも学ぶ。原子力発電のサイクルシステムと問題点を参考書で確認する。30分。
9少年法①。その精神と報道対応。神戸の少年殺傷事件から振り返り、容疑者が出版した本の問題点にも触れる。当時の新聞を探し出し、事件の内容を十分、認識する。30分。
10少年法②。犯罪の低年齢化、凶悪化から強まる厳罰化。同。
11少年法③。死刑の「永山基準」とは。少年法では「18歳以下には死刑を課さない」とある。18歳1カ月で母子を殺害した事件について検証する。同。
12戦争とジャーナリズム①。戦場取材した「湾岸戦争」を通じて、戦争に駆り立てるものと戦場の実態を語りたい。シリア内戦を取材中、死亡したフリーのカメラマン、山本美香さんの思い出。「湾岸戦争」とはどういう戦争だったのかを、図書館で調べる。30分。
13戦争とジャーナリズム②。イラク戦争では米軍と同行する「エンベッド取材」が行われた。米国記者にみられた愛国報道と、客観報道を取り戻していく過程を検証。レジメや板書を読み直す。30分。
14ウクライナ危機。ロシアが軍事力を使ってウクライナのクリミア半島を自国に編入したことで、G8から締め出され、制裁を受けている。ソ連邦の崩壊で失った国力を、再び取り戻した大国ロシアの野望を考える。ウクライナとロシアの位置関係を確認する。共産主義、社会主義とは何かを、自分で調べる。30分。
15変わるメディア事情。新聞を読む人が少なくなり、若い人はスマートフォンであるが、ニュースを正確に、詳しく知るためには新聞が重要であることには変わりはない。世界の動きを知るには、新聞が欠かせないのはなぜか。メディアリテラシ―とは何かを考える。30分。
    
評価方法・基
準(評価割合)
毎回、最後の10分に授業の感想、疑問を書いてもらう。その日のテーマ、課題を、どの程度理解したかが分かる。また学んだことを短時間でまとめ、表現する訓練になる。こうした平常点を大事にし、評価する。試験はしない。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『教材は、毎回、レジメ、コラムのコピーなどを配布。テキストはありません。』
参考書
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参考資料
参考URL
質疑応答
基本的には、質問があれば、授業後に尋ねてください。特別に相談や尋ねたい問題がある場合は、教務を通じ、パソコンのアドレスを聞いてください。
備考
画像
ファイル
更新日付2018/02/19 15:14:05