開講年度2017
科目名文学Ⅱ
科目ナンバー
開講種別秋学期
対象学年1年
担当者河野 敏宏
単位数2
曜日・時限秋学期 月曜日 3時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
現代日本語の文字・表記につながる昔の日本語の文字・表記の特徴を理解しよう!
授業の概要
 教養部カリキュラムポリシーのひとつである「基礎学力の育成」「リベラル・アーツの修得」に従い、日本語の文字・表記の特徴について考える過程を通じて、多様な知識を獲得すること、及び、一般的諸現象の背後にある原理を理解する深い洞察力を涵養すること、を目指します。科目名は「文学Ⅱ」ですが、この講義では、いわゆる「文学作品」は対象とせず、文学作品を含む様々な言語表現の根幹をなしている「日本語」そのものについて解説します。日本語には様々な側面がありますが、この講義では、特に、みなさんが日常生活で当たり前に使用している「文字・表記」を取り上げます。
授業の到達
目標
 現代日本語では、ひらがな・カタカナ・漢字・濁点など、多様な文字・表記を使用していますが、それらが現代のような姿になった背景にはさまざまな歴史があります。この講義では、特に奈良時代の日本語を対象とし、古代にはどうやって日本語を表記したのか、万葉仮名の分析による古代母音音素推定とは何か、平仮名や片仮名はどうやってできたのか、等に関する具体的なテーマを設け、その答を考えることを通じて、現代日本語の文字・表記の特徴を論ずることができるようになることを目標とします。なお、この講義で取り上げるテーマ・日本語資料は古い時代のものが中心となるので、その点をよく了解した上で受講してください。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1「ガイダンス」
本講義の目的・内容の解説、受講上の注意など。
【予習】シラバスを読み、本授業内容をあらかじめ把握しておく。(20)
【復習】授業の全体について確認する。(20)
2「漢字の伝来①」
「我が国に初めて漢字が伝来した時の状況はどのようなものだったのだろうか?」日本人が漢字を学び始めたときのようすを理解する。
【予習】日本史の時代区分及びその大まかな年代を確認しておく。(20)
【復習】授業内容を見直し、疑問点はないか確認する。(30)
3「漢字の伝来②」
「日本人はどのように漢字を習得したのだろうか?」日本人による漢字習得が拡大していく過程を理解する。
【予習】蘇我氏と聖徳太子について今までに習ったことを思い出してみる。(20)
【復習】授業内容を見直し、疑問点はないか確認する。(30)
4「『古事記』の表記①」
「『古事記』の文章はどのように表記されているのだろうか?」『古事記』における表記の実態を理解する。
【予習】『古事記』について今までに習ったことを思い出してみる。(20)
【復習】授業内容を見直し、疑問点はないか確認する。(30)
5「『古事記』の表記②」
「太安万侶が『古事記』を筆録するときにはどんな苦労があったのだろうか?」漢字だけを使用して日本語を表記することの困難さを理解する。
【復習】授業内容を見直し、疑問点はないか確認する。(30)
6「『万葉集』の表記」
「平仮名や片仮名がなかった時代に、どうやって日本語の歌を表記したのだろうか?」『万葉集』における表記の実態を理解する。
【予習】『万葉集』について今までに習ったことを思い出してみる。(20)
【復習】授業内容を見直し、疑問点はないか確認する。(30)
7「日本の歌の形式」
「俳句の形式はなぜ五七五なのだろうか?」日本の歌の形式が変遷する過程を理解する。
【予習】「短歌」「長歌」「連歌」等の形式について今までに習ったことを思い出してみる。(20)
【復習】授業内容を見直し、疑問点はないか確認する。(30)
8「万葉仮名の特徴①」
「万葉仮名にはどんな特徴があるのだろうか?」
万葉仮名の特徴を奈良時代の日本語の実態と関係づけて理解する。
【復習】授業内容を見直し、疑問点はないか確認する。(30)
9「万葉仮名の特徴②」
「万葉仮名にはどんな特徴があるのだろうか?」
万葉仮名の特徴を奈良時代の日本語の実態と関係づけて理解する。
【復習】授業内容を見直し、疑問点はないか確認する。(30)
10「古代母音音素①」
「古代日本語には母音音素はいくつあったのだろうか?」その発見の過程を理解する。本居宣長の発見。
【予習】本居宣長や国学について今までに習ったことを思い出してみる。(20)
【復習】授業内容を見直し、疑問点はないか確認する。(30)
11「古代母音音素②」
「古代日本語には母音音素はいくつあったのだろうか?」その発見の過程を理解する。石塚龍麿の発見。
【復習】授業内容を見直し、疑問点はないか確認する。(30)
12「古代母音音素③」
「古代日本語には母音音素はいくつあったのだろうか?」その発見の過程を理解する。橋本進吉の発見。
【予習】中学校の国語で習った学校文法の「文節」について思い出してみる。(20)
【復習】授業内容を見直し、疑問点はないか確認する。(30)
13「古代母音音素④」
「古代日本語には母音音素はいくつあったのだろうか?」その証明方法を理解する。橋本進吉の証明方法と韻書による証明方法。
【予習】高等学校の国語で習った古典文法の「動詞の活用」について思い出してみる。(20)
【復習】授業内容を見直し、疑問点はないか確認する。(30)
14「平仮名・片仮名の発生」
「仮名文字には、なぜ平仮名と片仮名の2種類があるのだろうか?」我々が現在使用している平仮名・片仮名発生の時代的背景を理解する。
【復習】授業内容を見直し、疑問点はないか確認する。(30)
15「まとめ」
文学Ⅱのまとめ及び定期試験に関する諸注意。
【復習】授業内容全体を見直し、試験の準備をする。(120)
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
 定期試験の成績を100%として評価します。ただし、遅刻・欠席をするなど受講態度の良くない点については10%の範囲内で減点します。また、無断退室等、受講態度の極めて悪い者に対しては、大幅な減点を含む厳しい対処をします。
テキスト
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『日本語大事典 上・下』佐藤・前田ほか朝倉書店978-4-254-51034-8図書館開架
2.『日本語学研究事典』飛田ほか明治書院978-4-625-60306-8図書館開架
3.『日本語の世界 1~16』大野ほか中央公論社図書館開架
参考URL
質疑応答
 質疑応答は、授業中または河野の研究室で行います。河野の研究室は2412(2号館4階)です。 オフィスアワーは「木曜日の2限~昼休み」ですが、在室時は随時応対します。
備考
 受講者多数の場合には、座席指定を行うことがあります。
 日本語について様々な疑問・関心を持っている人の受講を望みます。
 なお、シラバスは状況によって変更する場合があります。
画像
ファイル
更新日付2017/02/10 14:04:38