開講年度2017
科目名文化人類学Ⅱ
科目ナンバー
開講種別秋学期
対象学年1年
担当者原 久仁子
単位数2
曜日・時限秋学期 月曜日 4時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
異文化理解とエスニック・アイデンティティ
授業の概要
現代を生きる私たちにとって、「越境」という行為は実に身近で、たやすいことです。人々は地域社会を構成する集団から容易に跳び出して自由に世界を往来し、また、メディアの発達によって居ながらにして世界中の多種多様な「モノ」と情報を得ることが可能です。こうして生じるボーダーレス化、グローバル化した現状においては、従来のような枠組みをもって文化を研究するのは困難になっています。
そこで、この講義では、異質な文化どうしの接触が引き起こしつつある、さまざまな興味深い現象に対する、コンテンポラリーな文化人類学的解釈法を学びます。
授業の到達
目標
越境(ボーダーレス化)によって形成された現代の多文化社会・国家のなかで、私たちがどのように共生していくべきか論じられるようにします。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1「文化人類学のフィールドワーク」
現地へ出向き、そこに暮らす人々の間で生活しながら調査する、文化人類学独特の手法について紹介します。
予習: シラバスを通じ、講義のテーマと概要、到達目標を確認しておく(15)
復習: フィールドワークについて整理する(30)
2「フィールドワークと民族誌」
フィールドワークと、その成果をまとめた報告書である民族誌に求められることについて学びます。また、それを通じた社会貢献についても紹介します。
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: フィールドワークと民族誌について整理する(30)
3「文化相対主義」
文化人類学の基本姿勢である、「文化相対主義」という考え方を学びます。
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 文化相対主義について整理する(30)
4「民族誌とテレビ番組」
文化人類学の研究者のための映像による民族誌であり、一般の娯楽としてのテレビ番組でもあるという、矛盾した役割を両立できるのか、その葛藤を通じて表出する「フィールドの文化の歴史的な記録」という民族誌の価値を学びます。 
小テスト①
予習: 2回目の内容を確認しておく(15)
復習: フィールドにフィードバックする意義について、整理する(30)
5「越境とエスニシティ、文化変容」
従来の民族の概念に替わって用いられるようになった、「エスニシティ」という語と、近代以降に盛んとなった「文化変容」について学びます。
予習: 春学期履修者は、民族について確認しておく(15)
秋学期からの履修者については、講義のなかで簡潔に説明する
復習: 越境とエスニシティ、文化変容について、整理する(30)
6「アイヌの文化」①
日本という国家におけるエスニック・マイノリティであるアイヌの文化を学びます。狩猟・採集の生活が形成した、自然と共生する暮らしと思想を紹介します。
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: アイヌの文化について整理する(30)
7「アイヌの文化」②
文字をもたないアイヌの文化の歴史を知るためには、考古学による成果が役立ちます。発掘調査から推定されるアイヌの文化のルーツのほか、文化人類学と考古学の関係についても学びます。
小テスト②
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 文化人類学と考古学の関係を、整理する(30)
8「応用人類学」
国際協力などの増加によって、これまでの基礎研究ではなく、開発する側とされる側の双方を調査・研究対象とする文化人類学も生まれていることを学びます。特に、観光については「伝統」が新たに創り出されていることも、紹介します。
予習: 5回目の内容のうち、文化変容について確認しておく(15)
復習: 応用人類学について整理する(30)
9「医療人類学」
国際協力を通じ、近代西洋医学と文化人類学の交流のなかから形成された、医療人類学について学びます。
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 医療人類学について整理する(30)
10「宗教と文化現象」
宗教など精神世界に関わる文化要素は、変化しにくいという特徴があります。その布教活動を行うなかで引き起こる「シンクレティズム」など、宗教に関わりをもつ興味深い文化現象を紹介します。
予習: 5回目の内容のうち、文化変容について確認しておく(15)
復習: 宗教に関わる文化現象について、整理する(30)
11「ジェンダー」
ジェンダーは、文化的・社会的な性別であることから、文化人類学との関わりが強いものです。トランスジェンダーに対して特別な社会的役割が与えられている民族事例や、ジェンダー儀礼も紹介し、その多様性を学びます。
予習: ふだん何気なく耳にする「男らしさ」「女らしさ」という語が、どういった意味で使われているか確認しておく(15)
復習: ジェンダーについて整理する(30)
12「親族と家族のかたち」
一定の手続きを経て親族の役割を果たす「擬制親族」や、多様な家族のあり方について学びます。
小テスト③
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 親族と家族について、整理する(30)
13「芸術」
生命の維持には不必要なようで、しかし私たちがが生活するには欠かせない、芸術について学びます。
予習: 音楽や美術鑑賞、小説など、自分が日頃から親しんでいる芸術活動には何があるか確認しておく(15)
復習: 芸術について整理する(30)
14「芸術の影響力」
文化が反映された芸術が越境することで、それが異文化に及ぼす影響力について、学びます。
予習: 前回の内容を確認しておく(15)
復習: 芸術の文化的影響力について、整理する(30)
15「グローバリズムとローカリズム」
グローバリズムが進行する一方で引き起こるローカリズムなど、接触が活発化するなかでの文化現象を学びます。
予習: 5回目と10回目の内容を、確認しておく(30)
復習: グローバル化が引き起こす文化現象について、整理する(30)
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
定期試験の成績を基本(80%)とし、小テストの成績(10%)と受講態度(10%)を合わせて評価する。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『必要に応じ、プリントを配布する』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『文化人類学キーワード[改訂版]』山下晋司・船曳建夫有斐閣1,836円978-4-641-05886-6有斐閣双書
参考URL
質疑応答
講義後に質問、あるいは出席カードに記入。
備考
この講義では映像資料を豊富に用いて、具体的な民族事例を視覚的に紹介することで、理解をより一層深められるようにします。
また、さまざまなメディアを活用しながら文化摩擦の事例を調べ、講義で学ぶことを生かしながら異文化共生の方法を考えるよう、努力してください。
画像
ファイル
更新日付2017/02/13 10:58:37