開講年度2017
科目名企業倫理
科目ナンバー
開講種別春学期
対象学年3年
担当者津田 秀和
単位数2
曜日・時限春学期 水曜日 2時限
キャンパス名城公園キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
倫理的意思決定をする上で陥りやすい問題を理解し、正しい意思決定をするための基盤を確認、強化する
授業の概要
企業倫理問題に理論と具体的な側面から接近する。近年、企業の不祥事などが取りざたされ、企業の倫理的側面への注目が集まっている。新聞やニュースなどで見聞きして、ある程度まで知っているものも多いとは思うが,じっくりと考えることがない問題かもしれない。考え方が分からない場合もあれば、自分の問題として考えられない場合もありえる。理論学習は意思決定基盤の正しさを強化する。具体的なケース学習は、企業倫理事象を身近なもとして考察し、意思決定基盤を洗練し、強化する。最終的には、一連の学習で得られた内在化された知見をケースライティングとしてまとめ、さらなる感覚の定着を図る。
授業の到達
目標
(1)各ケーススタディを通じて、自らの価値軸について確認、強化する。
(2)価値を巡る考え方について理解し、自らの価値基盤を強化する。
(3)他者と異なる見解を持つ自分、および他者との共存についての理解を深める。
(4)倫理的ジレンマ、モラルイマジネーション等の関連用語および理論を理解し、倫理事象についての深い洞察ができるようになる。
(5)倫理関連事象について、自らの見解を示せるようになる。
(6)(1)から(6)を踏まえて、受講生各自が授業から学んだことを、再現できるストーリーを作成し、それについて説明できるようになる。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1企業倫理について学ぶための最初のステップとして、この授業の対象領域について理解する。倫理に関する事象は私たちの周りに多く存在する。法律などの明確なルールで調停しきれないものも多く含まれることを認識し、講義で身につけることを理解する。企業倫理現象を探し、その是非について検討し、まとめる。明確な結論がでていないものや、悪いことと認識されつつ生じた問題など、考察する意味のある題材を探し、検討することが重要となる。180分
2企業倫理の領域特性を理解する。まず、法律上の解釈と私たちの認識の差を具体例から考察する。この回には倫理的判断の重要性を理解することが重要となる。私たちの身の回りでみられるルールと実態が乖離した状況を題材に、定められたルールと私たちの認識および振る舞いという観点から整理する。180分
3ケース検討の回となる。組織内部での企業倫理問題の事例としてセクハラ・不当な処遇を巡るケースを検討する。ケース検討は受講生の見解表明を出発点とする。多様な見解があることを理解し、倫理的意思決定の複雑さについて理解する。自らの見解と他者の見解を比較し、それらを類型化してみる。自分以外の他者の見解のパターンを作り、認識することが目的である。180分
4第3回と同様のテーマでのケース検討となる。前回、出てきた見解を土台に、別のケースを用いて、更なる深い考察を進める。正しい意思決定に必要な深い洞察の感覚をつかむことが重要となる。当初の意思決定と考察後の意思決定の差をまとめ、その差を生じさせた自らの変化についてまとめる。180分
5組織間で生ずる倫理的問題として、贈収賄や不正取引と呼ばれる現象を対象にケース検討は進められる。組織内部の場合と異なり、更に関係者が増加し、複雑化することとなる。また市場取引が絡んでくるので、論点が多様化する。複雑な状況下での意思決定の難しさを理解する。自らの見解と他者の見解を比較し、それらを類型化してみる。自分以外の他者の見解のパターンを作り、認識することが目的である。180分
6第5回と同様のテーマでのケース検討となる。前回、出てきた見解を土台に、別のケースを用いて、更なる深い考察を進める。正しい意思決定に必要な深い洞察の感覚をつかむことが重要となる。当初の意思決定と考察後の意思決定の差をまとめ、その差を生じさせた自らの変化についてまとめる。180分
7功利主義的アプローチと義務論的アプローチを対比しつつ、各々を理論的に理解する。また、ステークホルダー分析の考え方にも触れ、倫理的想像力の訓練も行う。これらを理論的基盤として、自らの意思決定基盤を強化する。考察の価値がある企業倫理事象の題材を探し、それについてまとめる。240分。あわせて、その題材について、ステークホルダー分析を試み、功利主義的な見解と義務論的な見解をまとめる。180分
8ケース検討の回となる。企業と住民を巡るケースとして公害問題・環境問題を巡るケースを扱う。企業内部、企業間の問題と異なり、生活者としての市民との関係を考察する必要があるため、より複雑な状況での意思決定の難しさとそのポイントについて整理する。自らの見解と他者の見解を比較し、それらを類型化してみる。自分以外の他者の見解のパターンを作り、認識することが目的である。180分
9第8回と同様のテーマでのケース検討となる。前回、出てきた見解を土台に、別のケースを用いて、更なる深い考察を進める。正しい意思決定に必要な深い洞察の感覚をつかむことが重要となる。当初の意思決定と考察後の意思決定の差をまとめ、その差を生じさせた自らの変化についてまとめる。180分
10ケース検討を総括し、モラルジレンマの考え方で再検討する。その上で、近年の企業倫理問題をトピックとしたケース検討を行う。第9回までで検討されるケースと異なり、論点が明確とは限らないものを扱うことで倫理的意思決定の難しさと手順を踏む、丁寧な思索の重要性を理解する。モラルジレンマという観点から中間レポートで集めた題材について検討を行う。当事者がどのようなジレンマを抱えていたかを推測することが重要となる。180分
11自らが体得した倫理的意思決定の難しさとコツや勘所を再現するために本授業では最後にケースライティングを行う。この回では、このケースライティングの書き方について、ケースそのものと解説書の2点から理解する。ラフスケッチのレベルで、中間レポートの題材をどのように加工してケースを書くか、および、解説書を書くかの構想をまとめる。180分
12中間レポートで収集した情報に基づき、ケースライティングを行うための準備を行う。実際にあった事象を自らがケース読者に感じさせたいモラルジレンマの観点から加工する。主としてケースの全体像を作ることが重要となる。ケースの全体像、流れ、ポイントについての検討を行い、まとめる。180分
13第12回に引き続き、ケースライティングの準備を行う。主として、ケース読者に伝えたいこと、考えて欲しいことなどを含む解説書の全体構想を作ることが重要となる。解説書の全体像、流れ、ポイントについての検討を行い、まとめる。180分
14第12回、第13回で作成されたケースおよび解説書の構想の整合性を確認する。その上でレポートの全体像を矛盾無く説明できるようになることが重要な回となる。ケースと解説書の矛盾をなくすように各々の構想を整理、調整する。授業時に完成しなかった論点(ワークシート)を完成させ、プランの全体像を作り込む。180分
15授業の総括を行い、レポート試験の解説を行う。総復習をし、レポート試験にむけて、情報を整理し、執筆と推敲を行う。840分
    
16レポート試験
評価方法・基
準(評価割合)
①期末レポート試験(50%)、②期中レポート(25%)、③平常点(25%)、④出席状況(0%)
 期末レポートは受講生が作成するケースおよび解説書を指す。期中レポートは、受講生が自らの創作ケースの土台となる企業倫理事象の調査結果およびその考察結果を指す(講義時に指示)。平常点は受講態度、および講義時に行われる小テストやワーク結果で採点する。欠席状況は失格判定に用いる。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『配布資料を使用する。』
参考書
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参考資料
参考URL
質疑応答
 講義内容についての質問は、オフィスアワー(水曜日昼休み)で可能です。オフィスアワーに来室する場合には必ずメール(tsuda@dpc.agu.ac.jp)を送付し、担当教員の指示を確認してください。なお、試験に関する質問および欠席のメールは受理できません。
備考
自ら考え、他者との違いを意識しつつ、主体的に学ぶ姿勢が必要となります。自分の変化を絶えず意識することが重要となります。また、スマートフォンをいじる、居眠りをするといった行為は認められません。
画像
ファイル
更新日付2017/02/17 15:53:32