開講年度2017
科目名禅と人間Ⅱ/総合科目Ⅱ-Ⅱ
科目ナンバー
開講種別秋学期
対象学年2年
担当者水野 荘平
単位数2
曜日・時限秋学期 金曜日 4時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
禅からみる日本の美と「おもてなし」の文化
授業の概要
 日本独自の美意識、またそれに伴う「もてなし」の文化について、禅との関連を中心に紹介します。
 ここでいう日本の美や「もてなし」の文化とは、室町時代に武家政権下で発展した室町文化を指します。
 室町文化は禅を精神的根幹とする武家によって、禅の多大な影響の下に成立しました。 日本の美や「もてなし」の文化を知るうえで、室町文化とその根底にある「禅」についての理解は、欠かすことができません。
 室町文化と禅、更にはその両者の母体・媒介となった中国南宋時代の芸術文化の特質を概説します。
授業の到達
目標
 禅と室町文化との関係を具体的に理解し、禅によって培われた日本独自の美意識や感性を体得することを目標とします。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1「ガイダンス」

○本授業の概要と基礎的な用語について説明します。
【予習】シラバスを読み本授業の内容を把握しておくこと(30)
【復習】授業の内容を確認すること(30)
2「禅宗の歴史(1)」

○仏教の概要と禅宗の概要・特色について学びます。
【予習】宗教学の授業での学習内容をもとに、仏教の概要について確認しておくこと(30)
【復習】仏教の概要と禅宗の概要・特色について授業内容を確認すること(40)
3「禅宗の歴史(2)」

○中国・日本の禅宗史について、禅宗の日本への流伝を中心に学びます。
【予習】宗教学の授業での学習内容をもとに、禅宗の歴史について確認しておくこと(30)
【復習】中国・日本の禅宗史について授業内容を確認すること(40)
4「武家と禅宗」

○禅宗文化の担い手となった鎌倉~室町期の武家が、どのように禅宗に帰依していったのかを学びます。
【予習】鎌倉~室町時代の歴史と文化史について確認しておくこと(30)
【復習】武家階層の禅宗への帰依について授業内容を確認すること(40)
5「室町文化における禅の影響(1)」:建築

○禅宗建築・禅宗様(ぜんしゅうよう)の概要と、その影響のもとに成立した室町建築(方丈造、書院造)について学びます。
【予習】配付の資料を熟読し、日本建築史について把握しておくこと(30)
【復習】禅宗様および方丈造・書院造について授業の内容を確認すること(40)
6「室町文化における禅の影響(2)」:武家礼法

○禅宗での規則・所作を典拠として確立した武家の礼法(室町礼法)について、禅宗からの影響を中心に学びます。
【予習】配付の資料を熟読し、武家礼法の概要について把握しておくこと(30)
【復習】武家礼法への禅宗の影響について授業の内容を確認すること(40)
7「坐禅実習」

○坐禅堂にて坐禅を実習するとともに、禅宗様の特徴や僧堂での所作を実際に確認します。
【予習】配付の資料を熟読し、参禅の作法について確認しておくこと(30)
【復習】禅宗様の特徴や僧堂での所作について授業の内容を確認すること(30)
8「室町文化における禅の影響(3)」:絵画

○禅宗の影響が濃厚な中国宋代山水画と、それをもとに展開した室町時代の絵画について学びます。
【予習】配付の資料を熟読し、中国宋時代の歴史や地理について把握しておくこと(30)
【復習】宋時代および室町時代の水墨画について授業の内容を確認すること(40)
9「室町文化における禅の影響(4)」:庭園

○悟りの境地の現れとして方丈前に作庭された禅宗庭園について、禅宗絵画(宋代山水画)の影響を踏まえて学びます。
【予習】方丈について5回目の授業を参考にして、禅宗絵画につい8回目の授業を参考にして確認しておくこと(40)
【復習】禅宗庭園について授業の内容を確認すること(30)
10「室町文化における禅の影響(5)」:墨蹟

○宋代の書風の影響を受けた中国・日本の禅僧による書「墨蹟」について学びます。
【予習】日中の書道史の概略について確認しておくこと(30)
【復習】墨跡について授業の内容を確認すること(40)
11「室町文化における禅の影響(6)」:陶磁

○南宋において禅宗寺院の仏具として製作され、日本においては書院造・書院飾の成立の要因となった青磁や天目などの中国陶磁について学びます。
【予習】配付の資料を熟読し、陶磁器の概要について確認しておくこと(30)
【復習】南宋時代の陶磁器について授業の内容を確認すること(40)
12「室町文化における禅の影響(7)」:能楽

○将軍御成りの「もてなし」として上演された武家の式楽「能」について、仏教や禅宗からの影響を中心に学びます。
【予習】配付の資料を熟読し、能楽の概要について確認しておくこと(30)
【復習】能楽への禅宗の影響について授業の内容を確認すること(40)
13「室町文化における禅の影響(8)」:茶道(書院茶)

○将軍御成りの「もてなし」として用いられた茶の湯について、禅宗の茶礼から派生した書院での式正の書院茶を中心に学びます。
【予習】書院について5回目の授業を参考に確認し、また配付資料を熟読して初期の茶の湯の概要について確認しておくこと(30)
【復習】書院茶について授業の内容を確認すること(40)
14「室町文化における禅の影響(9)」:茶道(わび茶)

○在家者による禅修行としての茶の湯である「わび茶(草庵茶)」について、千利休によって大成される過程を中心に学びます。
【予習】配付の資料を熟読し、わび茶の概要について確認しておくこと(30)
【復習】わび茶のなかの禅宗的要素について授業の内容を確認すること(40)
15授業のまとめ

○授業の全体を振り返ります。
【予習】これまでの学習内容を確認しておくこと(40)
【復習】授業内容をもとに、これまでの学習内容を確認すること(40)
【課題】実際の作例の見学をおこない小レポートを作成すること(60)
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
* 定期試験(60%)、授業での小テスト・小レポート(40%)に、授業態度を含めて総合評価します。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.授業のなかで適宜資料を配付
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『世界美術大全集 東洋編 第5巻 五代・北宋・遼・西夏』責任編集/小川裕充小学館4096010553
2.『世界美術大全集 東洋編 第6巻 南宋・金』責任編集/嶋田英誠小学館4096010561
3.『よくわかる茶道の歴史』谷端昭夫淡交社978-4473033994
4.『叢書 禅と日本文化』古田紹欽・柳田聖山・鎌田茂雄 監修ぺりかん社全十巻
参考URL
1.愛知学院大学 禅研究所実習で使用する坐禅堂を管理する研究所
質疑応答
毎回、授業の最後に質疑応答の時間をもうけます。
また、メールでも質問を受け付けます。( sohei@dpc.agu.ac.jp
備考
《受講時の注意点》
* 講義中の入退室、私語、携帯電話・スマートフォンの操作など講義に関係のない行為は禁止します。
* 通常の講義のなかでも、文化財や美術品を取り扱うことがあるので、指輪やネックレスなどのアクセサリーを身に付けている場合は外せるようにしてください。

※坐禅実習での会場の都合上、講義のスケジュールが変動する場合があります。
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更新日付2017/02/15 11:28:54