開講年度2017
科目名表象文化論/映像文化論
科目ナンバー
開講種別秋学期
対象学年2年
担当者岩田 和男
単位数2
曜日・時限秋学期 木曜日 4時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
今や古典と目されるに至った20世紀映画表現を新たな「教養」と捉えて、そこから世界・文化・社会を考察する授業
授業の概要
 BFI(British Film Institute)の映画監督が選ぶ史上最高の映画トップ10を材料に、名前ぐらいしか知らない「世界の名画」を紹介し、どこが面白いのか、何を読み取るべきなのかを具体的に解説しつつ、それらの作品が描くフィクションの世界から見えてくる実世界、実文化、実社会のありようを考察する。「史上最高」と世界の映画監督たちが見なす作品には、リアルタイムで起きていることの本質、未来に向けての真実が、多かれ少なかれ見通せているものであることを実感してもらう。そのうえで、過去一度もトップ10に顔を出すことのなかった『東京物語』が、何故突然2012年に登場することになったのか、その理由及び社会的意義について、作品内容に沿って考察する。
 また、日本映画をアジア空間の中で捉えた名著を自学習することで、グローバルな世界での日本を実感しながらアニメ映画を見る契機としていただきたい。
授業の到達
目標
 まず第一に、名画を丹念に見ることで、その良さを自らの言葉で語れるようになること。それも一つの教養である。そのためには、15講終了時点で、①表象文化なる用語が登場することになった文化的経緯を大まかに説明できる、②写真・映画が生まれた歴史的経緯を説明できる、③20世紀映画表現が、作家の個性はあるものの、いかに現実を反映しているかを、教養として、人に説明できるようになっている必要があるだろう。そのうえでさらに、『東京物語』をめぐる話題から、④グローバリゼーションの真の歴史的意味に気づき、説明できるようになれば極上である。自学習の到達目標としては、⑤日本映画と東アジアの関係について説明できる、を挙げておく。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1①表象文化とは、②これからの授業の進め方、③写真・映画の始まり①・②の復習(150分)、予習として『雨に唄えば』を見る(90分)
2①映画の進化、②テレビとの違い①・②の復習(150分)、予習として『自転車泥棒』を見る(90分)
3ビットリオ・デ・シーカ『自転車泥棒』(Bycycle Thieves, 1949)と、映画の進化としてのイタリアン・ネオレアリズモ、ヌーヴェルヴァーグ復習(140分)、予習として『鏡』を見る(108分)
4アンドレイ・タルコフスキー『鏡』(Mirror, 1974)と、リアリズム/記憶/ファンタジー小テストのための予習(120分)、予習として『めまい』を見る(128分)
5アルフレッド・ヒッチコック『めまい』(Vertigo, 1958)と、映画の進化としてのサスペンス/運動イメージ/時間イメージ小テストのための予習(70分)、予習として『ゴッドファーザー』を見る(175分)
6フランシス・フォード・コッポラ『ゴッドファーザー』(The Godfather, 1972)と戦後ヨーロッパ映画のアメリカ映画への波及復習(120分)、小テストのための予習(120分)
7小テスト(四方田犬彦『日本映画史110年』より出題)、第6講までのまとめ出題できなかった箇所をプリント復習(240分)
8解答の説明、出題できなかった箇所の要点説明復習(40分)、予習として『地獄の黙示録』を見る(202分)
9フランシス・フォード・コッポラ『地獄の黙示録』(Apocalypse Now, 1979)とベトナム戦争の文明論的側面ベトナム戦争の復習(130分)、予習として『タクシードライバー』を見る(114分)
10マーティン・スコセッシ『タクシードライバー』(Taxi Driver, 1976)ともう一つのベトナム戦争として見たアメリカ社会、そして反知性主義復習(110分)、予習として『8 1/2』を見る(138分)
11フェデリコ・フェリーニ『8 1/2』(1963)とメタ映画、ファンタジーを第4講と比較復習(130分)、予習として『市民ケーン』を見る(119分)
12オーソン・ウェルズ『市民ケーン』(Citizen Kane, 1941)、「古い映画なのに何故3位か」から見えてくる隠れた戦後的テーマとは復習(80分)、予習として『2001年宇宙の旅』を見る(161分)
13スタンリー・キューブリック『2001年宇宙の旅』(2001: A Space Odyssey, 1968)とファンタジー/リアリズムを考える、ザ・リアルの展開復習(110分)、予習として『東京物語』を見る(136分)
14小津安二郎『東京物語』(Tokyo Story, 1953)が何故1位だったのか、そこから何を読むべきか文化的グローバリゼーションについて予習(240分)
15文化的グローバリゼーションについて考える――「東西」と「東アジア」再考全体をふりかえって総合的に復習(240分)
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
定期試験(40%)、小テスト(30%)、コメント・ペーパー(30%)
比率の変更あり
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『日本映画史110年』四方田犬彦集英社新書842円40872075282014年
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『適宜資料を配布する』
参考URL
質疑応答
オフィスアワーは水曜日昼休み。メールによる予約が必要です。
kiwata@psis.agu.ac.jp
備考
座席指定にする可能性があります。
画像
ファイル
更新日付2017/02/20 15:57:25