開講年度2017
科目名有機化学
科目ナンバー
開講種別秋学期
対象学年1年
担当者織田 博則
単位数2
曜日・時限秋学期 木曜日 1時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
有機化合物の構造と性質
授業の概要
私たちの健康を食生活の面から支える専門家としての管理栄養士・栄養士、更には食品衛生監視員・管理者としての有機化学を基礎から応用までを理解してもらう。
授業の到達
目標
栄養士・管理栄養士、食品衛生監視員などを目指す学生に、栄養学、食品学、生化学の基礎としての有機化学を健康と栄養の面から理解させる。生活を科学的に分析し、より快適な生活を送るにはどのような改善が必要かを認識させる。その一つの方法として、有機化学を用い理解させ、身の回りに溢れる有機化合物に対する理解を促す。有機化合物の化学構造と名称をIUPAC命名法で命名できるようになると共に慣用名についても理解を深める。有機化合物の化学構造と性質の関連性については、官能基の種類、異性体、立体化学、分子の形状等の面から追及し、食品関連物質の性質(含有害性・安全性)の発現と利用状況を把握し、食品・栄養成分の食生活への有効活用が出来るようになってもらう。「物作り」に関する有機合成反応については、実際の有機合成実験スライドを用いて紹介し、有機合成法の危険性と楽しさを学んでもらう。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1オリエンテーション(食品衛生管理者用有機化学と勉強方法について説明)。「食品含有成分の種類と化学構造」のスライド紹介と説明で食品と有機化合物の関係を理解。「有機化学」提出レポートの形式と諸注意の説明と解説。有機化学授業ノートの整理の仕方を再確認し、授業用ノートの準備をしておくこと。レポート作成方法をよく理解し、パソコンによるレポート作成が出来るようになっておくこと(時間は個人により異なる)。
2高校・教養教育の有機化学関連項目の復習・確認(確認項目;共有結合、価電子、オクテット説、結合電子、非結合電子対、ケクレ構造式・縮合構造式、炭素・窒素・酸素・イオウ・水素の結合手・・)。授業で復習・確認した共有結合、価電子、オクテット説、結合電子、非結合電子対、ケクレ構造式・縮合構造式、炭素・窒素・酸素・イオウ・水素の結合手について理解し、ノートに整理しておくこと(約1時間)。
3有機化学の歴史と食品・栄養学への有効利用の解説。有機化合物の化学構造(σ結合・π結合、sp混成軌道、p軌道、共有結合と結合角、球棒模型・空間充填模型)の説明。授業で説明した有機化合物のσ結合・π結合、sp混成軌道、p軌道、共有結合と結合角、球棒模型・空間充填模型について再認識しノートにまとめておくこと(約1時間)。
4有機化学と高分子化学の関係解説。有機化合物の分類(炭素骨格による分類、官能基による分類)の説明。有機化合物の炭素骨格分類が出来るように練習問題を解答しておくこと(約30分)。官能基による分類については官能基と名称、化合物の一般式、化合物の一般的性質、化合物例についてレポート提出。
5飽和脂肪族系炭化水素(アルカン族;パラフィン系炭化水素)の命名と性質の説明と命名演習。アルカン族の主鎖、側鎖名をよく理解し、暗記し、使いこなせるようになっておくこと。同時にアルカン族の命名(5)と(6)の練習問題を解答しレポート提出 (約1時間)。
6不飽和脂肪族系炭化水素(アルケン族、アルキン族、アルケニン族)の命名と性質の説明と命名演習。アルケン族、アルキン族、アルケニン族、ジエンとポリエンをよく理解し、記憶し、使いこなせるようになっておくこと。同時に不飽和脂肪族系炭化水素の命名(7)と(8)の練習問題を解答しレポート提出。
7異性体と立体化学・・構造異性体(骨格異性体、位置異性体、官能基異性体)、立体異性体(鏡像異性体・光学異性体、幾何異性体、配座異性体)の説明と演習。授業内容を再確認し、項目ごとにノートに整理し、まとめておくこと。各種異性体と立体化学の練習問題を解答しレポート提出。友達間でよく討論し理解を深めること(時間は個人により異なる)。
8脂環式炭化水素、複素環式化合物の命名と性質の解説と演習。授業内容を再確認し、項目ごとにノートに整理し、まとめておくこと。脂環式化合物の命名(4)の練習問題を各自解答しレポート提出。
9アルコールとフェノール(構造と分類、命名演習、代表的化合物の紹介と物性、IUPAC命名法と慣用名)の理解。アルコールの酸化・脱水反応と金属との反応、ジエチルエーテルの合成装置の紹介と解説。授業で提示した化合物の性質を授業内容の整理や「有機化合物辞典」等の検索により、全ての化合物の性質を2~3行にまとめ、ノートに整理しておくこと。アルコール類の命名を行いレポート提出
10フェノールとポリフェノールの化学と物性、食品含有ポリフェノールの紹介と物性。エーテルとエポキシドの命名と物性解説。チオール、スルフィド類の化学構造と命名・物性の解説。アルコールの酸化・脱水反応と金属との反応、ジエチルエーテルの合成装置の紹介と解説。授業で提示した化合物の性質を授業内容の整理や「有機化合物辞典」等の検索により、全ての化合物の性質を2~3行にまとめ、ノートに整理しておくこと。アルコールの酸化反応式を完結しレポート提出。
11アルデヒドとケトン類の命名と物性、食品含有成分との関連、IUPAC命名法と慣用名、化学構造と物性との関連性の説明。ケトン類化合物の命名と解説、命名演習。授業で提示した化合物の性質を授業内容の整理や「有機化合物辞典」等の検索により、全ての化合物の性質を2~3行にまとめ、ノートに整理しておくこと。ケトン類の命名を行いレポート提出。
12カルボン酸及びカルボン酸誘導体の命名と一般的性質、食品含有成分との関連、カルボン酸の酸性度、酸電離定数、飽和脂肪酸の化学構造と含有食品(物性と水溶解度など)説明。不飽和脂肪酸、飽和・不飽和ジカルボン酸、立体化学(E、Z)、食品添加物・保存料の化学構造と物性解説。授業内容を再確認し、項目ごとにノートにきちんと整理しまとめる。授業で提示した化合物の性質を授業内容の整理や「有機化合物辞典」等の検索により、全ての化合物の性質を2~3行にまとめノートに整理。
13高級脂肪酸の物性と化学構造及び命名、オレイン酸、リノール酸、α-、γ-リノレン酸、アラキドン酸、必須脂肪酸、ω-脂肪酸の命名と物性解説。高級脂肪酸の立体化学と物性発現機構、高級脂肪酸含有食品と生体への影響、EPA・DHA含有食品の解説と効果。低級・高級脂肪酸エステル、油脂について解説。油脂のケン化:石鹸作り (環境教育)のスライド紹介とエステルの加水分解実験紹介。授業内容を再確認し、項目ごとにノートに整理しまとめる。授業で提示した化合物の性質を授業内容の整理や「有機化合物辞典」等の検索により、全ての化合物の性質を2~3行にまとめノートに整理する。
14基本となる生体物質:脂質(油脂、テルペン)、ステロイド、アルカロイドの化学構造と物性解説。ニ価カルボン酸、オキシカルボン酸(含有食品、物性、不斉炭素・光学活性物質)の説明。アミン類の命名と物性、アミン誘導体の生活圏への利用状況と問題点(ヘヤカラ―による毛髪の脱色と染色機構、ヘヤカラ―の毒性と安全対策)の解説。授業内容をよく理解し、ノートに整理する。授業で提示した化合物の性質を授業内容の整理や「有機化合物辞典」等の検索により、全ての化合物の性質を2~3行にまとめ、ノートに整理する。
15芳香族炭化水素の命名と物性、多環式芳香族炭化水素の命名と物性紹介。核異性体、有機ハロゲン化物の毒性。含窒素複素環化合物の化学構造と用途、サリチル酸誘導体の物性と用途、有機合成のベンゼン核置換の法則、アゾ色素の合成と食品着色剤としての利用例紹介。食の有機化学(食品の香り・辛味成分の化学構造と含有食品)について解説。授業内容をよく理解し、ノートに整理する。授業で提示した化合物の性質を授業内容の整理や「有機化合物辞典」等の検索により、全ての化合物の性質を2~3行にまとめノートに整理する(時間は個人により異なる)。
    
評価方法・基
準(評価割合)
授業の2/3以上出席した者に対し、以下の評価を行う。
期末テスト(70 %)、レポート(20 %)、演習理解度(10 %)を総合的に判定する。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『有機化学(食品衛生監視員・管理者の有機化学)』織田博則著愛知学院大学¥0最初の授業で配布
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『現代有機化学上・下巻』ボルハルト、ショアー著化学同人上・下巻各¥6500
2.『ベーシック有機化学』山口良平他著化学同人¥2800
3.『基本有機化学』井村滋著東京化学同人¥2600
参考URL
質疑応答
1)食品成分の中で興味がある成分が出てきた場合は、授業の中でも、いつでも勇気をもって質問すること。
2)有機化合物の構造を自分でデザインし、どのような性質が発現するか議論したい場合は質問すること。
備考
自分ノートを完成すること。
毎時間の講義内容を整理し、完成されたノートの製作を心掛けて欲しい。
画像
ファイル
更新日付2017/01/17 12:28:56