開講年度2017
科目名国家と宗教
科目ナンバー
開講種別秋学期
対象学年3年
担当者堅田 研一
単位数2
曜日・時限秋学期 木曜日 2時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
信教の自由の意味、国家と宗教との関係を考える
授業の概要
信教の自由とは、近代法の最も重要な基本原理の一つである。その性質をどう捉えるかは、人権の理解にとって決定的な意味をもつ。この講義では、まず、近代国家の形成において、寛容の原理と近代自然権思想の果たした思想史的意味をたどりながら、その原理的な意味を理解する。次に、憲法における信教の自由と政教分離に関する学説を検討する。そして最後に、これらの理解を基に、日本における代表的な宗教判例を検討する。
授業の到達
目標
信教の自由の意義を歴史的、原理的、憲法学的に考察することによって、人権の意味を理解してもらうことをねらいとする。受講生が、法を原理的に考えることのできる力を身につけ、法の原理、とりわけ人権の観点から法的問題に対処できるようになることが、この講義の目標である。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1ガイダンス:授業方針の説明
〇講義の全体の流れと方針について理解する
【予習】シラバスを読み、本授業内容をあらかじめ把握する(20)
【復習】レジュメを読み直し、本日の授業の全体を確認する(30)
2なぜ信教の自由が重要なのか:ジョン・ロックの寛容論
〇信教の自由をはじめて基礎づけたジョン・ロックの寛容論について理解する
【予習】前回指定されたレジュメの該当部分を読み、考えてくる(30)
【復習】レジュメとノートを読み直し、本日の授業内容について理解する(60)
3中世における国家と宗教:トマス・アクィナスの思想
〇中世における国家と宗教との関係をアクィナスの思想を基に説明し、近代のそれと比較する
【予習】前回指定されたレジュメの該当部分を読み、考えてくる(30)
【復習】レジュメとノートを読み直し、本日の授業内容について理解する(60)
4ロックの寛容論:社会契約、自然権
〇ロックの寛容論を、近代自然権思想に位置づけながら理解を深める
【予習】前回指定されたレジュメの該当部分を読み、考えてくる(30)
【復習】レジュメとノートを読み直し、本日の授業内容について理解する(60)
5信教の自由に関する原理的考察:他者加害の禁止と人格的生存の保障
〇信教の自由に関するロックの基礎づけを基に、信教の自由の保障について考える
【予習】前回指定されたレジュメの該当部分を読み、考えてくる(30)
【復習】レジュメとノートを読み直し、本日の授業内容について理解する(60)
6人権の性質について:人格的利益説、一般的自由説
〇憲法における人権の捉え方について考える
【予習】前回指定されたレジュメの該当部分を読み、考えてくる(30)
【復習】レジュメとノートを読み直し、本日の授業内容について理解する(60)
7信教の自由と政教分離との関係:制度的保障、目的効果基準、津地鎮祭訴訟
〇信教の自由と政教分離との関係について、学説と判例の立場を検討する
【予習】前回指定されたレジュメの該当部分を読み、考えてくる(30)
【復習】レジュメとノートを読み直し、本日の授業内容について理解する(60)
8アメリカ判例における信教の自由と政教分離:アメリカにおける目的効果基準とは
〇アメリカ判例における信教の自由と政教分離の考え方について概説し、とりわけ目的効果基準の意義を理解する
【予習】前回指定されたレジュメの該当部分を読み、考えてくる(30)
【復習】レジュメとノートを読み直し、本日の授業内容について理解する(60)
9問題練習
〇問題練習及びその解説の形式で、これまでの授業内容の復習を行う
【予習】これまで配布したレジュメ、及びノートを読み直し、これまでの授業内容について理解する(60)
【復習】本日の授業の解説を基に、これまでの自分の理解度を確認する(60)
10憲法の観点から信教の自由の制約について考える(1):公共の福祉、加持祈祷事件
〇人権制約の原理としての公共の福祉について理解し、加持祈祷事件について検討する
【予習】前回指定されたレジュメの該当部分を読み、考えてくる(30)
【復習】レジュメとノートを読み直し、本日の授業内容について理解する(60)
11憲法の観点から信教の自由の制約について考える(2):人格的生存の保障、剣道授業拒否事件
〇人格的生存の保障の意義を理解し、剣道授業拒否事件について検討する
【予習】前回指定されたレジュメの該当部分を読み、考えてくる(30)
【復習】レジュメとノートを読み直し、本日の授業内容について理解する(60)
12政教分離規定について(1):津地鎮祭訴訟、目的効果基準
〇日本の判例における政教分離規定の理解を津地鎮祭訴訟判決を基に検討する
【予習】前回指定されたレジュメの該当部分を読み、考えてくる(30)
【復習】レジュメとノートを読み直し、本日の授業内容について理解する(60)
13政教分離規定について(2):判例の検討
〇前回に引き続き、政教分離に関する判例を、目的効果基準の用い方を中心に検討する
【予習】前回指定されたレジュメの該当部分を読み、考えてくる(30)
【復習】レジュメとノートを読み直し、本日の授業内容について理解する(60)
14政教分離の合憲性についての判断基準:愛媛玉串料訴訟
〇目的効果基準を用いながら違憲判決の出た愛媛玉串料訴訟最高裁判決を基に、目的効果基準の用い方について考える
【予習】前回指定されたレジュメの該当部分を読み、考えてくる(30)
【復習】レジュメとノートを読み直し、本日の授業内容について理解する(60)
15授業のまとめ
〇授業全体を振り返る
【予習】これまで配布したレジュメ、及びノートを読み直し、これまでの授業内容について復習する(60)
【復習】本日の授業を基に、自分の理解を確認する(60)
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
成績評価は、定期試験(100%)で行う。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『テキストは使用しない。授業時間中に配布するレジュメを用いて講義する。』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『憲法(第六版)』芦部信喜(高橋和之補訂)岩波書店3348978-4-00-022799-5
参考URL
質疑応答
原則として、オフィス・アワーにおいて対応する。月曜日4限、私の研究室(6516)にて行う。これ以外の時間でも、対応可能な場合にはいつでも質問に対応する。
備考
授業中の私語は厳禁する。授業中の携帯電話操作は禁止する。
卒業・進級・就職・部活動その他を理由とした単位認定の特別扱いは、一切行わない。
受講生の理解度やその他の事情を考慮して授業予定を変更する場合があるので注意してください。
画像
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更新日付2017/02/14 16:18:58