開講年度2017
科目名西洋史特殊講義B-Ⅰ
科目ナンバー
開講種別春学期
対象学年3年
担当者野々山 慶一
単位数2
曜日・時限春学期 火曜日 3時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
ヨーロッパの中のイギリス連合王国
授業の概要
 本年の講義テーマは「ヨーロッパの中のイギリス連合王国」を予定している。すなわち、イギリスとヨーロッパ大陸との関係である。イギリスというと、「大英帝国」とか「光栄ある孤立」という言葉を思い浮かべる学生諸君も少なくないであろうが、イギリスはヨーロッパとの関係の中で国家形成を行ったのである。概観しただけでも、ケルト、ローマ、アングロ・サクソン、最後にノルマン征服までの度重なる異民族の侵入、百年戦争と18世紀の植民地争奪戦というフランスとの長期間の戦闘、そして二度の大戦におけるドイツとの戦闘を経て、ヨーロッパ共同体ECへの加盟まで、イギリスとヨーロッパとの関係は古くて新しい問題である。イギリスは果たしてヨーロッパか島国か?ヨーロッパからの離脱と回帰、ヨーロッパ大陸との統合と自立という問題を念頭に、イギリス連合王国の成立をヨーロッパの中で考えることによって、イギリス史の基礎知識を習得する。
授業の到達
目標
 イギリスの成り立ちを習得する。イギリスは、連合王国という名称が示す通り、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド四地域の連合国家である。又、イギリスは、大陸から渡来した印欧語族系諸民族の長きにわたる抗争と融合の結果生まれた民族複合国家である。イギリスは、ゲルマン民族のアングロ・サクソン一民族の国民国家ではなく、アングロ・サクソンとケルトの民族複合国家である。ところが、冷戦終結後、ヨーロッパ連合EU統合が進展すると、スコットランドとウェールズは地域的、民族的、文化的自己主張を強め、連合王国解体の危機が生じつつある。本講義では、このような問題意識を念頭に、連合王国の形成過程を学ぶ予定である。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1はじめに―講義内容の説明
冷戦後のヨーロッパ①-現代社会の基礎知識
・歴史的転換点としての冷戦の終結
 グローバル化とは何か?
[予習]シラバス(春秋)を読み、講義内容を確認しておく事(30)
[復習]講義内容を確認する(30)
2冷戦後のヨーロッパ②-冷戦とは何か?
・冷戦とは何かを学ぶ
 キューバ危機、ベルリンの壁
[予習]キューバ危機、ベルリンの壁とは何か調べておく事(30)
[復習]どうしてベルリンの壁が、冷戦の象徴的存在になったのか、東西ドイツの関係から考えてみよう(60)
3冷戦後のヨーロッパ③ーヤルタ体制とソ連東欧圏
・ヤルタ体制とは何か?
 米ソによるヨーロッパ東西分断
 冷戦の起源
 ヤルタ会談と第二次大戦後の戦後処理
 ソ連、対日参戦密約
[予習]連合国首脳会談について調べておく事(60)
[復習]ヤルタ会談で何が決まったか確認しておく事(60)
4冷戦後のヨーロッパ④-ヨーロッパ連合EUの成立とヤルタ体制の終焉
・ヨーロッパ統合の歴史を学ぶ
 米、「トルーマン・ドクトリン」 ソ連封じ込め
 ソ連東欧圏分裂、西欧統合
[予習]「トルーマン・ドクトリン」を参考に、アメリカの外交政策の転換について調べておく事(60)
[復習]第二次大戦後のヨーロッパ統合について、整理しておく事(60)
5第二次大戦後のヨーロッパ統合とイギリス
・イギリスのヨーロッパ共同体EC加盟
 帝国からの撤退ースエズ動乱
 ヨーロッパ経済共同体EEC不参加から加盟への方針転換
[予習]英連邦/コモンウェルスについて調べておく事(60)
[復習]ヤルタ体制とイギリスの国際的地位低下について整理すること(60)
6グローバリゼーションとローカリズム
・EU・国家・地域「三重の帰属意識」
 統合の進展と民族的少数派の自立、自己主張
 スペイン、イギリス、フランスの地域運動
[予習]ヨーロッパの地域運動を調べておく事(60)
[復習]グローバル化の進展によって、近代国民国家の置かれた状況を整理せよ(60)
7連合王国の構成
・イギリスにおける「三重の帰属意識」
 イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド四地域の連合体・民族複合国家
 スコットランド、ウェールズの自己主張、民族意識
[予習]スコットランド独立運動について調べておく事(60)
[復習]イギリスはアングロ・サクソンとケルトの民族複合国家であることを理解すること(60)
8ケルト人とは何か?-ケルト文化復権
・ヨーロッパ/イギリスの基層としてのケルト
 印欧語族ケルト語派
・ローマとケルト、力関係の逆転
 カエサルのガリア征服、ブリテン島遠征
[予習]印欧語族とは何か、調べておく事(60)
[復習」ヨーロッパ先住民族としてのケルトについて理解すること(60)
9ローマ領ブリタニアの成立
・ローマ帝国時代のブリテン島
 ブリタニア征服者クラウディウス帝
 ローマ帝国の辺境政策
 ハドリアヌスの壁、ライン川、ドナウ川防衛線(ラインリーメス)
[予習]ローマ帝国最盛期、五賢帝時代について調べておく事(60)
[復習]ハドリアヌスの旅行について理解せよ(30)
10ローマ領ブリタニアの終焉―アングロ・サクソンの襲来
・ゲルマン民族の移動
 ライン川、ドナウ川防衛線(ラインリーメス)突破とブリタニア
 ゲルマン民族国家―フランクとイングランド
[予習]ゲルマン民族の移動について調べておく事(60)
[復習]ゲルマン民族移動期におけるローマ領ブリタニアについて整理しておく事(60)
11イングランド建国
・ケルト系ブリトン人の抵抗とアーサー王伝説
 七王国の抗争とウェセックスの勝利
 ヨーロッパから孤立した独自の発展
[予習]ブリテン島に渡来したアングロ・サクソンとはどのような人たちか調べておく事(30)
[復習]七王国の覇権争奪戦について整理しておく事(60)
12イングランド中心構造の成立
・アングロ・サクソンの覇権とウェールズの誕生
 中心―イングランド、周辺―ケルト民族国家
[予習]伝承、史実の両面から、アーサー王伝説について調べてみよう(30)
[復習]敗残と流浪の民ブリトン人から見たイギリスの歴史を考えてみる事(60)
13ノルマン征服前史①-ノルマンディの誕生
・第二次ゲルマン民族の移動
 ヨーロッパ成立期の内憂外患
 フランク三分割と外民族の侵入
 マジャール、ノルマン、スラブ、サラセン
[予習]ヨーロッパ成立期のフランクについて調べておく事(60)
[復習]フランク王国への外民族の脅威を整理せよ(60)
14ノルマン征服前史②-デーンロー地帯
・アングロ・サクソンとデーン人との闘争
 アルフレッド大王の勝利
 ウェセックス家によるイングランド統一
[予習]ブリテン島に侵入したノルマンについて調べておく事(30)
[復習]どうして、この時期にイングランド統一は進展したのか、その理由を考えてみよう(60)
15ノルマン征服
・ノルマンディ公ウィリアム
 中世英仏関係の起点
 イギリスへの最後の異民族の侵入
[予習]ノルマンディ公ウィリアムについて調べておく事(30)
[復習]イギリスはアングロ・サクソン単一民族国家か、考えてみよう(60)
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
講義内容の理解度が第一の評価基準。講義内容を徹底的に理解すること。それを定期試験における筆記テストで確認する。出席も評価の対象である。定期試験90%、状況に応じて、平常点(授業参加度)10%
 尚、受講者は、配布したプリントなどを参考に、講義内容のつながりを把握して講義に臨むこと。又、不明な歴史的名辞は、可能な限り次回の講義までに解消しておくことが望ましい。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『使用しない』
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『イギリスの歴史―帝国=コモンウェルスのあゆみ』川北稔・木畑洋一有斐閣
2.『新版世界各国史―イギリス史』川北稔編山川出版社
3.『図説 イギリスの歴史』指昭博河出書房新社
参考URL
質疑応答
 質問は講義時間に受け付ける。
備考
 便宜的に春秋に分けてあるが、テーマの性格上年間を通じて一つのテーマを講義するので、受講希望者は春秋両学期通して受講することが望ましい。従って、秋学期は、春学期の講義内容を前提として行うので、秋学期受講希望者は、受講しておく事。
画像
ファイル
更新日付2017/02/21 23:48:59