サブタイトル | | |
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科目のねらい | | 近年、分子生物学の急速な進歩に伴い、生命科学は大きく発展した。その結果、地球上の全ての生物は同じ物質的基礎の上に成り立っており、同じ遺伝情報の流れに従って生きていることが明らかになった。生命現象の解明が進むなか、生物学は医学、歯学、薬学、農学などと深い関わりを持つようになった。例えば、ヒトの多くの疾患には遺伝子が関与していることが明らかになり、今や遺伝子診断、遺伝子治療が行われる時代になった。また、山中伸弥(京都大学)による「成熟した細胞に対してリプログラミングにより多能性(分化万能性)を持たせられることの発見(iPS細胞の作製)」、大村智(北里大学)による「線虫の寄生によって引き起こされる感染症に対する新たな治療法に関する発見」はまだ記憶に新しい。「生物学Ⅰ」では、多細胞生物を扱う「生物学Ⅱ」の基礎として、さらに2年次以降に開講される基礎歯学を学ぶために、細胞の構造、代謝の反応、遺伝のしくみ(分子遺伝学を含む)などについて学習する。 |
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到達目標 | | 細胞、分子、遺伝子のレベルで考えることにより、様々な生命現象を統一的に理解することを目指す。とりあげる内容については「生物学Ⅰ・Ⅱ」の「授業の内容・計画」を参照のこと。生物学Ⅰではとくに、全ての生物が持つ共通の性質(生物の定義と言ってもよいかもしれない)について、その内容を理解する。具体的には、大きな目標の一つとして、『分子遺伝学のセントラルドグマ』を分子レベルで説明できることがあげられる。 |
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授業の内容・ 計画 | | 授業の内容・スケジュール 1. 生物とは 生物界の階層性 生物学の研究方法 2. 生体を構成する分子 生体の四大構成成分、その構造と機能 3. タンパク質の構造と機能 タンパク質の構造(一次構造から四次構造へ) 酵素のはたらきと反応のしくみ 4. 細胞の構造と働き(1) 原核細胞と真核細胞 生体膜の構造と機能 5. 細胞の構造と機能(2) 細胞小器官の構造と機能 6. 代謝とエネルギー(1) 異化・同化と生体のエネルギー通貨ATP 好気呼吸と嫌気呼吸 7. 代謝とエネルギー(2) 解糖系、クエン酸回路、電子伝達系 基質レベルのリン酸化と酸化的リン酸化 8. 細胞周期と細胞分裂 細胞周期とそれに伴う分裂の過程(体細胞分裂) アポトーシスとネクローシス 9. 遺伝のしくみ メンデルの遺伝の法則 減数分裂と多様性を生むしくみ 10. 分子遺伝学(1) 染色体、ゲノム、遺伝子の構造 遺伝子の物質的本体DNAの構造 11. 分子遺伝学(2) DNAの複製のしくみ(半保存的複製、不連続複製) 複製の正確さ 12. 分子遺伝学(3) 転写のしくみ 選択的スプライシング 13. 分子遺伝学(4) 遺伝暗号(コドン) 翻訳のしくみ(タンパク質合成の開始・伸長・終結) 14. 分子遺伝学(5) 発現調節(転写調節、オペロン、基本転写因子) DNAの変異と修復 15. バイオテクノロジー クローニング・塩基配列決定法・PCR法 (授業は主として講義形式で、こちらから配布するプリントを参照しながら進められます。) |
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評価方法 (基準等) | | 期末試験の成績で評価する。授業への取り組みを加味する必要がある場合は、10%程度を目処に含めて、総合的に判定する。 なお、当然のことながら講義中に話した事柄全てが試験の範囲に含まれる。 |
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授業外の学修 (予習・復習) | | 「なぜ?」といつも考えましょう。授業への積極的な参加を望みます。 授業外ではプリントの内容を中心に予習・復習などをするとよいでしょう。現代の生物学は博物学的色彩は薄れある程度体系的に積み上げられているので、復習をしておくと次の講義内容を理解しやすいと思われます。自分が理解できているかどうかを試す簡単な方法は、人に説明してみることです。友達に説明できますか? また、興味が湧いた点について、関連した本を読んでみることを勧めます。本については相談に応じます。 |
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教科書・ 参考書 | | 教科書:検討中 参考書は相談に応じる。例えば、 エッセンシャル・キャンベル生物学 丸善出版(米国の大学教養課程の教科書。図版が豊富。) 大学生物学の教科書(全5巻) 講談社(米国の大学教養課程の教科書《抜粋》。新書版) 理系総合のための生命科学 第3版 羊土社(日本の大学教養課程の教科書。生命科学系《医歯薬理農など》学部へ進級する学生向け) ベーシックマスター細胞生物学 オーム社(よくまとまっている。) エッセンシャル細胞生物学 第4版の翻訳が出版予定 南江堂(厚いが解りやすい。) 細胞の分子生物学 第6版の翻訳が出版予定 ニュートンプレス(理系大学院でも使える。) |
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参照URL | | |
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質疑応答 | | 質問は常時受け付けます。 研究室:4号館3階(生物学教室内) オフィスアワー:月曜日〜木曜日 12:40〜13:20 時間外でも在室中であればできるだけ対応します。 |
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備考 | | 【注意】講義は、高校の生物学及び春学期の実習で学習したことを理解しているものとして進められます。これらの基礎的な知識や理解が不足している学生諸君は、春学期の講義「生物学の基礎」を受講するなど、本講義が始まるまでに自ら対策を立てる必要があります。また、本講義の内容は「生物学Ⅱ」を学習する上での予備知識となります。 |
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更新日付 | | 2016/02/10 14:56:48 |