開講年度2017
科目名日本史基礎演習A
科目ナンバー
開講種別通年
対象学年3年
担当者福島 金治
単位数4
曜日・時限通年 火曜日 4時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
中世後期の東海地域を知る
授業の概要
 史料を読解し、辞書で調べ、レジュメを作成し、報告する。これにより、中世文書になじみ、、辞書や参考文献の使い方を学ぶ。
 【春学期】 天文6(1537)年から同11年までの三河国の松平氏などの領主、および三河の一向宗寺院と大坂本願寺の関係について検討する。松平氏は浄土宗の大樹寺等と関係深いが、一方で家臣も含め浄土真宗本願寺との関係も深かった。これらは、後の三河一向一揆を考える材料となる。
【秋学期】 永禄12(1569)年の文書・記録を読む。織田信長は足利義昭を擁して京都・岐阜を拠点としていた。そうしたなか、京都では三好三人衆による足利義昭攻撃事件が発生した。信長は、これを鎮圧し、内裏造営諸大名を動員して行い、その力を世に見せつけた。一方、三河では徳川家康が遠江浜松城を確保し、徐々に遠江・駿河への影響度をましていった。
授業の到達
目標
 自分で調べ、レジュメをつくり、発表することで、自分で学ぶ力をつけよう。
 今回、あつかう史料の時代背景は、以下の通りである。興味をもって、学んでいこう。
授業計画(春)
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1〔レクチュア〕
1.レジュメの作り方(サンプルを配付する)。
2.ゼミの発表順を決める。
3.研究室・図書館の図書・雑誌等の使い方を知る。
〔予習〕
自分の担当する部分を把握し、発表する際の基本図書がどのようなものか調べる(30分)。
2天文6年正・3月
・三河国勝万寺と本願寺との関係
・相模国北条氏、三河奥平氏へ遠江出兵を要請する。
〔予習〕
三河一向一揆に関わる寺院、三河国の領主奥平氏の支配領域と遠江などの関係を調べる(2時間)。
3天文6年4・9月
・平岩信康、三河国明願寺へ土地を寄進する。
・三河大樹寺への松平氏らの寄進
〔予習〕
松平氏家臣と菩提寺との関係を調べ、浄土宗・浄土真宗の両者への関与を調べる(2時間)。
4天文6年10月
・松平広忠、大久保氏らの合戦の忠孝を賞する。
・水野氏玉洞庵に所領を寄進する。
〔予習〕
松平氏家臣の大久保・成瀬・林氏らの俗縁関係を調べる。また、松平氏と縁の深い水野氏の俗縁関係を調べる(2時間)。
5天文6年
・三河・尾張の本願寺門徒が、大坂本願寺の斎相伴を勤める。
〔予習〕
本願寺派の尾張円通寺等の寺院を調べ、本願寺内の行事などを調べる。また、素材の「天文日記」の性格を調べる(2時間)。
6文7年2・3月
・松平長忠・広忠、大樹寺に所領を寄進する。
・小栗忠親・松平康忠、明眼寺に所領を寄進する。
〔予習〕
松平氏当主広忠の事績や、一族関係を調べる。松平康忠などと本願寺等との関係を調べる(2時間)。
7天文7年3月
・大樹寺で祠堂料注文が作成される。
・三河本宗寺家臣下間氏について。
〔予習〕
寺と旦那の関係を供養料の収納関係から調べる。また、一向宗寺院内の坊主のありかたを学ぶ。(2時間)。
8天文7年12月、天文8年9月
・三河国鉄屋大工、鐘の鋳造の特権を承認する。
・松平氏、室町幕府政所の伊勢家の行事に参加する。
〔予習〕
中世の鋳物の製作と職人の関係について調べる。松平氏を三河だけでなく、京都の幕府関係者との関係で調べる(2時間)。
9天文9年正・2月
・三河国無量寿寺の建立にあたり土地が寄進される。
・松平広忠、三河国満性寺の寺領を安堵する。
〔予習〕
三河の実相寺など足利氏と関係深い寺院の存在を調べる。松平広忠等の判物の発給状況を調べる(2時間)。
10天文9年6月
・三河安城城主松平長家柄、討ち死にする。
・三河龍徳寺等の祠堂帳が作成される。
〔予習〕
安城松平家と岡崎松平家の関係について調べる。禅宗寺院の祠堂銭と寺の運営の関係を調べる(2時間)。
11天文9年10月
・孫左衛門、大樹寺に畠を売る。
・平岩信忠、明眼寺に畠を寄進する。
〔予習〕
大樹寺の門前の様子を調べ、門前住人と大樹寺の関係を述べる(2時間)。
12天文10年2月
・三河本宗寺・上宮寺、本願寺の役を勤める。
・三河勝万寺の僧、大坂本願寺で得度する。
〔予習〕
三河一向一揆の中心的寺院の所在地や性格を調べる。
(2時間)。
13天文10年7月
・本願寺証如、三河本証寺の本末関係を裁許する。
〔予習〕
三河一向一揆の中心的寺院の所在地や性格を調べる。(2時間)。
14天文11年6月
・松平信孝、大樹寺に所領を寄進する。
・筒針重基、三河明眼寺に所領を寄進する。
〔予習〕
三河一向一揆の中心的寺院の所在地や性格を調べる。また、筒針氏の世俗的関係を調べる(2時間)。
15天文11年8月
・織田信秀、今川勢と三河小豆坂で戦う。
〔予習〕
『信長公記』にみえる小豆坂合戦について、その年次などを他の史料とつきあわせ検証する(2時間)。
    
授業計画(秋)
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1〔レクチュア〕
1.レジュメの作り方(サンプルを配付する)。
2.ゼミの発表順を決める。
3.研究室・図書館の図書・雑誌等の使い方を知る。
〔予習〕
自分の担当する部分を把握し、発表する際の基本図書がどのようなものか調べる(30分)。
2永禄12年正月
・武田信玄、遠江侵攻をしないと家康に伝える。
・家康、奥平氏に所領を安堵する。
〔予習〕
武田信玄の事績を調べ、武田・徳川両氏の遠江方面領主との関係を調べる(2時間)。
3永禄12年1月
・今川氏真、遠江の安藤氏の戦功を賞する。
・織田信長、家康に遠江遠征への助力を約束する。
〔予習〕
穴山信君の武田氏一族内での立場を調べる。また、信長と家康の関係について調べる(2時間)。
4永禄12年2月
・家康、三河・遠江の状況を上杉輝虎に伝達する。
・浄土宗の僧素翁、山科言継に三河の状況を報告する。
〔予習〕
上杉・武田両氏の関係を調べる。京都の公家山科言継と今川氏ら東海地域の領主との関係を調べる(2時間)。
5永禄12年3月
・徳川氏の重臣本多氏ら禁制を発布する。
・尾張国海蔵寺、禅師号の勅許の礼物を献上する。
〔予習〕
禁制の性格と発布される際の条件などについて調べる。戦国時代の天皇・朝廷と領主や僧との関係を調べる(2時間)。
6永禄12年3・4月
・武田信玄、家康の遠江制圧について信長に打診する。
・家康、天野氏らに遠江の所領を安堵する。
〔予習〕
信玄書状が偽文書とされる点を指摘する。また、今川氏旧臣への徳川氏の安堵から、遠江経営の実態を検討する(2時間)。
7永禄12年4月
・大沢氏、遠江堀江城への徳川方の攻勢の状況を報告する。
〔予習〕
浜名湖岸の大沢氏の所領構成を復原し、徳川氏との和議交渉の内容を検討する(2時間)。
8永禄12年5月
・今川氏真のこもる掛川城の戦後処理について、武田信玄が信長に、北条氏政が家康と交渉する。
〔予習〕
掛川城の攻防と、今川氏真と小田原北条氏の縁族関係について調べる(2時間)。
9永禄12年閏5月
・徳川家康、尾上・渡辺・鈴木氏らに遠江内の所領を安堵する。
〔予習〕
徳川氏の犬居城(浜松市天竜区)の後略とその縄張り等について調べる(2時間)。
10永禄12年6月
・家康、三河国の野々山氏や大樹寺の所領を安堵する。
〔予習〕
・三河国の国人野々山氏やその所領細谷村について調べる(2時間)。
11永禄12年6月
・山科言継、後奈良天皇13回忌に際して、三河国に下向するかについて、信長などと交渉する。
〔予習〕
山科言継・後奈良天皇等について調べ、当時の朝廷行寺の用途調達の方法について調べる(2時間)。
12永禄12年7月(1)
・山科言継、後奈良天皇13回忌に際して、三河国に家司の沢路氏を派遣して用途を調達する。
〔予習〕
山科家の家司沢路氏の三河下向ルートと立ち寄った寺社などについて調べる(2時間)。
13永禄12年7月(2)
・山科言継、後奈良天皇13回忌に際して、三河国に家司の沢路氏を派遣して用途を調達する。
〔予習〕
山科家の家司沢路氏の三河下向ルートと立ち寄った寺社などについて調べる(2時間)。
14永禄12年8月
・徳川家康、松平真乗に掛川城の在番を命じる。
〔予習〕
掛川城を入手した徳川家康の遠江経営について調べる(2時間)。
15永禄12年11月
・徳川家康等、後奈良天皇13回忌法要の用途を献上する。
〔予習〕
用途を献上した家康始め水野氏らの当時の立場について調べる(2時間)。
    
評価方法・基
準(評価割合)
 発表50%、レポート50%。担当者は、毎回、レジュメを作成し口頭で発表する。前後期ともにレポ-トを提出する(手書き、400字10枚、末尾に参考文献目録を添付する)。なお、事情により発表の日に報告できない場合は、ゼミの他の人と担当をかわること。無断欠席は厳禁。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『愛知県史 資料編11 織豊1』
参考書
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参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『織田信長』神田千里ちくま新書
2.『信長公記を読む』堀新吉川弘文館
3.『一向一揆の基礎構造』新行紀一吉川弘文館
4.『三河松平一族』平野明夫新人物往来社
参考URL
1.東京大学史料編纂所
質疑応答
 研究室でいつでもどうぞ。
備考
高校時代に使った国語辞書・古語辞書・電子辞書を毎回持参する。
画像
ファイル
更新日付2017/02/13 10:12:54