開講年度2017
科目名海外の考古学Ⅱ
科目ナンバー
開講種別秋学期
対象学年3年
担当者原 久仁子
単位数2
曜日・時限秋学期 月曜日 3時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
朝鮮半島三国時代の文化と国際交流
授業の概要
朝鮮半島に興った三つの古代国家である高句麗・百済・新羅は、それぞれに特色ある文化を築き上げ、国際的な交流を通じて発展させていました。
この講義では、積石塚や中国系の壁画古墳を築いた高句麗、中国の南朝や日本列島との交流をもった百済、黄金製品を多用しながら騎馬民族や遠くローマ・ギリシャの影響もみられる新羅といった国々の文化を紹介しながら、独自の文化がそれぞれに形成された背景について学びます。
授業の到達
目標
朝鮮半島における三国時代は、強大な三つの国家が覇権を争っていました。政治的・軍事的な緊張関係が高まっていた一方で、そうした状況が互いのアイデンティティを刺激し、それぞれに個性ある独自の文化を花開かせたユニークな時代でもあります。それらを相互に比較することを通じて、考古学や歴史学を学ぶうえで役立つ、幅広い視野をもつことができるようにします。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1イントロダクション
朝鮮半島における、三国時代について概説します。
映像資料を用い、日本列島の古墳に影響を与えた朝鮮半島三国時代の文化の一端を紹介します。
予習: シラバスを通じ、講義のテーマと概要、到達目標を確認しておく(15)
復習: 朝鮮半島の三国時代について、整理する(30)
2「高句麗の古墳と文化」①
高句麗の人々が築いた、固有の古墳である積石塚について学びます。
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 高句麗独自の積石塚について、整理する(30)
3「高句麗の古墳と文化」②
中国からの渡来人たちが高句麗で築き始めた、内部を壁画で埋め尽くした華やかな古墳について学びます。
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 前回学んだ高句麗独自の積石塚と、今回の壁画古墳を対比させ、相違点を整理する(30)
4「高句麗の古墳と文化」③
高句麗の壁画のモチーフとして選ばれたものは何だったのか、それを探りながら高句麗の文化について学びます。
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 高句麗の壁画古墳のモチーフと、高句麗の文化について整理する(30)
5「高句麗の古墳と文化」④
高句麗の壁画古墳の到達点であり、美術的にも価値の高い四神図から、高句麗の人々の精神世界を学びます。
小テスト①
予習: 前回までの内容を確認しておく(30)
復習: 高句麗の文化と、精神世界について整理する(30)
6「百済の古墳と文化」①
百済前期の都である、現在のソウルに築かれた古墳から、百済の文化のルーツを探ります。
予習: 1回目の内容を確認しておく(15)
復習: 百済前期の古墳の特徴について、整理する(30)
7「百済の古墳と文化」②
高句麗の攻撃に屈して遷都を余儀なくされながらも、中国南朝や日本列島との交流を通じて大きく発展した、百済中期の文化について学びます。
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 百済による、中国南朝や日本列島との交流について、整理する(30)
8「百済の古墳と文化」③
海上交通を重視した百済が営んだ祭祀遺跡や、日本列島のものに似た形態の前方後円形の古墳を通じ、百済が進めた文化的な国際交流について学びます。
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 百済が進めた国際交流について、整理する(30)
9「百済の古墳と文化」④
装身具としての役割をもつ、装飾性の高い武器類など洗練された貴族的な文化と、百済後期の整然とした王陵域を学びます。
小テスト②
予習: 前回までの内容を確認しておく(30)
復習: 百済の文化と、国際交流について整理する(30)
10「新羅の古墳と文化」①
高句麗のものとも、百済のものとも異なる、新羅の特徴的な古墳である積石木槨墳を紹介します。
予習: 1回目の内容を確認しておく(15)
復習: 新羅の古墳の特徴について、整理する(30)
11「新羅の古墳と文化」②
新羅の積石木槨墳の起源を、ユーラシア大陸内陸部の古墳に求めることができるのか、検証します。
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 新羅のものと、ユーラシア大陸内陸部の古墳の共通点と、両者を関連づける際の問題点を整理する(30)
12「新羅の古墳と文化」③
新羅の支配者層が多用した金銀などの貴金属製装身具を紹介し、その文化的な背景を探ります。また、そのデザインや製作技法のルーツが、ギリシャ・ローマにあることを学びます。
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 東アジアでは例外的に貴金属を好んだ、新羅の特徴ある文化と、貴金属製装身具にみられる技法について、整理する(30)
13「新羅の古墳と文化」④
貴金属と並んで新羅の支配者層が好んだ、ガラス製のビーズなどを使用する装身具を紹介します。特に、新羅の古墳から多く出土するトンボ玉が、はるか地中海地方に起源をもつことを学びます。
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 前回に引き続き、壮大なスケールで文化的な交流を図っていた、新羅の特徴ある文化について整理する(30)
14「新羅の古墳と文化」⑤
装身具だけでなく、各種の容器も貴金属やガラス製のものを古墳に納めていた、新羅の文化の特徴について学びます。ガラス製容器については、ローマン・グラスの製作技法が用いられていることも紹介します。
小テスト③
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 新羅の独自な文化交流ルートと、朝鮮半島を新羅が統一できた背景について整理する(30)
15「三国に囲まれた独立地域・伽耶諸国の古墳と文化」
朝鮮半島の三国時代には、高句麗・百済・三国に属さず林立した小国家群が存在しました。三国のように歴史書が記されなかった伽耶諸国を知るには、考古学が大いにその力を発揮します。発掘調査の成果から、伽耶諸国の文化を紹介します。
予習: 高句麗・百済・新羅の文化をまとめておく(30)
復習: 伽耶諸国が三国に属さず存続できた理由と、文化の特徴について整理する(30)
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
定期試験の成績を基本(80%)とし、小テストの成績(10%)と受講態度(10%)を合わせて評価する。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『プリントを配布する』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『朝鮮半島の考古学』早乙女正博同成社2,808円4-88621-196-8世界の考古学⑩
参考URL
質疑応答
講義後に質問、あるいは出席カードに記入。
備考
講義の際にはPower pointを使用し、豊富な画像をもって一層の理解を図ります。
関心をもった事項については自主的に調べるなどをし、知識の幅を広げ理解を深めていってください。
画像
ファイル
更新日付2017/05/17 14:08:57