開講年度2017
科目名国際金融論B
科目ナンバー
開講種別秋学期
対象学年3年
担当者岡田 義昭
単位数2
曜日・時限秋学期 金曜日 2時限
キャンパス名城公園キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
グローバルマーケットで繰り広げられるビジネス事象の背景を学ぶ
授業の概要
本講義Bでは、国際金融の理論的側面を扱った国際金融論Aに引き続いて、主として国際金融の制度的ないしは政策的側面を歴史的経緯に沿って取り上げます。経済・ビジネスのグローバル化の進展とともに、国際通貨金融資本市場で日々起こる出来事は、近年広範囲となり、またさまざまな要因が関連して複雑さも増しました。したがって、その背後にある制度的・政策的要因を歴史の流れに沿って捉えることは、常に正確な判断と的確な意思決定とが要求されるビジネス・パーソンにとって不可欠の専門知識と言えます。
授業の到達
目標
本講義内容を学ぶことにより、国際金融の制度的・政策的側面を歴史的視点に立って把握することができます。したがって、錯綜した日常ビジネスに対してその背景を理解し、客観的な視点から戦略を打ち立て、目の前の課題を解決することに役立ちます。それによって、実際のビジネスで活躍できる場がいっそう広がるでしょう。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1はじめに」:国際金融と国際通貨制度・政策
本講義内容全般や、グローバル化の進む現代において国際通貨金融制度・政策を学ぶ意義等を説明します。
予習:シラバスを読み、予め半年間の授業内容を理解しておきます。
復習:半年間の授業内容全体について確認します。
2「国際通貨制度(1)」:金本位制
19 世紀後半から第一次世界大戦と両大戦間の一時期において世界的に成立していた通貨制度である金本位制を学びます。そして、これまで人類が生み出した通貨制度のうち、最も評価が高い制度であることを確認します。
予習:配布プリントにより、金本位制がこれまでの通貨制度のうち、傑作中の傑作として最も高い評価を得ている制度であることを確認しておきます。
復習:参考文献により授業の基本知識をさらに深めます。
3「国際通貨制度(2)」:ブレトン・ウッズ体制の発足
戦後の国際通貨取引に対する新たな枠組みを与えることとなったブレトン・ウッズ体制の詳細を学びます。
予習:配布プリントにより、ブレトン・ウッズ会議から始まる戦後の新しい国際通貨制度を理解しておきます。
復習:英国と米国の主張がどのように対立し、どのような妥協点が導かれたかの理解を深めます。
4「国際通貨制度(3)」:ブレトン・ウッズ体制の変容と終焉
国際通貨取引の発展に伴い、ブレトン・ウッズ体制の四半世紀にわたる変容と最終的に崩壊に至る過程を、歴史的相のもとで解き明かします。
予習:配布プリントにより、ブレトン・ウッズ体制の構造的脆弱性を理解しておきます。
復習:なぜブレトン・ウッズ体制が終焉せざるを得なくなったか、その原因と歴史的経緯を参考文献で復習します。
5「国際通貨制度(4)」:変動相場制への移行とポスト・ブレトン・ウッズ体制
ポスト・ブレトン・ウッズ体制としての変動相場制(i.e. 制度なき制度)に係る主要各国の受け止めかたとその対応策を学習します。
予習:配布プリントにより、ポスト・ブレトン・ウッズ体制時における主要各国の国際的合意内容とその効果を確認しておきます。
復習:参考文献により授業の基本知識をさらに深めます。
6「国際通貨制度(5)」:変動相場制の特性と現実
変動相場制に対し当初期待された特性と、その後様々な検証結果により明らかとなった現実との乖離を学びます。
予習:配布プリントにより、変動相場制の長所・短所を整理しておきます。また、IMF統計により、主要通貨の対米ドル・レートを確認しておきます。
復習:参考文献により授業の基本知識をさらに深めます。
7「国際通貨制度の現状」:二極分化論と問題点
世界各国がそれぞれ自国の事情に応じて採択しているハード・ペッグ、ソフト・ペッグ、完全フロートなどについて、その特色を学習します。
予習:配布プリントにより、各国の外国為替相場制度に関する現状とその特色を理解しておきます。
復習:変動相場制や固定相場制に対してどのような政策対応を図ったらよいか、自らの考えをまとめておきます。
8「欧米の国際通貨制度(1)」:欧州経済通貨統合の経緯・現状・展望
欧州が、資源の共同管理を意図した欧州石炭鉄鋼共同体(1957)に始まって今日に至るまでの半世紀にわたる経済通貨統合に係る経緯をたどります。さらに英国が2016年に欧州連合を離脱したことの意味にも触れます。
予習:配布プリントにより、欧州における経済通貨統合の変遷を概観しておきます。
復習:参考文献により、ウェルナー報告、ドロール委員会報告、マーストリヒト条約などを調べ、授業の知識をさらに深めます。
9「欧米の国際通貨制度(2)」:ユーロ危機
ギリシアの財政問題に端を発したユーロ圏の国際通貨危機に対し、その構造的原因(i.e. 通貨は一つ、財政はバラバラ)や対応策を探ります。
予習:配布プリントにより、2009年以降のユーロ危機全般を整理し、正確に理解しておきます。
復習:参考文献により授業の基本知識をさらに深めます。
10「欧米の国際通貨制度(3)」:米国の金融通貨制度と金融危機ならびにその克服策
世界の通貨金融市場をリードする米国の金融通貨制度を学ぶとともに、世界的金融危機をもたらした2008年のリーマン・ショックの発生プロセスならびにその克服策を学習します。
予習:配布プリントにより、米国の金融通貨制度ならびに2008年の米国発世界金融危機を理解しておきます。
復習:参考文献により授業の基本知識をさらに深めます。
11「東アジアの国際通貨制度(1)」:東アジアの通貨危機と新たな国際通貨制度
1997~98年の東アジア通貨危機に関し、その原因を検証します。その検証結果を踏まえ、為替レートが安定的で且つ通貨危機にも頑強な東アジアの国際通貨制度を展望します。
予習:配布プリントにより、1980~90年代の東アジア経済状況を把握しておきます。
復習:参考文献により、東アジアの国際通貨制度構築に向けた具体的なロードマップを考えます。
1212 「東アジアの国際通貨制度 (2)」:人民元の台頭と中国為替相場制度
中国は近年の高成長を背景に急速に政治、外交、軍事などでその存在感を高めました。これら中国のプレゼンスの高まりに伴い、人民元の“国際化”に関する動きを概観致します。
予習:配布プリントにより、中国における改革・開放政策以降(1979年~)の人民元為替相場制度を理解しておきます。
復習:参考文献により授業の基本知識をさらに深めます。
1313 「東アジアの国際通貨制度 (3)」:中国経済の現状と展望
中国経済は2010年を境として重要な転機を迎え、それまでの二桁成長から新常態(new normal)へ移行しました。そこで、その原因や中国政府の採るべき途を学習します。
予習:予め「創新型」企業育成策、「一帯一路」構想、AIIB設立、IMF・SRD構成通貨参加等の動きを予習しておきます。
復習:中国の今後の政治経済、外交、軍事各面での影響を総合的に理解します。
14「グローバル時代の国際通貨金融アーキテクチャー」:国際通貨金融制度の展望
米ドル、ユーロ、日本円を基に、健全で協調的で且つ秩序ある開かれた米欧アジアの三極体制を将来にわたって樹立するために、今後いかなる方策を採るべきかを展望します。
予習:これまで得た知識を総動員して今後の国際通貨金融制度の望ましい姿を予め考えます。
復習:予習内容や授業で学んだ知識を基に、現在の変動相場制の改革すべき課題を明らかにしてみます。
15「まとめ」
秋学期全体の内容を確認します。
予習:配布資料やノートを見直し、疑問点の質問内容を予め整理しておきます。
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
定期試験(100点満点)
その他(議論内容、参加度、課題提出等)
評価の配分:定期試験60%、その他40%
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『毎回プリントを配布』
2.『テキストは使用せず』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『講義冒頭に参考文献リスト(30冊)を配布』
参考URL
質疑応答
研究室番号:2906(名城公園キャンパス・アガルスタワー9階)
オフィスアワー:金曜・1時限
備考
本講義を受講するにあたっては、前提科目として国際金融論A(春学期開講)を必ず履修しておくことを希望します。その他、国際経済論、金融・証券論、ビジネス・ファイナンス論も併せて履修することが望まれます。
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ファイル
更新日付2017/01/30 14:40:19