開講年度2017
科目名生命に関する諸問題Ⅰ/総合科目Ⅲ-Ⅰ
科目ナンバー
開講種別春学期
対象学年2年
担当者小塚 哲司
単位数2
曜日・時限春学期 木曜日 2時限
キャンパス日進キャンパス
実務経験のある教員による授業科目


テーマ
少子高齢化、格差、AI(人工知能)社会、自国第一の米大統領―と、激動、苦悩する現代。その動きを見つめ、着実に生きていきたい。
授業の概要
 「米国第一」と極端な保護主義を掲げるトランプ米新大統領は、日本企業も恫喝、批判するメディアは排除、テロ対策としてイスラム圏7か国からの入国禁止という、寛容さとは真逆な外交を断行する。一方で軍事力でクリミアを併合したロシアとの融和を探るなど、これまでの世界秩序が崩壊しつつある。中東シリアでは「アラブの春」の民主化への弾圧から激しい内戦を生み、大量の難民が欧州に流入し、パリなどで無差別テロが続発、英国は欧州連合(EU)からの離脱を選択した。日本では超高齢化による社会保障費の増大、待機児童問題、過激なゲームが凶悪化させる少年犯罪、自然災害など、日々、喜怒哀楽が繰り返されている。世界73億人。多くが共存すれば、地域で、国家間で争いも生まれ、それらのニュースが刻々と、スマートフォンなどを通じて流れてくる。同じ今を生きる同時代の出来事と積極的に向き合い、グローバル時代の自立した人間を目指す。
授業の到達
目標
トランプ大統領は既存の常識を変えようとしているが、米国は世界を主導する大国であることは間違いなく、同盟国として冷静に内外の課題に対処していく必要がある▽米大統領選で民主党陣営へのサイバー攻撃という、民主主義のシステムを損なう、信じられない事態が発覚した。人工知能(AI)などを駆使し、社会生活のすべてがネットでつながれる「IoT」時代は、一つ間違えば恐ろしい結果を生む。それに立ち向かうのはあなたたち、若い世代である▽トランプ大統領はイスラム過激派を地上から絶滅させると強調するが、米国標的のテロは、米国のイスラム教徒への無理解が大きい▽国内問題では、少年法がいくつか改正されてきた経緯、プライバシー、巨大地震、原子力発電のメカニズムなど、まずニュースの基礎知識を知る必要がある。激動する内外のニュースの意味をジャーナリストからの解説を吸収し、時代と命の大切さを自ら語れるようにしたい。
授業計画
回数授業スケジュール授業時間外学修・時間(分)
1トランプ米大統領は前大統領が中国をにらんで主導した環太平洋連携協定(TPP)から離脱、二国間貿易交渉に切り替え、日米の自動車摩擦の再燃も危惧される。不法移民、テロリストの流入阻止として、メキシコとの間の壁建設、イスラム圏7か国からの入国禁止という異常な大統領令を出し、司法からも「憲法違反」との批判が高まる。世界を主導する米大統領にあるまじき言動の問題点を、大統領選挙戦から遡って分析する。復習に重点を置く。レジメや板書を読み直し、大統領選当時の新聞を読む。30分。
2英国の欧州連合(EU)からの離脱の狙いと、英国が抜けた後のEUの戦略。EUの単一通貨「ユーロ」への動きを取材したパリ特派員時代の体験を踏まえて解説する。欧州大陸と英国との位置関係を、地図で確認。EU加盟国、ユーロ加盟国を、自分の目で確認する。30分の復習。
3シリア内戦とイスラム過激組織「イスラム国」(IS)。アラブの民主化の延長で起きた内戦と、誤ったイラク戦争の憎しみがISを生んだ実相を考える。カイロ特派員として、3年間のイスラム世界での生活、「湾岸戦争」の戦場取材を踏まえて解説する。中東のイラク、シリア、トルコの位置関係を地図で確認する。「アラブの春」とは何だったのかを調べる。30分。
4フランス大統領選挙と欧州各国での「極右」の台頭。相次ぐテロと大量難民の流入に脅かされる人々。EUから英国が抜けた後、フランスとドイツの役割がさらに増す。有権者はどんな判断をするのか。大統領選挙についての新聞記事を自分で調べる。30分。
5フランス、ベルギーなどでの無差別テロ。実行犯は欧州国籍を持つアフリカからの移民2、3世という「ホームグロウンテロ」に、各国が頭を悩ます。フランス国民の中にイスラム教徒が8%もいる。欧州各国でのイスラム教徒の割合を調べる。キリスト教徒とイスラム教徒との共存問題を調べる。30分。
6「ニュースとは何か」。福沢諭吉が幕末に欧米を視察し、書いた「西洋事情」の一節を取り上げ、今も変わらぬ新聞、メディアの役割を考える。図書館で「西洋事情」を読む。30分。
7表現、報道の自由。第二次大戦末に米国のジャーナリストが提唱した「知る権利」。プライバシー侵害については、日本で最初に訴えられた三島由紀夫の小説「宴のあと」を取り上げて考える。図書館で「宴のあと」を1週間かけて全部読む。
8東日本大震災から6年。あの巨大地震、津波を振り返り、原子力発電のメカニズムも学ぶ。原子力発電のサイクルシステムと問題点を参考書で確認する。30分。
9少年法①。その精神と報道対応。神戸の少年殺傷事件を振り返り、容疑者が出版した本の問題点にも触れる。当時の新聞を探し出し、事件の内容を十分、認識する。30分。
10少年法②。犯罪の低年齢化、凶悪化から強まる厳罰化。同。
11少年法③。死刑の「永山基準」とは。少年法では「18歳以下には死刑を課さない」とある。18歳1カ月で母子を殺害した事件について検証する。同。
12戦争とジャーナリズム①。戦場取材した「湾岸戦争」を通じて、戦争に駆り立てるものと戦場の実態を語りたい。シリア内戦を取材中、死亡したフリーのカメラマン、山本美香さんの思い出。「湾岸戦争」とはどういう戦争だったのかを、図書館で調べる。30分。
13戦争とジャーナリズム②。イラク戦争では米軍と同行する「エンベッド取材」が行われた。米国記者にみられた愛国報道と、客観報道を取り戻していく過程を検証。レジメや板書を読み直す。30分。
14ウクライナ危機。ロシアが軍事力を使ってウクライナのクリミア半島を自国に編入したことで、G8から締め出され、制裁を受けている。なのにトランプ米大統領は制裁を解こうと動き、独仏などに警戒感が高まる。ウクライナとロシアの位置関係を確認する。共産主義、社会主義とは何かを、自分で調べる。30分。
15変わるメディア事情。新聞を読む人が少なくなり、若い人はスマートフォンであるが、ニュースを正確に、詳しく知るためには新聞が重要であることには変わりはない。世界の動きを知るには、新聞が欠かせないのはなぜか。メディアリテラシ―とは何かを考える。30分。
    
評価方法・基
準(評価割合)
毎回、最後の10分に授業の感想、疑問を書いてもらう。その日のテーマ、課題を、どの程度理解したかが分かる。また学んだことを短時間でまとめ、表現する訓練になる。こうした平常点を大事にし、評価する。試験はしない。また今回から、前回の授業後、どのような復習作業をしたのも書いてもらう。
テキスト
書名著者出版社価格ISBNコード備考
1.『教材は、毎回、レジメ、コラムのコピーなどを配布。テキストはありません。』
参考書
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参考資料
参考URL
質疑応答
基本的には、質問があれば、授業後に尋ねてください。特別に相談や尋ねたい問題がある場合は、教務を通じ、パソコンのアドレスを聞いてください。
備考
画像
ファイル
更新日付2017/02/07 14:53:37