開講年度2017
科目名仏教の日本的展開Ⅰ
科目ナンバー
開講種別春学期
対象学年2年
担当者水野 荘平
単位数2
曜日・時限春学期 月曜日 2時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
日本おける仏教の受容(奈良・平安時代)
授業の概要
 中国から日本に伝わった仏教は、奈良時代には南都六宗(律宗・倶舎宗・成実宗・法相宗・三論宗・華厳宗)、平安時代初期には平安二宗(真言宗・天台宗)として確立し、現代に至るまで日本仏教の母体となっています。鎌倉時代以降の仏教の発展を考えるうえでも、これら諸宗の理解は欠かすことができません。
 この授業では南都六宗・平安二宗の成立と展開、また教学を概説し、日本仏教における中国仏教の受容と変容の過程について見ていきます。
授業の到達
目標
 日本仏教の母体となる諸宗について学ぶことにより、インド・中国そして現在の日本へと至る仏教の伝播と展開の歴史を、一連の具体性をもって理解することを目標とします。
 また、日本的に変容した仏教とはいかなるものかを理解することによって、≪日本人の(或いは日本的な)思想や考え方≫について知ることを目標とします。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1「ガイダンス」

○授業の概要を説明し、日本仏教研究の基礎文献を紹介します。
【予習】シラバスを読み本授業の内容を把握しておくこと(30)
【復習】授業の概要と日本仏教研究の基礎文献について確認すること(30)
2「仏教の日本伝来」:聖徳太子と三経義疏

○仏教が日本に伝来した経緯と、最初期の日本における仏教著作とみなされる『三経義疏』について、その真撰・偽撰論争を中心に学びます。
【予習】教科書「第1章 聖徳太子と南都の教学」のうち、「1仏教伝来」「2聖徳太子」を熟読し内容を把握しておくこと(120)
【復習】三経義疏の真撰・偽撰論争について授業の内容を確認すること(120)
3「南都六宗の成立と展開(1)」

○天平仏教と南都六宗の概要について学びます。
【予習】教科書「第1章 聖徳太子と南都の教学」のうち、「3南都の教学」を熟読し内容を把握しておくこと(120)
【復習】天平仏教と南都六宗の概要について授業の内容を確認すること(120)
4「南都六宗の成立と展開(2)」:律宗

○南都六宗のうち律宗を取り上げ、その歴史や所依の仏典など具体的な内容を学びます。
・『四分律』
【予習】律宗についての配布プリントを熟読し、不明な仏教用語や旧漢字を調べておくこと(120)
【復習】律宗の具体的な内容について授業の内容を確認すること(120)
5「南都六宗の成立と展開(3)」:鑑真

○日本への戒律の流伝と鑑真の業績について学びます。
・唐招提寺
【予習】鑑真についての配布プリントを熟読し、不明な仏教用語や旧漢字を調べておくこと(120)
【復習】授戒会の方法を理解し、鑑真の業績について授業の内容を確認すること(120)
6「南都六宗の成立と展開(4)」:倶舎宗・成実宗

○南都六宗のうち倶舎宗・成実宗を取り上げ、その歴史や所依の仏典、具体的な教学を学びます。
・説一切有部、『阿毘達磨倶舎論』
・経量部、『成実論』
【予習】倶舎宗・成実宗についての配布プリントを熟読し、不明な仏教用語や旧漢字を調べておくこと(120)
【復習】倶舎宗・成実宗の具体的な内容について授業の内容を確認すること(120)
7「南都六宗の成立と展開(5)」: 法相宗

○南都六宗のうち法相宗を取り上げ、その歴史や所依の仏典、具体的な教学を学びます。
・唯識学派、『唯識三十頌』『成唯識論』
・元興寺、興福寺
【予習】法相宗についての配布プリントを熟読し、不明な仏教用語や旧漢字を調べておくこと(120)
【復習】法相宗の具体的な内容について授業の内容を確認すること(120)
8「南都六宗の成立と展開(6)」: 三論宗

○南都六宗のうち三論宗を取り上げ、その歴史や所依の仏典、具体的な教学を学びます。
・中観学派、『中論』『十二門論』『百論』
【予習】三論宗についての配布プリントを熟読し、不明な仏教用語や旧漢字を調べておくこと(120)
【復習】三論宗の具体的な内容について授業の内容を確認すること(120)
9「南都六宗の成立と展開(7)」: 華厳宗

○南都六宗のうち華厳宗を取り上げ、その歴史や所依の仏典、具体的な教学を学びます。
・『華厳経』
・東大寺
【予習】華厳宗についての配布プリントを熟読し、不明な仏教用語や旧漢字を調べておくこと(120)
【復習】華厳宗の具体的な内容について授業の内容を確認すること(120)
10「平安二宗の成立と展開(1)」 :真言宗

○平安二宗のうち真言宗を取り上げ、その教説である密教の概要について学びます。
【予習】教科書「第2章 密教と円教」のうち、「4空海の思想」の「密教とは」の項を熟読し内容を把握しておくこと(120)
【復習】密教について授業の内容を確認すること(120)
11「平安二宗の成立と展開(2)」: 真言宗

○真言宗の開祖である空海の業績と思想について学びます。
・十住心の体系
・高野山金剛峯寺、東寺
・古義真言宗、新義真言宗
【予習】教科書「第2章 密教と円教」のうち、「4空海の思想」の「即身成仏の理論」「十住心の体系」の項を熟読し内容を把握しておくこと(120)
【復習】空海について授業の内容を確認すること(120)
12「平安二宗の成立と展開(3) 」:天台宗

○日本天台宗の開祖である最澄の業績と思想について学びます。
・三乗一乗論争
【予習】教科書「第2章 密教と円教」のうち、「3最澄の思想」の「対徳一論争」までを熟読し内容を把握しておくこと(120)
【復習】最澄について授業の内容を確認すること(120)
13「平安二宗の成立と展開(4) 」:天台宗

○日本天台宗の開祖である最澄の業績と思想について学びます。
・大乗戒論争
【予習】教科書「第2章 密教と円教」のうち、「3最澄の思想」の「大乗戒論争」の項を熟読し内容を把握しておくこと(120)
【復習】最澄について授業の内容を確認すること(120)
14「平安二宗の成立と展開(5)」: 天台宗

○日本天台宗の密教を取り入れた独自の展開について学びます。
・比叡山延暦寺
・台密
・円仁、円珍、安然
【予習】教科書「第2章 密教と円教」のうち、「5円教から密教へ」を熟読し内容を把握しておくこと(120)
【復習】最澄について授業の内容を確認すること(120)
15授業のまとめ

○授業の全体を振り返ります
【予習】これまでの学習内容を確認しておくこと(120)
【復習】授業内容をもとに、これまでの学習内容を確認すること(120)
【課題】南都六宗・平安二宗についての小レポート作成(180)
    
16定期試験
評価方法・基
準(評価割合)
* 定期試験(60%)と、授業での小テストや小レポート(40%)に授業態度を含めて総合評価します。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『日本仏教史』末木文美士新潮文庫724円978-4101489117
参考書
  ・
参考資料
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『八宗綱要』凝然著・鎌田茂雄訳講談社学術文庫
2.『日本仏教史研究』辻善之助岩波書店全10巻
参考URL
質疑応答
毎回、授業の最後に質疑応答の時間をもうけます。
また、メールでも質問を受け付けます。( sohei@dpc.agu.ac.jp
備考
* この講義の内容は秋学期の「仏教の日本的展開Ⅱ」と連動しているので、「仏教の日本的展開」Ⅰ・Ⅱと継続して受講してください。
* 講義中の入退室、私語、携帯電話・スマートフォンの操作など講義に関係のない行為は禁止します。
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更新日付2017/02/13 14:54:34